解決策・工夫できること

えだな(作業療法士) 雑談でしていたその方らしいエピソードを、カルテ記録にも残してもらえたら、と思います。私ははじめて入る患者さんでも、事前に看護師さんのカルテをよく見ていくので。
病院に来る前の患者さんの生活について、バイタルサイン測定の合間にしているような話から、患者さん自身の生き方や価値観が見えてきて、より信頼関係を築きやすくなると思います。

rosso(看護師) 情報を集約する用紙やファイルを作成して、どの職種も閲覧・記載ができるものがあればいいなと思いました。そのためには多職種で一度話し合う必要がありますね。
 自施設では”見える化シート”という、病気以前のADLやIADL・家族情報などを記載するシートを作成して、カンファレンスで活用しています。

猫兄貴(薬剤師) 看護師さんは交代制勤務なので、どうしても一度で全員に周知させることって難しいですよね。だけど、自分としても「この情報は共有してほしい」と、シンプルに伝えていくことは必要だったかなと思いました。そのぶん、こちらからも「どんな情報があったら助かるか」を、日々リサーチしていくことも大事かもしれません。

大平(理学療法士) 普段から、多職種のコミュニケーションが必要になると思います。例えば、自分から看護師さんに、介助量の多い患者さんの移乗方法を伝達したりできるとよいですね。
 相手の困りそうなことを先回りして共有しようとする姿勢は、お互いの信頼関係を築くために必要なことではないでしょうか。「他職種にちょっと助けてほしい!」と思うことは現場にはいくらでもあるので、そこをきっかけにお互いが助け合えることってたくさんあると思います。

松田(臨床工学技士) これはやっぱり、コミュニケーションに尽きると思います。ただ、他のメンバーも話しているとおり、ひと言でコミュニケーションといってもなかなか難しいですよね。欲しい情報を自ら発したり、相手が欲している情報だと思うことは何気ない会話のなかで伝えていったり……。そのためには、まずは会話からかなと。
 医療安全でよく使われているチームステップ(Team TEPPS®)のツールを利用するのも1つの手段ですね。具体的には、のようなツールがありますので、活用してみるのもよいと思います。

図 チェックバックモニターと状況モニター(Team TEPPS®より)
(文献1、2を参考に作成)
1.東京慈恵会医科大学附属病院医療安全管理部,落合和徳,海渡健編:チームステップス[日本版]医療安全 チームで取り組むヒューマンエラー対策.メジカルビュー社,東京,2012.
2.種田憲一郎監修:チームSTEPPS 2.0 ポケットガイド 日本語版14.0版.Team STEPPS Japan Alliance,2019.

多職種連携のリアル【第9回】職種によって意味合い・ニュアンスが違う言葉

この記事は『エキスパートナース』2020年9月号連載を再構成したものです。
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