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モノで変わった!看護ケア【第4回】救急ケア④気管挿管確認用品
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モノで変わった!看護ケア【第4回】救急ケア④気管挿管確認用品
確実な気管挿管のためにさまざまな物品が登場 気管挿管という手技は、経験の多い麻酔科や救急科の医師だけでなく、挿管研修を終えた救急救命士が心肺停止患者に対してプレホスピタルで行うこともあります。また、患者の状態や環境によって気管挿管の難易度は変化する可能性があります。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 生命を維持するために気道確保は重要な要素となり、緊急性の高い事例では生命予後に大きくかかわります。したがって、“安全かつ確実な気管挿管”が実施されることが最も重要ですが、食道挿管は実際には最も起こり得る、かつ避けなければならない有害事象です。 緊急挿管時の確認は、「挿管チューブのくもり」「胸部挙上による視診」「バッグ換気による触診」「5点聴取法による聴診」といった五感を用いた確認が最も重要と考えます。もちろんその後に「胸部レントゲンでの位置確認」を行いますが、レントゲン写真でも100%確実に挿管を検知できるわけではありません。 そこで、気管挿管確認のための物品を使用します。挿管確認物品は簡易的なものから高機能な商品までさまざまです。 色彩識別二酸化炭素検知器 図1 色彩識別二酸化炭素検知器の例 左からイージーキャップ™、ペディキャップ™(画像提供:コヴィディエンジャパン株式会社)●イージーキャップ™は体重15kg以上の患者に使用可能、ペディキャップ™は体重1~15kgの患者に使用可能。いずれも開封後2時間まで使用可 呼気時に排出する二酸化炭素の濃度の範囲を、色の比較により検出する装置です。原理としては、pHに反応するインジケータペーパーが、二酸化炭素濃度に応じて色調を変えることにより測定できます。 気管挿管後に気管チューブとバッグバルブマスクの間にイージーキャップ™を装着し、換気を行い、呼気時に紫色から黄色に変色するのを確認することで、気管チューブが気道にあることが確認できます。 ただし、使用時の注意点として、6回の換気後、呼気を完全に吐ききった時点で判断します。これは、気管チューブを誤って食道内部に挿管した場合でも、挿管前の空気による胃の膨張によって4.5%程度の二酸化炭素がイージーキャップ™に取り込まれる場合があるためです。 また、6回の換気により胃の膨満を助長し、嘔吐や誤嚥の原因となる危険性があるため、嘔吐時の対応に必要な物品やケアの準備も大切です。プレホスピタルや災害現場などで使用する場合、暗所では視認性が低下することを念頭に置く必要があります。 色彩識別二酸化炭素検知器は、プレホスピタルで活動する救急隊における挿管後の二次確認物品として、多くの救急隊活動プロトコルに記載されています。また、搬送中の呼吸状態のモニタリングとしても使用されます。 呼気終末二酸化炭素ガス分圧測定器(カプノメータ) 図2 呼気終末二酸化炭素ガス分圧測定器 カプノストリーム™ 20P(画像提供:コヴィディエンジャパン株式会社)※2021年に終売。後継製品は「カプノストリーム™35」 (異常波形は文献2より引用) マシモEMMA®(画像提供:マシモジャパン株式会社) カプノメータは、呼吸や人工換気によって体外に排出される呼気終末二酸化炭素濃度(end-tidal CO2、ETCO2)を測定できる機器です。このETCO2を数値化したものを「カプノメトリ」、グラフ化したものを「カプノグラフィ」と呼びます。現在ではさまざまなメーカーより、小型なものから多機能モデルまで販売されています。 『JRC蘇生ガイドライン2020』3では、「まず身体所見(聴診、視診等)を行い、加えて波形表示のある呼気CO2モニターを用いることは食道挿管の回避に寄与すると判断し強い推奨を指示する」3としています。 使用時の注意点として、ETCO2は動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)と相関するとされていますが、実際の数値は解剖学的死腔により希釈されるため、PaCO2よりも1~5mmHg程度低いとされています。また、患者の状態や機器トラブルによってもETCO2の数値が変化することを念頭に置く必要があります(表1)4。 表1 ETCO2に影響する因子<呼吸>ETCO2上昇●低換気●閉塞性肺疾患ETCO2低下●過換気 <循環>ETCO2上昇●発熱、敗血症による心拍数増加ETCO2低下●心肺停止●ショック●肺塞栓 <代謝>ETCO2上昇●仏痛●悪性高熱●シバリングETCO2低下●低体温 <機器関連>ETCO2上昇●呼吸弁の不良ETCO2低下●食道への誤挿管●気管チューブの折れ・ねじれ●回路接続部のリーク●人工呼吸器の故障 (文献4より引用) 救急外来や病棟において気管挿管を行う際には、ETCO2の数値やカプノグラフィを活用して、食道挿管の有無を判断することができます。