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退院後の収入についての患者さんの悩みにどう答える?看護師FP®が解説【第4回】
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退院後の収入についての患者さんの悩みにどう答える?看護師FP®が解説【第4回】
病院での治療や介護サービスの費用について患者さんから相談されたら、看護師はどう答えればよいのでしょうか。看護師FPⓇが詳しく解説します。 患者さん入院するときに仕事を辞めてしまったから、退院後の収入源がないんです…看護師退職時の状況によっては、健康保険の傷病手当金が利用できる可能性がありますよ! 退職後も健康保険の傷病手当金を利用できるかを確認しよう 退職のしかたや社会保険の加入の状況によっては、退職後にも継続して健康保険の傷病手当金を利用できる場合があります。 ただ、要件など注意するべき点が多くあります。そのため、患者さんに自身が加入している健康保険会社に確認してもらうか、MSWや社会保険の専門家である社会保険労務士(社労士)に確認できるよう、連携できるとよいですね。医療機関によっては、社労士が派遣で来ているところもあります。 健康保険の説明は「言い切らない」ことが大切 看護師が行う説明で注意しておきたいのが、利用できる・できないを断定せずに「利用できる可能性」に留めておくことです。健康保険の説明は複雑であり、説明不足で受け取れなかったというトラブルも散見されているため、断定せず確認先に誘導していくのが望ましいでしょう。 収入が途絶えてしまうことで、治療の継続だけでなく衣食住が脅かされる可能性もあります。入院時に行う社会面のヒアリングで確認している職業内容からも、収入が途絶えそうかの予測が可能です。早期に予測し、MSWや社労士へと連携していけることが望ましいでしょう。 おさえておきたい傷病手当金のポイント ここでは傷病手当金について、おさえておきたいポイントを説明します。まず、健康保険組合によって内容が異なる場合があります。中小企業の従業員の方が多く加入している「全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)」をもとに説明します。なお、患者さんが加入している健康保険は本人の健康保険証から確認することができます。 まず、傷病手当金がどのようなものか、図1・図2に示します¹。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 図3 傷病手当金の対象と考え方 ①対象〇 会社員や公務員など× 自営業(国民健康保険※)や専業主婦、扶養内でパートをしている人※国民健康保険組合の場合、傷病手当金が利用できることもある ②いくら受け取れるのか給料のおおよそ2/3Point 傷病手当金は職場からではなく、加入している健康保険から受け取れるお金 ③どのようなときに受け取れるのか病気やけがのために働くことができず、会社等を休んだ日が連続して3日間(待機期間)あったうえで、4日目以降、休んだ日(十分な報酬が受けられない)に対して支給される*同じ疾患名の場合、待機期間が一度完成していれば、休みはじめる直前の日に出勤していても次の休業期間から傷病手当金が支給されます (文献1を参考に作成) 図4 傷病手当金の支給期間の変更(令和4年1月1日より) (文献1を参考に作成) *令和4年1月1日より、支給開始が令和2年7月2日以降の支給分については出勤期間を含めず「通算」でカウントされるようになりました 退職後の継続給付について 退職後も、次の要件を満たせば残りの期間に引き続き給付金を受け取れることがあります。 A. 退職日までに継続して1年以上の健康保険加入期間がある B. 退職時に要件を満たしている(図1・③のように待機期間と4日以上の休みがある) じつは、ここが難しい点です。Aに関しては、1つの保険の加入期間が1年未満だったとしても、他の健康保険でも通算される場合があります。1年以上の健康保険加入期間の確認が難しい新入社員や派遣社員の患者さんであれば、加入している健康保険組合や社労士に確認してもらうことをおすすめします。 Bのケースは、「退職日に働いていない(引継ぎなども含む)」ことが重要です。在職中に傷病手当金を受け取っていなかったとしても、上記の要件を満たして健康保険組合の審査に通れば受け取れる可能性があります。ただし、退職後にはさかのぼって要件を満たすことができませんので、可能ならば退職する前に注意点として伝えておきたい内容です。 