尿道カテーテル管理の基本を紹介。適応・禁忌、尿道カテーテルの種類、太さの選び方、挿入方法、留置中に起こりやすいトラブルについてわかりやすく解説します。
※本記事は『超改訂版 先輩ナースが書いた看護のトリセツ』の内容を再構成したものです。
尿道カテーテルとは、外尿道口から尿道内を通して膀胱内に留置するカテーテルです。
尿道カテーテルの適応と禁忌
適応
●尿閉、排尿困難:血尿による膀胱タンポナーデ、尿道狭窄、前立腺肥大症、神経因性膀胱など
●尿量測定:重症患者、周術期(術中・術後)
●膀胱洗浄、膀胱内への薬剤投与
●泌尿器科術後
●手術、処置時の安静
●失禁患者:仙骨や会陰部の創傷治癒、皮膚の良好な状態を維持するため、難治性失禁
●緩和ケア末期での快適性向上
相対的禁忌(※絶対ではない)
●前立腺炎
●尿道損傷の疑い
●以前の尿道カテーテル挿入による外傷性尿道下裂
尿道カテーテルの種類
1 構造による違い
〈2way〉

●排尿用ルーメンとバルーンルーメンの2つの道がある
〈3way〉

●排尿用ルーメン、バルーンルーメン、洗浄用ルーメンの3つの道がある
★泌尿器科術後や血尿などで持続膀胱洗浄が必要な場合に使用します。
〈特殊なカテーテル:チーマン型〉

●カテーテル先端が少し曲がった形状をしており、挿入困難な患者(前立腺肥大症や尿道狭窄)でも
挿入しやすい
●挿入に特別な技術が必要なため、経験と訓練を受けた者(一般的に泌尿器科医)が行う
2 素材による違い
主にラテックス製とシリコン製が使用されます。
ラテックス製
利点
●柔軟性がある
●安価
欠点
●ラテックスアレルギーでは使用禁忌
適応
●短期間(14日未満)の使用に向いている
シリコン製
利点
●内径が広い
●結石ができにくい
●ラテックスアレルギーでも使用可能
欠点
●柔軟性が低い
●バルーンからの水の漏出でバルーンが縮小しやすい
●ラテックス製に比べて高価
適応
●結石ができにくいことから長期間(14日以上)の使用に向いている
尿道カテーテルの太さの選択
膀胱頸部や尿道の負担を最小限にするために、可能な限り最小径のカテーテルを使用します。
小児
6~10Fr
成人
●きれいな尿:12~14Fr
●軽度の混濁尿・血尿・浮遊物がある:16Fr
●中等度の血尿・浮遊物がある:18Fr
●洗浄が必要な高度な血尿がある:20~24Fr

★同じフレンチサイズでも、シリコン製はラテックス製に比べて内腔が広い
尿道カテーテルの挿入方法
1 事前に確認
●ラテックスとヨードのアレルギーの有無
★ラテックスアレルギーはシリコン製のカテーテル、ヨードアレルギーはベンザルコニウム(オスバンなど)
★アルコール、クロルヘキシジンは粘膜には禁忌!
●前立腺肥大症の有無
★前立腺肥大症は尿道損傷しやすい
〈必要物品〉
●膀胱留置カテーテルキット(膀胱留置カテーテル一体型閉鎖式蓄尿バッグ、滅菌手袋、ディスポーザブルシーツ、潤滑剤、消毒薬(ポビドンヨード)、綿球、鑷子、滅菌蒸留水入りシリンジ)
●固定テープ(固定デバイスがキットに入っているものもある)
●ビニール袋
●個人防護具(PPE):マスク、手袋、エプロン、ゴーグルなど
尿道カテーテルの挿入手順
①患者に説明し、ズボン、下着を脱がせる
②ディスポーザブルシーツの準備
●キットを開けて、ディスポーザブルシーツを取り出す
●臀部の下にディスポーザブルシーツを敷く
③手指衛生して滅菌手袋着用。トレイを患者の近くに置く
④消毒薬と潤滑剤をトレイに出す。バルーンに蒸留水を入れて破損がないかチェックする
★バルーンから水が漏れ出る、バルーンが膨らまない、片側だけ膨らむなどは破損とみなす
⑤消毒薬を浸した綿球で尿道口を消毒する
★男性:中心から円を描くように2~3回、女性:小陰唇を開いて尿道口から腟に向かって3回
⑥カテーテルを挿入する
●カテーテル先端に潤滑剤(ゼリー)をつける
●カテーテルを外尿道口から挿入(男性:カテーテルの根元まで、女性:4~5cm+2cm)を挿
入し、尿の流出を確認したらバルーンを膨らませる
★尿道の長さ 男性:15~20cm、女性:4~5cm
★尿流出がない場合はバルーンを膨らませてはならない!
★男性の場合、大きく呼吸してもらいリラックスさせると括約筋の緊張が取れて挿入しやすい
★高齢女性で腟が萎縮して外尿道口が確認できない時→腟前壁中央に腟壁を沿わすように盲目的にカテーテルを進めると尿道に入ることがある。砕石位にして観察すれば外尿道口を確認できることが多い。誤って腟にカテーテルを進めた場合は、新しいカテーテルに交換する
⑦カテーテルを少し引いて抜けないことを確認、外陰部の消毒を拭き取り、ディスポーザブルシーツを取り除く
⑧PPEを外し、手指消毒をして固定テープで固定する
●男性:下腹部、女性:大腿内側
尿道カテーテル留置中のトラブル
1 カテーテル関連尿路感染(CAUTI)予防
⇒本書p.447「院内感染予防」を参照
2 膀胱刺激症状
●カテーテルとカフが尿道および膀胱を刺激することで、尿意切迫感、尿道・膀胱刺激痛、カテーテルからの脇漏れなどの症状をきたすことがある。
●太いカテーテル留置時や経尿道的手術後などに起こりやすい。
原因
尿道カテーテルそのものによる刺激
対処方法
●鎮痛薬:NSAIDs、特に坐薬が有効原因
尿道カテーテルの閉塞・流出障害
対処方法
●カテーテルの屈曲、ねじれの解除
●固定のし直し
●血尿、混濁尿が原因であれば膀胱洗浄やカテーテル入れ替え原因
尿道カテーテルの位置異常
対処方法
●エコーでカフの位置を確認し、カフの位置異常があればカフ水を抜いて位置調整を行う
尿道カテーテルの交換時期
尿道カテーテルの交換時期は一律には決まっていません。各製品の添付文書においても、交換時期について明確な日数は規定されていません。ラテックス製は短期使用、シリコン製は長期留置に適するとされ、実臨床では施設ルールで運用されているのが現状です。
- 1) 日本臨床泌尿器科医会:成人における膀胱留置カテーテルに関する欧州泌尿器科看護協会ガイドライン 日本語訳版 2024年.
https://www.uro-ikai.jp/dcms_media/other/May%2028%20very%20Final%20version%20JPN%20EAUN%20indwelling%20catheter%20guideline%202024.pdf(2026.6.10アクセス)
2) 芦刈明日香,宮里実:尿道カテーテルによる膀胱刺激症状.臨床泌尿器科 2021;75(4):247-250.
\他の項目は書籍で/

超改訂版 先輩ナースが書いた看護のトリセツ
久保健太郎、濱中秀人、丸山純治、植村桜 編著
西口幸雄 医学監修
照林社
2026年8月6日発売
B5版
3,960円(税込)
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