日々進化する治療・ケアにかかわる用品がもたらした変化、活用する際の注意点などを紹介!今回は経口補水液(ORS)を用いて行う経口補水療法(ORT)を取り上げます。患者のストレス軽減、麻酔導入時の脱水予防などのメリットを解説します。

●経口補水液(ORS)を用いて行う経口補水療法(ORT)
●経口補水療法(ORT)のメリット
●術前の経口補水療法(ORT)
●術前ORTを行う際のポイント

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経口補水液(ORS)を用いて行う経口補水療法(ORT)

 従来、全身麻酔に関連した誤嚥性肺炎を防ぐため、慣習的に手術前夜から絶飲食とすることが当然とされてきました。
 しかし、近年では多くの新しいエビデンスが示されており、米国およびEU加盟国の各麻酔科学会では、ERASなどの考え方をもとに、国によって差異はあるものの、以下のように規定しています

●固形物は手術6時間前まで摂取できる
●残渣のない透明な飲料は手術2~3時間前まで摂取できる

 また、輸液投与の問題点として、「抜去・空気塞栓のリスク」「患者の行動制限」「口渇・空腹・不安」「歩行移動時の看護師の労力の増加」などが挙げられます。この点、経口補水液(oral rehydration solution、ORS、図1)を用いて行う経口補水療法(oral rehydrationtherapy、ORT)は、輸液療法と同等の水・電解質・炭水化物の補給効果を得ることが可能であるとされており、術前の体液管理として広まることが期待されています。

図1 AAP(American Academy of Pediatrics、米国小児科学会)の指針に基づいたORS(経口補水液)

経口補水液 オーエスワン®シリーズ 個別評価型病者用食品(画像提供:株式会社大塚製薬工場)

●水と電解質をすばやく補給できるように、ナトリウムとブドウ糖の濃度が調整されている経口補水液。ゼリータイプ(右端)もあり、咀嚼・嚥下困難な場合にも使用できる(医師に相談のうえ)。

表1 手術室入室方法と患者・医療従事者への影響

(文献1より引用)

経口補水療法(ORT)のメリット

①患者ストレスの軽減

 術前に補液療法が施行されると、穿刺に伴う痛みに加え、患者は行動を制限されるため、身体的・精神的にストレスが増加します。また、口渇感と空腹感を助長し、大きなストレスとなります。

 ORTを活用すれば、手術直前までトイレを利用でき、自ら更衣も可能になります。また、絶飲食の期間が短縮されるため口渇感や空腹感が軽減し、より快適な状態で手術に臨むことができると報告されています2,3

②安全な麻酔導入(術前にORTを使用しても胃内容量は減少する)

 安全な麻酔導入の条件として、術中の嘔吐や誤嚥を防ぐため、胃内容量を減少させる必要があります。
 術前の体液管理として「ORT群」と「輸液群」では、ORT群において有意に胃内容量が少なかった2とされており、積極的な飲水を促す表現もみられるようになっています。

③麻酔導入時の脱水を予防

 術前は、禁飲食や下剤の服用などにより脱水傾向となっています。また、麻酔導入時は麻酔薬、睡眠薬、鎮痛薬などが投与されますが、これらの薬剤は血圧低下のリスクがあります。
 術前ORTは輸液療法と同等の水・電解質および炭水化物を維持できるとされています4

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