退職前であれば、職場の休職制度を利用できる可能性もありますし、在職中から傷病手当金を利用することもできるなど、選択肢は広がります。入院前の外来診察などの段階で、病気でもすぐに仕事を辞めなくてもよいことを伝えたり、迷っている場合にはMSWや社労士と今後の仕事の継続について話し合う機会をつくれると、さらに選択の幅が広がることでしょう。 傷病手当金の注意点 傷病手当金は仕事を休んだ後の事後申請となります。実際に休んだ期間について、医師による働けなかったことの証明と、職場の欠勤証明が必要であるためです。書類を準備して健康保険に申請し、審査(3週間ほど)を受ける必要があるので、実際に休み始めた時点から口座に振り込まれるまでには2か月以上かかります。 働いて収入を得ている患者さんにとって、病気やけがで働けなくなり、傷病手当金が受け取れるまでの無収入の期間は「医療費が支払えるのか」、「これからの生活は大丈夫か」といった不安が強く出る時期でもあります。また、傷病手当金は給料のおおよそ2/3の金額が支払われるとはいえ、社会保険料や住民税は支払う必要があります。そのため、実際に使える金額は給料の場合よりかなり減ることが多いですし、傷病手当金にはボーナスにあたるものもありません。 無収入の期間や傷病手当金の金額でのやりくりをどうすればよいのかについては、個人ごとのお金の状況や家族構成でも変わってくるため、日々の支出の見直しとセットでFPに生活設計を相談するとよいでしょう。 また、自営業や扶養内で働くパートの方には基本的に傷病手当金はありませんので、仕事の継続ができないことは収入減に直結します。無収入になる場合もあるため、早めの段階でFPに生活の立て直しを相談されることをおすすめします。 引用文献1.全国健康保険協会ホームページ:傷病手当金.https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/(2025.2.12アクセス) 【第5回】公的な保障・助成についての患者さんの疑問にはどう答える?(4月1日配信予定) この記事は『エキスパートナース』2024年6月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。 「患者さんからの入退院にかかわるお金の悩み、どう対応する?」の記事【第1回】患者さんのお金の悩みには多職種で連携【第2回】入院費についての患者さんの悩みにどう答える?【第3回】治療や介護サービスの費用についての患者さんの悩みにどう答える?
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治療や介護サービスの費用についての患者さんの悩みにどう答える?看護師FP®が解説【第3回】
病院での治療や介護サービスの費用について患者さんから相談されたら、看護師はどう答えればよいのでしょうか。看護師FPⓇが詳しく解説します。 患者さんサービスが増えると、かかるお金も増えるんでしょう? 最低限のサービスだけにできない?看護師希望される介護サービスが予算内で受けられるように、○○さんの生活やサービスに関する希望を伺わせてください 介護サービスの費用は患者さんからよくある悩みのひとつ こちらは、介護サービスが開始される際によく聞かれる悩みです。在宅移行支援にかかわる病棟看護師や退院支援看護師は、患者さんから介護サービス費用の悩みを打ち明けられることも多いのではないでしょうか。また、「施設はお金がかかりすぎるから、退院したとしても入れないんだよ」といった、施設入所費用についての悩みを聞くこともあるかと思います。 介護サービスへの理解度や費用の認識を再確認しよう 介護サービス費用に直接かかわるケアプランを作成するのはケアマネジャーですが、看護師は患者さんや家族に医療的ケアの指導を行うとともに、患者さんに近い存在として生活・生き方への希望を引き出したり、介護サービスへの理解度・費用に対する認識を確認できると、ケアマネジャーとの連携にもつながるのではないでしょうか。 また、入院中にMSWと連携して介護保険を申請していくことで、スムーズな在宅移行にもつながります。 次に、患者さんへの介護サービスの理解度の確認や、費用の認識を確認するうえで必要な情報を確認していきましょう。 患者さんと確認したい内容 1-1 介護サービスの費用に対しての認識 子育てなどと違い、介護費用は「いつまでかかるかわからない」という不安を抱えていることも少なくありません。