夜勤の疲れは、夜勤のストレスだけでなく、複合的なストレスから発生している

 考えてみますと、このようなストレス状態は、看護職場では至るところで認められます。

 まず、看護労働の感情労働3としてのストレスです。看護師の労働対象は、病んでいる人間(患者)ですから、コミュニケーション1つとっても非常に気を遣うものです。ときには、よかれと思って発した言葉であっても、患者から罵声を浴びせられることもあります。

 また、身内でお葬式を出した経験がない若い看護師でさえも、病院では懸命に看護をしたにもかかわらず、急変して亡くなられる患者もいます。

 看護師も人間ですから、患者の中には苦手な人もいるものです。そのような患者に対しても、看護計画が順調に進み、快癒してもらうために、例えば笑顔で接したくない場面があっても、ニコニコして自分の感情を偽らなくてはいけません。

 看護師の夜勤では、人員配置が日勤と比べて極端に少なくなり、1人が20人を受け持つことも当たり前です。

 それらによる複合的なストレスが、サーカディアンリズムによるストレスと合わさって、夜勤時の看護師の疲れとして現れているのです。

1.佐々木司:疲労と過労.小木和孝 編集代表.産業安全保健ハンドブック.労働科学研究所出版,神奈川,2013:424-427.
2.斎藤良夫:労働者の疲労とストレス-研究の構造からみた両者の相違-.Bull Inst Public Health 1993;42(3):375-384.
3.ホックシールド・アーサー 著,石川准 訳:管理される心─ 感情が商品になるとき.世界思想社,京都,2000.

疲れと休みのエビデンス【第3回】よい休みかたのエビデンス①

この記事は『エキスパートナース』2019年4月号特集を再構成したものです。
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