最近の看護師国家試験はどんな問題が出ている?ひさびさに過去問題を解いて、災害看護や外国人患者への対応について学びましょう!

災害看護の基礎知識

サイコロジカルファーストエイドって?

サイコロジカルファーストエイド〈Psychological First Aid:PFA〉について正しいのはどれか。
1.活動の原則は、見る、聞く、つなぐである。
2.災害発生から1週間経過してから活動する。
3.被災都道府県からの派遣要請に基づき活動する。
4.苦痛の原因となった出来事を詳細に話すことを促す。

(第113回午後問題72)

答え:1

活動の原則は、「見る(Look)」「聞く(Listen)」「つなぐ(Link)」

 PFAの基本原則は、被災者の状況を観察し、話を聞き、適切な支援へつなぐことが重要とされている。災害や重大な出来事の直後から提供される支援であり、専門家でなくても一般の支援者や医療従事者が現場で即座に実施できるものである。PFAでは、被災者にトラウマとなった出来事を無理に話させることは推奨していない。むしろ、話したいときに話せる環境を整えることが重要である。

災害拠点病院って?

災害拠点病院の説明で正しいのはどれか。
1.国が指定する。
2.災害発生時に指定される。
3.広域搬送の体制を備えている。
4.地域災害拠点病院は各都道府県に1か所設置される。

(第111回午後問題75)

答え:3

広域搬送の受け入れや、 災害時の医療救護活動の拠点としての機能をもつ

 災害拠点病院は都道府県が指定する。都道府県ごとに複数設定され、1か所ということはない。災害発生時に指定されるのではなく、平時から指定され、災害時に備えて訓練や体制整備が行われている。

災害時の医療体制って?

災害時の医療を支える体制で正しいのはどれか。
1.地域災害拠点病院は市町村が指定する。
2.災害対策基本法に防災計画の作成が規定されている。
3.トリアージは救命困難な患者の治療を優先するために行う。
4.災害派遣医療チーム〈DMAT〉は被災地域の精神科医療および精神保健活動を専門的に行う。

(第112回午後問題71)

答え:2

災害対策基本法には、 国や自治体、 民間企業などが防災計画を作成し、 災害時の対応を整備することを規定

 地域災害拠点病院は都道府県が指定する。トリアージは治療の優先順位を決めるものであり、救命可能な患者を優先することが基本となる。DMAT(Disaster Medical Assistance Team)は、災害発生直後の急性期医療を担う専門チームであり、精神科医療や精神保健活動を専門に行うわけではない。精神保健医療を専門とするチームは、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team:災害派遣精神医療チーム)である。

トリアージの方法は?

災害発生時に行うSTART法によるトリアージで最初に判定を行う項目はどれか。
1.意識
2.呼吸
3.循環
4.歩行

(第111回午前問題75)

答え:4

START法は、「歩行→呼吸→循環→意識」の順で評価

 START法(Simple Triage and Rapid Treatment)は、災害時に多数の傷病者を迅速に分類するためのトリアージ法である。START法では、最初に「歩行可能かどうか」を判断し、その後、重症度に応じて以下の項目を評価する。
●歩行(Walking)
最初に判定する。自力で歩行できる者は軽傷(緑タグ)と判定し、詳細な評価を後回しにする。歩行できない場合、次のステップへ進む。
●呼吸(Respiration)
呼吸がない場合は気道確保を試み、それでも呼吸がなければ死亡(黒タグ)と判定する。呼吸数が30回/分以上もしくは10回/分未満の場合は重症(赤タグ)とする。
●循環(Circulation:橈骨動脈の触知、毛細血管再充満時間)
橈骨動脈が触知できない、または毛細血管再充満時間が2秒以上なら重症(赤タグ)とする。
●意識(Mental Status)
簡単な指示に従えない場合は重症(赤タグ)、指示に従える場合は中等症(黄タグ)とする。

救急搬送された患者さんの状態は?