図2のような異常な波形が出た場合は食道挿管を疑います。 二酸化炭素(CO2)が検出されなければ食道挿管とわかりますが、最初の数回の換気では、カプノグラフィの低いピークの波形が出現することがあります。これは、挿管前に胃内に貯留した二酸化炭素を含むガスが呼出されるため起こるとされています。このガスはすみやかに排出されるため、最初の数回以降、こうした波形は出なくなるのが特徴です。 カプノメータのグラフや数値を継続的にモニタリングすることで、患者の容態変化や機器のトラブルに早期に気づくことができます。ただし、モニタだけにとらわれず、患者の状態をアセスメントしてケアを行うことが大切です。 1つのツールのみではなく、複数の方法で制度を上げることが重要 これまでに挙げた挿管確認物品は、1つのツールのみを使用するのではなく、適材適所に使用し、視診・聴診・触診など五感を使った確認を行いながら、複数の方法を用いて精度を上げ、確認することが大切です。 またプレホスピタルや災害現場などでは、騒音、暗所、限られた空間や寒暖など環境によって気管挿管の確認行動が制限されることもあります。そのようなときに、製品の特徴や注意事項を踏まえて臨機応変に使用し観察することで、患者に与える影響を少なくしていくことが、私たち看護師の使命でもあります。 引用文献1.Wee MYK:The oesophageal detector device:Assessment of a new method to distinguish oesophageal from tracheal intubation.Anaesthesia 1988;43(1):27-29.2.尾頭希代子,安本和正:3カプノメトリより得られる情報,特集・麻酔中にモニター波形からわかること.臨床麻酔 2008;32(6):1017.3.一般社団法人日本蘇生協議会監修:JRC蘇生ガイドライン2020(第2章二次救命処置).https://www.jrc-cpr.org/wp-content/uploads/2022/07/JRC_0047-0150_ALS.pdf(2024.7.11アクセス)4.仁科典子:特集・モニタリング②パルスオキシメーター、カプノメーター.呼吸器ケア 2010;8(4):63. モノで変わった!看護ケア【第5回】救急ケア⑤迅速検査キット(急性心筋梗塞マーカー)(9月24日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2015年7月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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モノで変わった!看護ケア【第3回】救急ケア③自動式心マッサージ機器
1991年から救急隊員による自動式心マッサージ機器の使用が可能に 自動式心マッサージ機器は、絶え間なく質の高い胸骨圧迫を、自動的に行う装置です。 1970年代後半にピストン型のものが開発され、日本でも1991年から救急隊員による自動式心マッサージ機器の使用が可能になりました。その後、さまざまな種類の自動式心マッサージ機器が開発されてきました。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 近年、携帯性の高い自動式心マッサージ機器が開発されたことも重なって、その有用性が見直されています。 同時に他の処置ができるため人員不足にも役立つ 突然の心停止への対応では、まず、ただちに有効なCPR(cardio pulmonary resusci-tation)を行うことが重要になってきます。院内の限られた人員体制のなかでの人員不足や、物理的な理由で有効な胸骨圧迫が難しい状況などの場合に役立つのが自動式心マッサージ機器です。 安定した胸骨圧迫が継続可能となり、同時に必要な他の処置が可能となります。 狭小空間でも有効な胸骨圧迫を継続できる 機器の例を図1に示します。 図1 自動式心マッサージ機器の例 LUCAS® 3心臓マッサージシステム(画像提供:日本ストライカー株式会社)●リチウムポリマバッテリにより最大約45分作動する。外部電源を本体に接続すれば連続動作も可能● “JRCガイドライン20201に沿った胸骨圧迫”(圧迫の深さ:約5cm(6センチ未満)、圧迫頻度:100~120回/分、完全なリコイル:胸骨圧迫の間の胸郭の復元)が可能●本体重量は約8.0kgと軽量、専用キャリングバッグで持ち運びも可能●X線透視下でも使用可能(上部ユニットとピストンを除く、前後以外の全ポジションから透視可能) オートパルス人工蘇生システム(画像提供:旭化成ゾールメディカル株式会社)●ライフバンドの使用により、胸腔にかかる圧迫力を分散させることで、胸部の各部位にかかる圧力が、用手圧迫時の約10分の1に抑えられる●広範囲に力を分散させることにより、骨折発生の閾値を大幅に下回る適正な圧迫力を維持し、ほぼ正常な血流量が得られる●起動時に胸囲全体を自動的に測定するとともに、最初の6~8回の圧迫で胸郭の耐性強度を判定する。