神経細胞や筋細胞が興奮すると膜電位がプラス方向に変化して、隣接する細胞に伝わります。心室筋細胞に刺激が到達して膜電位が-60mV程度まで浅くなると、細胞膜にあって通常は閉じているナトリウムチャネルが電位に応じて開き、細胞外部からナトリウムイオンが流入し、膜電位はプラスに逆転します。これが脱分極であり、脱分極を引き起こすきっかけとなる膜電位を閾膜電位と呼びます(図4- 1)。
ナトリウムチャネルはすぐに閉じますが、引き続きカルシウムチャネルが開いてカルシウムイオンの流入が起こり、心筋が収縮します(図4-2)。その後、カリウムチャネルが開いてカリウムイオンが細胞外に流出して、膜電位は平常状態に戻ります。これを再分極といいます(図4- 3)。
このような一連の変化が一定のリズムで繰り返し起きることによって、心拍が保たれているわけです。
- 1.Costanzo LS著,岡田忠,菅屋潤壹監訳:コスタンゾ明解生理学.エルゼビア・ジャパン,東京,2007.
2.小澤瀞司,福田康一郎監修,本間研一,大森治紀,大橋俊夫,他編:標準生理学 第8版.医学書院,東京,2014.
医療事故につながる!危険なくすり【第2回】急速静注によって起こること
この記事は『エキスパートナース』2018年8月号特集を再構成したものです。
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