午前10時、A県内で大規模災害が発生した。A県内の救命救急センターに、家屋等の倒壊現場から救助された傷病者の受け入れ要請があり病院に搬送された。直ちにトリアージが行われた。搬送されてきたBさん(45歳、男性)には頻呼吸が認められ、胸部と背部の痛みを訴え、吸気時に胸郭が陥没し、呼気時には膨隆している。
Bさんに考えられる状態はどれか。
1.過換気症候群
2.虚血性心疾患
3.腰椎圧迫骨折
4.フレイルチェスト〈胸壁動揺〉

(第112回午後問題118)

答え:4

症状の特徴はフレイルチェスト〈胸壁動揺〉

 頻呼吸(呼吸数増加)、胸部と背部の痛み、吸気時に胸郭が陥没して呼気時に膨隆(異常な胸郭の動き)という症状は、フレイルチェスト(胸壁動揺)にみられる。フレイルチェストは、胸部の骨折により胸郭の一部が独立して動く状態(奇異呼吸)になる。重度の胸部外傷として知られ、呼吸障害を引き起こす危険
な状態である。
 過換気症候群では、頻呼吸や四肢のしびれが主な症状である。虚血性心疾患でも胸痛や呼吸困難がみられるが、呼吸時の胸郭の異常な動きがあることから、心疾患ではなく外傷性の障害が疑われる。腰椎の骨折による痛みは通常、体動時に増悪するものの、呼吸障害や胸郭の異常な動きはみられない。

発災後2か月後にみられる健康問題は?

大規模災害発生後2か月が経過し、応急仮設住宅で生活を始めた被災地の住民に出現する可能性が高い健康問題はどれか。
1.慢性疾患の悪化
2.消化器感染症の発症
3.深部静脈血栓症の発症
4.急性ストレス障害の発症

(第110回午前問題71)

答え:1

医療機関の機能低下や医薬品の不足、 生活環境の変化から、慢性疾患の悪化がみられやすくなる

 大規模災害発生2か月後は、急性期(発災直後)の混乱を脱し、被災者が仮設住宅などで生活を始める慢性期にあたる。この時期に特に問題となるのは、持病(慢性疾患)の悪化である。医療機関の機能低下や医薬品の不足により、高血圧、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患(COPDなど)のコントロールが悪化しやすい。また、生活環境の変化(狭い居住空間、運動不足、ストレスなど)も影響する。
 感染症は、災害直後(避難所生活の初期)にリスクが高い。
 深部静脈血栓症は、狭い避難所や車中泊で長時間座ったままの状態が続くことで起こりやすい。仮設住宅に移ると、ある程度の生活スペースが確保されるため、リスクは低下する。
 急性ストレス障害(acute stress disorder:ASD)は、災害直後(数日~数週間)に発症しやすい。2か月経過後は、心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)などに注目が必要である。

日本食に慣れていない状況を考慮した急性胃腸炎後の食事再開

Aちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が経った。2日前に急性胃腸炎で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付くと「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話した。
このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
1.普段のAちゃんの食事の内容を尋ねる。
2.栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできないと説明する。
3.たくさん食べさせてAちゃんの体力を回復させるよう伝える。
4.病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える。

(第113回午前問題74)

答え:1

まずは普段の食事内容の情報収集が必要

 急性胃腸炎後の食事は消化のよいものが推奨されるため、普段の食習慣を確認しながら、安全な食事を提案するのが適切と考えられる。文化的背景を尊重しつつ、病状に適した食事を提供するための情報収集が重要であるため、普段の食事内容を尋ねることが適切であろう。
 「栄養指導を受けるまで食事の持ち込みはできないと説明する」(選択肢2)といったような、食文化の違いを考慮せず、一方的に禁止する対応は適切ではない。「病院食を完食するまで、持ち込み食は食べさせないよう伝える」(選択肢4)も文化的配慮が不足した対応であり、子どもの食習慣や嗜好に合わせた調整が必要である。
 急性胃腸炎後は、無理に食べさせることよりも、少量ずつ消化のよい食事を摂取することが重要である。

※この記事は『エキスパートナース』2025年定期購読特典の記事を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。