この機能により、患者の胸部の厚さに対して“胸腔の20%の圧迫”の提供が可能となる(旭化成ゾールメディカル社の臨床データによる) これらの機器は、用手胸骨圧迫を行いながらの処置や検査・治療など、必然的に胸骨圧迫を中断せざるを得ない場合に導入することで、中断時間を最小限にできます。 また、移送時やCT検査等の放射線被曝を防ぎ、人員の安全確保ができます。 蘇生処置の長期化や、ドクターカー・ドクターヘリなどの狭小空間では、用手胸骨圧迫の質の低下が懸念されます。これらの機器を導入することで、有効な胸骨圧迫を継続することができます。 患者家族への心理的ケアも大切 使用中の合併症として、肺破裂、肋骨骨折、胸骨骨折や、特に圧迫部位の皮膚損傷(水疱形成が多い)が起こりやすいため、注意が必要です(図2)。 また、自動式心マッサージ機器を初めて目にする患者家族の、心理的ケアも考えなくてはなりません。 図2 使用時の注意点 引用文献1.一般社団法人日本蘇生協議会監修:JRC蘇生ガイドライン2020(第2章二次救命処置).https://www.jrc-cpr.org/wp-content/uploads/2022/07/JRC_0047-0150_ALS.pdf(2024.7.11アクセス) 参考文献1.日本ストライカー株式会社:LUCAS® 3心臓マッサージシステム取扱説明書.2.旭化成ゾールメディカル株式会社:オートパルス人工蘇生システム取扱説明書. モノで変わった!看護ケア【第4回】救急ケア④気管挿管確認用品 この記事は『エキスパートナース』2015年7月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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モノで変わった!看護ケア【第2回】救急ケア②頸部保護用品
可動性の高い頸椎を保護するために このブロック以降のコンテンツは非表示になります 脊髄外傷は、日本では年間で約5000人の脊髄損傷患者が発生しています。発症は20歳代と60歳代に多く、損傷部位は頚髄60%、胸腰髄40%です¹。 原因は、交通事故、転落、歩行時転倒、スポーツの順に多く、頚髄損傷では、転落や転倒など低エネルギー受傷機転による高齢の非骨傷性頚髄損傷が増加しています2。 このように、脊髄のなかで、最も可動性に富む頸椎は損傷を受けやすいため、頸椎カラーの装着などによる保護が重要になります。 一般に、顎まで支えのある「硬性頸椎カラー(図1)」は、成人用と小児用があり、適切なサイジング*1と確実な装着のもと使用します。*1【サイジング】=患者の肩峰と下顎の延長線上の間隔を測定してサイズを選択すること。 図1 頸部保護用品の例 硬性頚椎カラー ●側屈に対する固定性は弱く、移動や体位変換時は用手的保護の追加が必要 パトリオット WPA-7-1(アダルト)、WPA-9-1(チャイルド)(製造:Wealthy Plastic & Electronic Products Company Limited. 、製造販売業者:株式会社ワコー商事) しかし、頸部の屈曲・伸展に対してはある程度抑制できるものの、側屈に対する固定性は弱いため、移動や体位変換時は用手的保護の追加が必要です。ソフト頸椎カラーとの比較では、頸椎の動きを妨げる効果は大きいものの完全でなく、最も優れた固定方法は、耳の横に砂嚢を置くことであるとされています。 また、砂嚢と頸椎カラーの併用により、頸椎の動きが優位に抑制できるとの報告3により、現在の併用方法(頭部固定具〈ヘッドイモビライザー 〉+硬性頸椎カラー+バックボードの併用)が浸透したとされています(図2)。 図2 ヘッドイモビライザーとバックボードを併用した全脊柱固定の様子 頭部はヘッドイモビライザー、頸部は硬性頸椎カラーで固定し、全身はベルトによってバックボードに固定することで、搬送中に患者の脊柱が不用意に動くことを予防する。損傷臓器や骨折部位の保護にもつながる ●バックボードはあくまで搬送用の器具であるため、長時間使用により褥瘡などの皮膚トラブルの発生が危惧される。そのため2時間以上の使用は好ましくない●患者が全脊柱固定をされている間に嘔吐した場合、窒息(誤嚥)を引き起こす恐れがあるため、看護師は事前に吸引を含めた気道管理の準備をしておくことが必要●確実な全脊柱固定が実施されている場合は、バックボードのまま横に向けて口腔内の吐物を出す方法も有効 次のページ頭部の重量を分散し、頸椎の動揺を抑制
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