Q. 「男性の更年期障害」ってどんなもの？
ひとこと回答
加齢に伴い男性のテストステロン値が低下して起こるさまざまな症状を、late onset hypogonadism（LOH症候群、加齢性腺機能低下症）と呼びます。LOH症候群は、「男性の更年期障害」と呼ばれることもあります。性欲低下、抑うつが主症状であることが多いですが、多彩な症状を取り得ます。
LOH症候群は、40代以降のどの男性にも起こりうる
更年期は、女性ホルモンの急激な減少に比して、男性ホルモンの減少は緩やかです。LOH症候群は、変化というよりは生物活性のある血中テストステロン値が低いことによる症状と考えられているため、更年期の男性でなくても、40代以降のあらゆる年齢の男性に生じえます。
ガイドラインには、LOH症候群の症状、徴候として以下のような記載があり1、採血で遊離テストステロンの低下があってアンドロゲン補充療法の禁忌がない場合に、アンドロゲン補充療法の適応になります。男性更年期外来などで治療できます。 アンドロゲン補充療法は、血中遊離テストステロン値をモニターしながら数週間に1回の筋肉注射で行われ、効果があって副作用が出ない限り、ずっと続けられます。
LOH症候群の症状・徴候2
①リビドー（性欲）と勃起能の質と頻度、とりわけ夜間睡眠時勃起の減退
②知的活動、認知力、見当識の低下および疲労感、抑うつ、短気などに伴う気分変調
➂睡眠障害
④筋容量と筋力低下による除脂肪体重の減少
⑤内臓脂肪の増加
⑥体毛と皮膚の変化
➆骨減少症と骨粗鬆症に伴う骨塩量の低下と骨折のリスク増加
- 1．日本泌尿器科学会，日本 Men’s Health 医学会，「LOH 症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会編：加齢男性性腺機能低下症候群（LOH症候群）診療の手引き 男性ホルモン低下による男性更年期障害，ED，心身症などの診療マニュアル．じほう，東京，2007．
2．Nieschlag E，Swerdloff R，Behre HM，et al．：Investigation, treatment and monitoring of late-onset hypogonadism in males．Aging Male 2005；8（2）：56-58．
この記事は『エキスパートナース』2022年7月号特集を再構成したものです。
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