そこで、患者さんがどのくらいの費用を想定しているのかを確認していく必要があります。 生命保険文化センターの介護費用データによると、2021年度の介護費用の月平均は8.3万円(在宅4.8万円、施設12.2万円)で、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円です¹。 介護期間は平均して5年と1か月ですので¹、介護費用の総額を計算すると平均約580万円にもなります。施設と在宅では費用が大きく変わりますが、介護サービス費用に関しては介護保険を利用することで、一定額までに抑えることが可能です(図1)²。 図1 介護保険制度における利用者負担 (文献2を参考に作成) 収入にもよりますが、年金収入のみの場合は1割負担であることが多いです。介護給付1割負担の場合の自己負担額の例を見てみましょう(居宅サービスを上限額まで利用した場合、表1)³。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 表1 居宅サービスの1か月あたりの利用限度額とその自己負担額(1割) (文献3を参考に作成) 1-2 かかっているのが医療費と介護費どちらかなのか、どちらもなのかも確認 医療費と介護費がどちらもかかっている患者さんでは、高額医療・高額介護合算療養費制度で年間の上限額まで利用できるので、適切な申請により費用を抑えることができます(表2)⁴。表3に、要介護3で自宅介護の場合の具体的な例を示しています。 表2 高額医療・高額介護合算療養費制度における自己負担限度額(医療保険+介護保険、70歳以上の人のみの世帯) (文献4を参考に作成) 表3 自宅介護の具体例(要介護3の療養者の場合) 要介護3の場合、1割負担ならば1か月の自己負担額は27,048円となるので(表1参照)、限度額いっぱい利用するとなると表3のようなサービスとなります。これを十分と考えるか、不十分と考えるかは本人や家族のライフスタイル・価値観によって変わってきます。サービスを減らすということは、そのぶんの介護を自力で行うか家族が行うことになるためです。 家族が仕事をしている場合、仕事と生活と介護の両立は可能なのかも確認していきましょう。家族の介護力の確認は、介護離職を予防するためには不可欠であるためです。公的な制度で介護休業給付金(賃金の67%が雇用保険から支給される)があるとはいえ、93日間の支給日数であり、長期の介護が予想される場合は仕事と生活と介護の両立が重要となってきます。 これらに加え、通所介護やショートステイなども検討できると、無理なく介護を継続していけるのではないでしょうか。他にも心身の状態や必要に応じて、「通い」を中心に「泊まり」「訪問」を組み合わせて利用できる小規模多機能ホームがあります。また、数は多くはありませんが、医療面を重視した看護小規模多機能型居宅介護(看多機)もあります。 2 施設入所に関しての本人の考え 前述のように、施設入所の費用は在宅介護に比べて高くなります。元気なうちに住み替えを検討していれば予算や希望に合った施設を選ぶことも可能ですが、今回のように病気を抱えて要介護状態で探す場合は、空きがなく入居待ちになる可能性が非常に高いです。 そこで、早めに情報収集していけるよう、意向を確認していくことや一時的に在宅介護などを検討していく必要もあります。要介護状態での施設の選択肢には、表4のようなものがあります。 「在宅での療養に不安があり、もう少し入院したい」という場合には、「地域包括ケア病棟」「療養病棟」「介護医療院」といった選択肢もあります。 また、「生活保護でやりくりしていて、施設にも入れない。もうしばらく病院にいさせてくれませんか?」という声も聞かれます。なかには生活保護者や低所得者でも入所できる特別養護老人ホーム(特養)もありますが、こちらもやはり空きがなく入居待ちになる可能性が非常に高いです。そのため、一時的な在宅介護などを検討していく必要があります。 表4 要介護状態での施設の選択肢(例) ●特別養護老人ホーム介護保険による施設なので、費用は手ごろ。一時金はなく、個室型でも月額12~15万円程度。要介護3以上でないと入居できず、希望しても順番待ちとなることもある。 ●介護付き有料老人ホーム主に民間企業が運営しており、一定の設備、人員、運営基準のもと都道府県の指定(認可)を受けている施設。例:入居費30万円、家賃・食費・共益費で13万円(月額) ●介護老人保健施設介護保険による施設、入居期間は原則3か月。例:多床室 要介護度3 自己負担1割 30日入居した場合 介護保健施設サービス費・居住費・食費で8万円 ●グループホーム正式名称「認知症対応型共同生活介護」。