代表的な不整脈の心電図波形が読めるように、波形の読み方の要点を図解付きでわかりやすく解説!今回は心室期外収縮(PVC/VPC)の波形の読み方を紹介します。あわせて見ておきたい検査データもチェックしましょう。
心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形の特徴は?
通常のリズムと別に、心室から発生した波形に注目!
心室期外収縮は、電気刺激が洞結節から出ていないためP波はなく、期外収縮波形の手前でRR間隔が短縮した不規則な波形です(①②)。刺激が通常の伝導と異なるところを通るため時間がかかり、QRS波は幅広く変形します(③)。
図1 心室期外収縮の読み方


Lown分類で重症度を判断
心室期外収縮は、心室頻拍(VT)、心室細動(VF)、無脈性電気活動(PEA)といった重症不整脈の前触れかもしれません。Lown(ラウン)分類(表1、図2)で重症度を判断しましょう。Lown分類は番号が上がっていくにつれて、危険度が増していきます。「3以上」であれば医師に報告しましょう。
Lown分類3「多形性」は、いろいろな形のPVC波形が現れます。Lown分類4(a)「2連発」は、PVCが2つ続けて出現、Lown分類4(b)「3連発」はPVCが3つ以上続けて出現します。
Lown分類5「R on T型」は、1つ前のT波に重なるようにPVCが現れます。心室細動(VF)や心室頻拍(VT)などの致死的不整脈に移行しやすい波形です。
表1 Lown分類

図2 ドクターコールが必要な心室期外収縮波形

心室性の不整脈が出現するということは、心筋の動きが異常であるという認識を持たなければなりません。体液バランスのチェック、症状の有無、薬剤の影響など、原因をアセスメントする必要があります。
心筋梗塞や心筋症、心不全など、心臓自体の疾患が隠れているかもしれません。検査データも確認し、状態が悪化する前に対処しましょう。
心室期外収縮(PVC/VPC)とともに見るべき検査データは?
急性心筋梗塞(AMI)、心不全、心筋症において、心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形を見るときは、下記の検査データもあわせて確認しましょう。
急性心筋梗塞(AMI)
●CK↑(男性:57~197U/L、女性:32~180U/L)
●CK-MB↑(定性:1~4%、定量:15~25U/L)
●WBC↑(4,000~8,000/μL)
●肝酵素(AST、ALT)↑(AST:10~40U/L、ALT:5~45U/L)
心不全
●BNP↑(18.4pg/mL以下)
●胸部X線での心拡大
●IN/OUTバランスの変化
心筋症
●WBC↑
●CRP↑(0.3mg/dL未満)
●発熱
(基準値は文献1より引用)
- 1.西﨑祐史,渡邊千登世編著:ケアに生かす検査値ガイド 第2版.照林社,東京,2018.
「心電図」についてもっと知るなら
●注意したい危険な心電図を確認!
●心電図の“要点だけ”をまとめました
●ハート先生が解説!心電図特集
こちらもチェック!
●会員登録(無料)で「お役立ち疾患ノート」PDFを1冊まるごとプレゼント
●そのほかの連載はこちら
※この記事は『エキスパートナース』2022年年間定期購読特典を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。

