上部消化管造影検査、単純CT、造影MRIなど、主な検査前の絶食・前処置の有無、検査前の注意点を一覧で掲載。看護師が知っておきたいポイントを紹介しています。

※本記事は『超改訂版 先輩ナースが書いた看護のトリセツ』の内容を再構成したものです。

●X線検査(単純)
●上部消化管造影検査
●注腸造影検査
●腹部超音波検査(腹部エコー)
●心臓超音波検査(経胸壁心エコー:TTE)
●経食道心臓超音波検査(経食道心エコー:TEE)
●単純CT
●造影CT
●DIC-CT(点滴静注胆嚢胆管造影法CT検査)
●大腸CT
●単純MRI
●造影MRI
●MRCP(磁気共鳴胆道膵管造影)
●上部消化管内視鏡検査
●下部消化管内視鏡検査
●ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
●気管支鏡検査

X線検査(単純)

検査の内容
X線撮影をして胸部、腹部、骨などの病変をみる

絶食の必要性
なし

前処置
なし

注意点など
検査画像に影響があるため、金属類・ボタンは外しておく(X線室でOK)

上部消化管造影検査

検査の内容
造影剤を経口内服し、X線撮影を行い、食道・胃・十二指腸の病変をみる

絶食の必要性
●検査前:前日21時以降
●検査後:なし

前処置
検査時に鎮痙薬を筋注し、発泡剤と造影剤(バリウム)を内服

注意点など
バリウムが長時間排泄されないと腸閉塞をきたす。検査後は水分摂取の励行と下剤を内服しバリウムを排泄させる。検査後はバリウム便(白い便)が排泄されたかどうかを確認する

注腸造影検査

検査の内容
造影剤を肛門から注入し、X線撮影を行い、大腸の病変をみる

絶食の必要性
●検査前:前日21時以降
●検査後:なし

前処置
●検査前日は消化のよい食事を摂取し、下剤を内服
●検査時に鎮痙薬筋注→直腸から造影剤(バリウム)を注入

注意点など
バリウムが長時間排泄されないと腸閉塞をきたす。検査後は水分摂取の励行と下剤を内服しバリウムを排泄させる。検査後はバリウム便(白い便)が排泄されたかどうかを確認する

腹部超音波検査(腹部エコー)

検査の内容
体表に超音波を当てて対象臓器(肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣、など)の病変を調べる

絶食の必要性
●上腹部:検査前日21時以降(食事摂取後は消化管内ガスや食物残渣、胆嚢の収縮など、検査に悪影響を及ぼす可能性がある)
●下腹部:なし

前処置
●上腹部:なし
●下腹部:2~3時間前から水分摂取し、排尿せずに膀胱に尿がたまった状態で検査する(膀胱を尿で充満させておくことで、膀胱の病変を見つけやすく、前立腺・子宮・卵巣も見やすくなる。膀胱に尿がたまっていると腸管ガスが少なくなる*超音波は気体は伝わりにくい)

注意点など
なし

心臓超音波検査(経胸壁心エコー:TTE)

検査の内容
超音波を使って体表に心臓の動きや大きさ、弁の状態、血液の流れなどをみる

絶食の必要性
なし

前処置
なし

注意点など
なし

経食道心臓超音波検査(経食道心エコー:TEE)

検査の内容
プローブを飲み込んで食道の内側から心臓の超音波検査を行う。TTEよりも詳細な画像が得られる

絶食の必要性
●検査前:4~6時間
●検査後:1~2時間

前処置
鎮静薬投与あるいは咽頭麻酔で行う

注意点など
●入れ歯は外しておくこと
●下咽頭・食道の穿孔、出血が起こることがある

単純CT

検査の内容
造影剤を使用せずにCT検査を行う。頭部、胸部、腹部、四肢などの病変を調べる

絶食の必要性
●基本的には絶食不要
●腹部では3~4時間前から絶食することもある(食事摂取後は消化管内ガスや食物残渣、胆嚢の収縮など、検査に悪影響を及ぼす可能性がある)

前処置
なし

注意点など
金属類は除去しておく(アーチファクトが出て撮影の妨げになる)

造影CT

検査の内容
造影剤を静脈注射してからCT検査を行う。特に血管性病変や腫瘍の描出にすぐれている

絶食の必要性
●検査前:3~4時間(造影剤の副作用で嘔吐することがあり、胃内容物があると誤嚥の恐れがあるため)
●検査後:なし

前処置
●ビグアナイド系糖尿病薬の休薬:検査後48時間、検査前は施設基準に準ずる(造影剤の副作用で腎機能が低下し、ビグアナイド系糖尿病薬の排泄が遅れ乳酸アシドーシスを起こす可能性がある)
●もともと腎機能障害がある場合は、事前に輸液を投与することがある
●検査時にヨード系造影剤を静脈注射

注意点など
●金属類は除去しておく(アーチファクトが出て撮影の妨げになる)
●ヨード系造影剤によるアレルギーや腎機能障害を起こす可能性がある
●ヨードアレルギー患者は禁忌

DIC-CT(点滴静注胆嚢胆管造影法CT検査)

検査の内容
点滴で胆汁中に排泄される造影剤の投与を行った後にCTを撮影し、胆嚢や胆管を詳しく調べる

絶食の必要性
●検査前:4~6時間(食事をすると胆嚢が収縮して観察しにくくなる)
●検査後:なし

前処置
●検査前に造影剤(ビリスコピン)の点滴を30分~1時間かけて投与する
●点滴終了30分後にCT撮影を行う(造影剤は血中アルブミンと結合して肝臓へ運ばれて代謝されるため、30分以上時間をかけてアルブミンの結合を促す。その後、造影剤が胆管に存在する間にCT撮影する)
●造影CTと同じく、ビグアナイド系糖尿病薬は乳酸アシドーシスを起こす可能性があるため検査後48時間は休薬する(検査前は施設基準に準じる)