入居者が住む市町村の施設にしか入れない。入居費は施設により差がある。 資料 要介護区分要支援1:社会的支援を要する〈高齢者の状態(例)〉●基本的な日常生活動作はほぼ自分で行うことが可能●要介護状態となることの予防のために買い物・掃除などにおいて何らかの支援が必要 要支援2:部分的な介護を要する〈高齢者の状態(例)〉●基本的な日常生活動作はほぼ自分で行うことが可能だが、要支援1よりやや低下●買い物・掃除などを行う能力が低下しているため、何らかの支援・一部介護が必要 要介護1:部分的な介護を要する〈高齢者の状態(例)〉●立ち上がりや歩行などに不安定さが見られる●排泄や入浴などに一部介護が必要●問題行動や理解の低下が見られることがある 要介護2:軽度の介護を要する〈高齢者の状態(例)〉●立ち上がりや歩行などが自力ではできない場合が多い●排泄や入浴などに一部介護が必要 ●問題行動や理解の低下が見られることがある 要介護3:中程度の介護を要する〈高齢者の状態(例)〉●立ち上がりや歩行などが自力ではできず介護が必要●入浴や排泄、衣類の着脱などに全面的な介助が必要●いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある 要介護4:重度の介護を要する〈高齢者の状態(例)〉●立ち上がりや歩行などがほとんどできない●入浴や排泄、衣服の着脱などに全面的な介助が必要●食事の摂取に一部介助が必要 ●尿意、便意が伝達されていない●多くの問題行動や理解の低下が見られることがある 要介護5:最重度の介護を要する〈高齢者の状態(例)〉●日常生活全般について、全面的な介助が必要(寝たきりの状態など)●食事、排泄、衣類着脱のすべてにおいて全面的な介助が必要●多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られる (文献5より引用) 3 介護費用がどのくらい家計を圧迫しているのか 毎月かかる介護費用は、本人の収入(高齢の場合、主に年金)の範囲内で行っていくのが基本となります。介護費用を支払うのが厳しい場合には、介護サービスそのもの(施設の選定含め)の検討や、日々の支出の見直し・資産の取り崩しの検討を行います。 資産は現金以外にも、住んでいる家や土地、貯蓄性のある生命保険、資産運用などがあります。ただし、資産価値や相続にも関係してきますので、お金の全体像と長期の見通しについてFPに相談しながら、家族問題に発展しそうであれば早めに弁護士などに相談していくことをおすすめしましょう。 引用文献1.生命保険文化センターホームページ:リスクに備えるための生活設計 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?.https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html(2025.2.10アクセス)2.厚生労働省:介護保険制度における利用者負担.給付と負担について.https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001176033.pdf(2025.2.10アクセス)3.厚生労働省ホームページ:サービスにかかる利用料.介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム.https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html(2025.2.10アクセス)4.千葉市ホームページ:高額医療・高額介護合算療養費制度.https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/iryoeisei/hoken/kougakukaigogassan.html(2025.2.10アクセス)5.池松裕子編:臨床で役立つ 看護アセスメント スケール&ツール.照林社,東京,2018:216-217. この記事は『エキスパートナース』2024年6月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。 「患者さんからの入退院にかかわるお金の悩み、どう対応する?」の記事【第1回】患者さんのお金の悩みには多職種で連携【第2回】入院費についての患者さんの悩みにどう答える?【第4回】退院後の収入についての患者さんの悩みにどう答える?
