高額療養費制度は、自己負担の上限額を引き上げることを国が検討しています。患者さんからお金の心配ごとを打ち明けられた場合、看護師としてどう対応したらよいのでしょうか。
 自身もナースとして臨床現場を経験したファイナンシャルプランナー(FP)が、よく聞くお金の疑問・悩みについて解説!今回は看護師と連携する、他の専門職の役割を確認します。

看護師と連携する他職種の役割を確認

 患者さんのお金の悩みに向き合うときには、医療機関の内外の多職種と連携していくことが重要になります。はじめに、本連載で登場する他職種を紹介します。

医療ソーシャルワーカー(MSW)とは?

 病院や診療所などで、倫理綱領・業務指針に基づいて患者さんの支援を行う職種です。
 「療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助」「退院援助」「社会復帰援助」「受診・受療援助」「経済的問題の解決、調整援助」「地域活動」の6つの業務を担当し、治療そのもの以外の心理的な不安を解決したり、患者さんが社会や地域とつながりを保つための支援を行っています¹。
 ナースが患者さんからお金の悩みを打ちあけられた際にも、心強い相談先になります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)とは?

 要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じつつ、訪問介護などの各種サービスを受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)を作成したり、行政や事業者等との連絡・調整を担当する職種です²。介護を必要とする人と、介護を提供する人(事業者)をつなぐ役割といえます。

 ケアプランの作成には患者さんの状態に関する情報が必須なので、ナースが日ごろ観察・ケアしている内容はケアマネジャーにとっても重要事項です。

ファイナンシャル・プランナー(FP)とは?

 人生の目標などをかなえるため、経済的な側面から実現に導く「ファイナンシャル・プランニング」のプロフェッショナルです³。
 金融や税制、ローン、年金制度など、幅広い知識に基づいて相談者の人生設計をサポートするほか、税理士、弁護士といった関係職種とのネットワークに関しても頼りになります。
 相談者の人生に長期的な視点でかかわるため、医療保険なども相談テーマのなかに入っていることが多く、「患者さんのお金の話」を解決するためにぜひ知っておきたい職種です。

社会保険労務士(社労士)とは?

 労働社会保険の諸々の手続きや、労務管理の相談・指導、年金相談業務など、広範囲にわたる業務を専門とする職種です⁴。
 「事業の健全な発達」と「労働者等の福祉の向上」を業務の目的としており、企業に関係する諸要素のなかでも特に「人材」がかかわる場面のエキスパートといえます⁴。患者さんの退職や休職~復職の流れで、専門的なアドバイスを得られます。

1.日本医療ソーシャルワーカー協会ホームページ:業務内容.https://www.jaswhs.or.jp/about/sw_gyoumu.php(2025.2.4アクセス)
2.厚生労働省:介護支援専門員(ケアマネジャー).
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf( 2025.2.4アクセス)
3.日本FP協会ホームページ:ファイナンシャル・プランナー(FP)とは.https://www.jafp.or.jp/aim/fptoha/fp/(2025.2.4アクセス)
4.全国社会保険労務士会連合会ホームページ:社労士とは.https://www.shakaihokenroumushi.jp/about/tabid/203/Default.aspx(2025.2.4アクセス)

【第2回】入院費についての患者さんの悩みにどう答える?(3月11日配信予定)

この記事は『エキスパートナース』2024年6月号連載を再構成したものです。
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