注意点など
●造影CTと同様

大腸CT

検査の内容
炭酸ガスを注入して 大腸をCT撮影し、3次元画像を作成し大腸がんやポリープを見つける

絶食の必要性
●検査前:前日21時以降
●検査後:なし

前処置
検査前日は消化のよい食事を摂取し、下剤を内服

注意点など
CT検査台で側臥位になり、6~7mmの細いチューブを肛門に挿入し、炭酸ガス注入装置で大腸を膨らませる。腹臥位と仰臥位などの2つの体位でCT撮影し、肛門から挿入したチューブから腸管内のガスを脱気した後、チューブを抜いて検査終了

単純MRI

★MRAは造影剤を使用せずに脳血管を調べる検査

検査の内容
造影剤を使用せずにMRI検査を行う。脳、脊髄、筋肉、肝臓の病変を見つけるのにすぐれている

絶食の必要性
なし

前処置
なし

注意点など
●金属・磁気製品はあらかじめ外しておく(MRI装置への吸着や熱傷の予防):酸素ボンベ、MRI非対応の医療機器、ライター、鍵、ヘアピン、アクセサリー、磁気カード、補聴器、義歯、カイロ、湿布、貼付剤、カラーコンタクトレンズ、ヒートテックなど
●禁忌:MRI非対応の心臓ペースメーカ・埋め込み型除細動・人工関節・人工内耳・1964年以前の金属人工弁、(相対的禁忌)刺青、妊娠初期、閉所恐怖症

造影MRI

検査の内容
造影剤を静脈注射してからMRI検査を行う。血管性病変や腫瘍の描出にすぐれている

絶食の必要性
●検査前:4~6時間
●検査後:なし

前処置
検査時にガドリニウム造影剤を静脈注射

注意点など
●金属の除去は単純MRI同様。造影CT(ヨード系造影剤)ほどアレルギーは起こらない

MRCP(磁気共鳴胆道膵管造影)

検査の内容
経口造影剤を飲用後にMRI検査を行い、胆嚢・胆管、膵臓・膵管、肝臓の病変を調べる

絶食の必要性
●検査前:4~6時間
●検査後:なし

前処置
検査直前に経口造影剤(ボースデル)を内服(飲水制限のある患者では投与しないこともある)

注意点など
●金属の除去はMRI同様
●造影剤の影響で下痢になりやすい

上部消化管内視鏡検査

検査の内容
口や鼻から内視鏡を挿入して、食道・胃・十二指腸を調べる

絶食の必要性
●検査前:前日21時以降
●検査後:1時間絶飲食

前処置
検査直前に粘液除去剤、咽頭麻酔、鎮痙薬を投与する

注意点など
●鎮静薬を使用することもある
●鎮痙薬に抗コリン薬を使用するため、緑内障、心疾患、前立腺肥大症、麻痺性イレウスは禁忌。その場合グルカゴン、ミンクリアを使用
●検査後は咽頭麻酔の効果が消失するまで1時間は飲食を禁止する

下部消化管内視鏡検査

検査の内容
肛門から内視鏡を挿入して大腸を調べる

絶食の必要性
●検査前:前日21時以降絶食
●検査後:なし

前処置
●(前日)・眠前に下剤内服
●(当日)・腸管洗浄液内服
●検査直前に鎮痙薬を投与する

注意点など
●鎮静薬、鎮痛薬を使用することもある
●鎮痙薬に抗コリン薬を使用するため、緑内障、心疾患、前立腺肥大症、麻痺性イレウスは禁忌。その場合グルカゴンを使用

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)

検査の内容
口から内視鏡を入れて十二指腸まで進め、胆管、膵管に細いチューブを介して造影剤を注入し、胆管や膵管などの病変を調べる

絶食の必要性
●検査前:前日21時以降絶食
●検査後:1時間絶飲食

前処置
検査直前に咽頭麻酔、鎮静薬を投与する

注意点など
●鎮静薬や咽頭麻酔を使用しているため、1~2時間はベッド上安静と絶飲食
●ERCP後膵炎が起こる恐れがあるため、検査2~3時間後に採血でアミラーゼ値や炎症反応を確認する
★腹痛の有無を観察する

気管支鏡検査

検査の内容
口や鼻から気管支鏡を入れて、気管や気管支を観察したり、組織や分泌物を採取する

絶食の必要性
●検査前:4時間絶食
●検査後:2時間絶飲食

前処置
検査直前に咽頭麻酔、鎮静薬、鎮痛薬、抗コリン薬などを投与する

注意点など
●鎮静薬や咽頭麻酔を使用しているため、1~2時間はベッド上安静と絶飲食
●気道出血、気胸が起こる恐れがある
★呼吸状態に注意しておく

東梨恵:検査前の前処置と絶食の有無一覧.久保健太郎,濱中秀人,徳野実和,倉岡賢治編,先輩ナースが書いた看護のトリセツ,照林社,東京,2019:140-142.を一部改変して転載

1) 東梨恵:検査前の前処置と絶食の有無一覧.久保健太郎,濱中秀人,徳野実和,倉岡賢治編,先輩ナースが書いた看護のトリセツ,照林社,東京,2019:140-142.

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『看護のトリセツ』表紙

超改訂版 先輩ナースが書いた看護のトリセツ
久保健太郎、濱中秀人、丸山純治、植村桜 編著
西口幸雄 医学監修
照林社

2026年8月6日発売
B5版
3,960円(税込)

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