6月5日(金)より公開の映画『アダムの原罪』。骨折して入院してきた4歳の男の子と移民のシングルマザーの処遇をめぐって繰り広げられる人間模様を、2人に寄り添おうとする看護師の視点で描くヒューマン・サスペンスです。
自身もシングルマザーの看護師は孤立する母子に寄り添おうとするが…
献身的で経験豊富な看護師長・ルシーが勤務する、とある小児科センター。育児放棄や虐待など家庭環境に問題のある子も集まるなか、4歳のアダムという男の子が左腕を骨折して入院してきます。アダムは慢性的な栄養失調で、骨がもろくなっていました。

しかし、移民のシングルマザー・レベッカは「腹痛を起こすから」という理由でアダムに病院食を食べさせません。裁判所は彼女に、アダムとの面談は毎日2回の食事のときのみと制限しますが、レベッカは面会時間が過ぎても「今夜だけでも泊まりたい」と主張。かたくななレベッカに根負けしたルシーは、裁判所の調査官に連絡をとってもらうよう、センター長に頼みます。
レベッカと同じく、ルシー自身もシングルマザー。業務の合間に立って食事をしながら、子どもに電話をかけて様子を尋ねる様子も描かれます。そんなルシーは、レベッカとアダムを引き離すべきではないと考え、2人に寄り添おうとします。

そんななか、レベッカの軽率な行動により状況は悪化。母子を救おうとするルシーですが、上司や同僚からのプレッシャーによって追いつめられ、病院が従うべき司法制度との間で板挟みになっていきます。アダムの父親も病院に呼び出され、レベッカは親権を失いかねない事態に……。葛藤するルシーがとった行動とは。
守られるべき子どもの“命”についての問いかけ
ローラ・ワンデル監督は、実際に病院に3週間通い詰め、スタッフミーティングや患者の診察に立ち会うなどして現場を体験。その後も入念なリサーチを重ね、約4年をかけて脚本を書き上げたといいます。
医療従事者はすべての患者をケアしたい、母親は我が子のそばにいたい――。そんな当然ともいえる思いがままならなくなってしまった、現代社会の歪みを描こうとした本作。ローラ・ワンデル監督は、「もちろん医師であれ、責任者であれ、判事であれ、それぞれが子どもにとっての最善を考えています。そして心の奥底で、それを自身に影響する何かを守る口実として利用しているのです。この映画ではそこを描いています」と語ります。

『アダムの原罪』の英題は『Adam‘s Sake(アダムのために)』。“Adam”とは特定の人物ではなく、“私たちすべて”を指し、アダムのためになることは人類のためになる、とのメッセージが込められているとのこと。勇気あるルシーの行動を通して、人間の良心や他者への共感、最優先すべき子どもの命についての問いが浮かび上がってきます。
予告編のラストにも流れる、「ママがいい。でも死ぬのはヤダ」とのアダムの言葉。これを聞いてレベッカが出した決断は――。
本編時間は79分。長編映画としてはコンパクトな時間が、常に動き回るルシーのめまぐるしい仕事ぶりを、切迫感をもって描き出しています。
『アダムの原罪』
6月5日(金) 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開監督・脚本:ローラ・ワンデル
製作:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟
出演:レア・ドリュッケール、アナマリア・ヴァルトロメイ
2025年/ベルギー、フランス/フランス語/79分/16:9/5.1ch/原題: L’intérêt d‘Adam /英題: Adam‘s Sake
日本語字幕:岩辺いずみ
提供:ニューセレクト
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
後援:駐日ベルギー大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ公式サイト:https://adam-film.com
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