隠された疾患を見逃さないため、看護師にとって大切な「臨床推論」。今回は嘔気・嘔吐、両下肢の脱力・しびれを訴える事例における、胸部単純X線画像と胸腹部造影CT画像の検査について解説します。
今回の事例:「食後の嘔気・嘔吐」「両下肢の脱力・しびれ」で緊急搬送された男性
第3回:嘔気・嘔吐、下肢脱力・しびれの症例で学ぶフィジカルアセスメント
第4回:嘔気・嘔吐、下肢脱力・しびれで疑うべき疾患は?
第4ステップ 急性大動脈解離を疑って画像検査を行う
図1に胸部単純X線写真を示します。これに加えて、これまでの情報から急性大動脈解離が疑われ、胸腹部造影CTを撮影しました。
図1 胸部単純X線(臥位)
●この画像だけでは、診断に有用な情報は得られない。
●臥位で撮影されており、縦隔の拡大の有無を判断するのは難しい。
●ショックなどで座位になれない理由がなければ、できるだけ座位で撮影するほうが望ましい。

その結果、上行大動脈から下行大動脈、腹部大動脈を越えて総腸骨動脈に至る解離が認められました。両側の大腿動脈まで解離が及んでいるのが確認され、それより末梢では動脈が造影効果に乏しい状態でした(図2)。
図2 造影CT
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