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入院費についての患者さんの悩みにどう答える?看護師FP®が解説【第2回】
入院そのものにかかる費用について患者さんから相談されたら、看護師はどう答えればよいのでしょうか。高額療養費制度について患者さんに説明できると、不安を軽減できる場合も。看護師FPⓇが詳しく解説します。 患者さんこれ以上長く入院するにはお金が足りないんだよね。だから早く退院したい看護師お金が足りないことは不安ですよね。ですが、治療のこともありますので、もう少し詳しくご状況を教えていただけますか? 「お金が足りない」に込められた複数の意味とは? 患者さんの「お金が足りない」という言葉のなかには、入院費の心配以外にもさまざまな不安が隠されている場合があります。このような不安が聞かれたとき、「退院して、通院が可能な病状なのか」といった身体的な面からの評価を行うとともに、患者さんの発言の本心を探っていくことが大事です。 これは、患者さんに一番身近な看護師だからこそできることです。まずは患者さんが発した言葉の意味を確認していきましょう。 患者さんの不安の本質をつかみ、看護師と医療ソーシャルワーカー(MSW)が連携 制度やお金の説明は複雑で、患者さんが使える細かな金額などを聞き出すとなると、専門的な制度やお金の知識が必要となってきます。また、聞き出すために時間も要するため、「病棟ではなかなか説明の時間がとれない」という声も聞きます。 そのため、院内のMSW(medical social worker:医療ソーシャルワーカー)と連携していくことが望ましいのですが、その際に看護師として患者さんの不安の本質がつかめていると、MSWとの円滑な連携が行えるのではないでしょうか。 そこで、日々のかかわりのなかで患者さんに確認しておくとよい内容と、そのために必要な制度やお金の情報について解説していきたいと思います。 患者さんと確認したい内容 1.高額療養費制度の理解度と、想定している入院期間 患者さんが抱えているのが漠然とした不安なのか、入院期間はどのくらいを想定しているのかといったことのほか、高額療養費制度の理解についても確認しましょう。 「個人差はあるが、高額療養費制度により医療費は一定額まで抑えられるので、1か月内であれば延長しても金額は一緒である」ということを表1を見せながら説明できると、患者さんも安心されることがあります¹。 なお現在、国では高額療養費制度の「ひと月あたりの上限額」の引き上げが検討されています。そのため、表1の上限額が今後変更になる可能性があることに注意してください。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 表1 高額療養費制度の自己負担上限額の違い (文献1を参考に作成) 2.食事代やレンタル代、個室差額ベッド代などの状況 公的な保険が使えない食事代や諸器具などのレンタル代、個室のベッド代の差額といった金額がかさみ、入院費が心配だという声も多く聞かれます。厚生労働省のデータによると、1人室の1日あたりの差額ベッド代の平均額は8,322円でした(図1)²。 地域によって差はありますが、首都圏では数万円以上する部屋もあります。患者さんの希望の有無はもちろん大切なのですが、各医療機関での決まりもあるため、差額ベッド代が入院に伴う心配ごとであることが判明した段階で、病棟責任者やMSWとの相談をすすめるのが望ましいでしょう。 図1 1人室の1日あたりの徴収額(金額ごとの集計、令和4年7月1日現在) (文献2を参考に作成) 3.入院費以外のお金に関する心配ごと 働いて収入を得ている患者さんは、入院中は働けずに収入が減ってしまうことで、家賃や光熱費などの毎月かかる支払いに対する心配を抱えていることがあります。特に自営業の方は会社員などのような公的な収入保障がないため、入院費のほかに家計や事業の存続のお金について悩んでいることがあります。また、家族を養っている場合には、家族の生活費や教育費、親の介護のことなど、心配ごとは尽きません。 患者さんの収入源は、就労によるものか年金か、それ以外にもあるのかによっても変わります。入院時に職業や家族情報などの社会的な情報を聞くときに、このような心配がないかどうかも確認できるとよいでしょう。 なお、公的な制度では解決が難しい費用捻出の方法についてはファイナンシャル・プランナー(FP)が専門家となります。家計の見直しは実際に反映されるまでに時間を要しますので、早めに相談できるとよいでしょう。 4.退院した後の生活をどのように考えているのか 患者さん自身で、身の回りのことや体調管理などを行える状況であればよいですが、難しい場合には通院の頻度も多くなり、そのぶん交通費がかかることなども想定されます。自宅療養中の介護費用なども含めた療養生活の費用について、MSWやケアマネジャーとともに検討していく必要があります。 そのため、退院後の生活や治療について患者さん自身はどう考えているのかを伺えるとよいでしょう。 引用文献1.厚生労働省保健局:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から).https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2025.2.4アクセス)2.厚生労働省:主な選定療養に係る報告状況.https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001117412.pdf(2025.2.4アクセス) この記事は『エキスパートナース』2024年6月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。 「患者さんからの入退院にかかわるお金の悩み、どう対応する?」の記事【第1回】患者さんのお金の悩みには多職種で連携【第3回】治療や介護サービスの費用についての患者さんの悩みにどう答える?
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