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便秘のアセスメント基準とは?#5
便秘には、ときには重篤化する病態が潜んでいることも。重篤な便秘の見きわめ方を知りましょう。今回は、重篤な便秘を招かないための予防・対応のポイントを紹介。便秘のアセスメント基準について解説します。 Q. 便秘のアセスメント基準、「3日に1回」はなぜ?Answer●排便の頻度には個人差があるため、日数にとらわれる必要はありません。●排便間隔だけではなく、症状にも着目しましょう。 便秘の定義 『便通異常症診療ガイドライン2023─慢性便秘症』では、便秘とは「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」1と定義されています。 日本ではそのほか複数の学会が便秘に対して、独自の基準を提唱しています(表1)2。一般的に排便の頻度や便の性状、排便前後の症状などから説明されており、客観性に乏しくあいまいなものです。 表1 わが国での各学会の便秘の定義 日本内科学会3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態日本緩和医療学会腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態を示す日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会本来体外に排出すべき糞便を充分量かつ快適に排出できない状態 (文献2より引用、一部改変) 排便間隔に着目した場合、人が食事をして便として排泄されるまでの時間はおよそ24~72時間(1~3日間)である3とされており、この病態生理から便秘を捉えるめやすを3日としているのではないでしょうか。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 国際的には「RomeⅢ診断基準」4での機能性便秘の定義があります。この基準は排便間隔に加えて、便の性状や自覚症状が含まれています。6か月以上前から症状があり、最近3か月間は下記の基準を満たしていることが必要です。 表2 機能性便秘の診断基準(RomeⅢ診断基準) 1、次の2つ以上の項目を満たすことa.排便の25%に1回以上にいきみがあるb.排便の25%に1回以上に兎糞状便あるいは硬便があるc.排便の25%に1回以上に残便感があるd.排便の25%に1回以上に直腸肛門の閉塞感あるいはつまった感じがしているe.排便の25%に1回以上に用手的に排便促進の対応をしている(摘便、骨盤外圧迫など)f .排便が週に3回未満である 2、下剤を伴わないときに軟便になることはまれである 3、過敏性腸症候群(IBS)の診断基準を満たさない (文献4より引用) 日数より「規則正しさ」や「性状」に注目を 排便は個人差があるため、その人その人で排便間隔は違います。3日以上間隔が空いていても、排便の方法が強制または自然でも、その間隔が規則的であり、かつ便の性状が毎回同じであれば便秘症とはいえず、日常生活において支障ないといえます。むしろ、排便間隔が不定期で、便の性状も排便ごとに変わっているような状態の方や、排便があっても腹部症状や肛門部症状といった不定愁訴がある方が「便秘」を主訴に外来受診されます。 便秘にはさまざまな要因があり、単に日数だけで決まらないことを認識しましょう。 引用文献1.日本消化管学会編:便通異常症診療ガイドライン2023-慢性便秘症.南江堂,東京,2023:2. 2.富田寿彦,田村彰朗,三輪洋人:2 慢性便秘の病態と種類 ①慢性便秘の疾患定義と分類、各分野における病態.中島淳 編:臨床医のための慢性便秘マネジメントの必須知識.医薬ジャーナル社,大阪,2015:36-38.3. 高橋彩,伊東七奈子:下痢止め隊への相談 Q2 3日間排便のない患者さん。何か対応したほうがいい?.大西一徳,伊東七奈子 他 編:下痢止め隊が答える「便秘」「下痢」対応の根拠Q&A.エキスパートナース 2014;30(2):28-30.4. 福土審,本郷道夫,松枝啓 監訳:Rome Ⅲ[日本語版].心身医学 2009;49(7). さらに学ぶなら重篤な便秘の定義と観察ポイント便秘の患者さんでX線画像を撮る理由そのほかの連載記事はこちら 【第6回】寝たきり患者さんの便秘予防のポイント(7月15日配信予定) ※この記事は『エキスパートナース』2016年6月号特集を再構成したものです。本記事の無断転載を禁じます。
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心不全/急性冠症候群(ACS)の症状と初期対応:見逃せない救急症候#最終回
患者さんの訴えから重大な疾患を見きわめて、すぐに対応するには?今回は呼吸困難を起こすキラーディジーズ「心不全」「急性冠症候群(ACS)」の症状やメカニズム、初期対応について紹介します。 参考:【第13回】呼吸困難時のアセスメント:救急症候を見逃さないために 心不全の症状 ●右心不全・左心不全で症状が異なる(表1-①②)1●低心拍出による症状も起きる(表1-③)1 表1 心不全の症状①左心不全症状●呼吸困難/夜間発作性呼吸困難●労作時息切れ●起坐呼吸●咳嗽●喘鳴●動悸所見●断続性副雑音(coarse crackles、水泡音)●血痰、ピンク色の泡沫状痰●酸素化の悪化●Ⅲ音・Ⅳ音の聴取 ②右心不全症状●腹部膨満感●食欲低下●心窩部不快感●悪心・嘔吐●便秘所見●肝腫大(肝うっ血)●頸静脈怒張●体重増加●全身浮腫●胸水・腹水 ③低心拍出症状●倦怠感●意識障害所見●末梢循環不全(四肢の冷感、チアノーゼ)●低血圧●身の置きどころがない様子 (文献1を参考に作成) 心不全のメカニズムと、特徴的な所見 労作時の息切れと、喘鳴が特徴 心不全は、さまざまな基礎疾患が原因となりポンプ機能が低下することで起こります。心臓のポンプ機能の代償機転が破綻し、心拍出量低下や末梢循環不全、肺・体静脈系のうっ血をきたし、全身の循環障害をきたす病態です。 労作時の息切れや喘鳴を伴う呼吸困難は心不全に特徴的です。左心系のポンプ機能の低下により肺がうっ血し、肺水腫となって起こります。その他、臥位となって数時間後に呼吸困難となる夜間発作性呼吸困難や起坐呼吸を認めます。聴診では水泡音を聴取し、ピンク色の泡沫状痰の場合、心不全を考えます。 左心不全と右心不全によって症状が異なりますが、左心不全に右心不全を合併していることが多いため、問診や身体所見の観察を行い、症状を把握します。また、左心系のポンプ機能が低下すると、全身への心拍出量も低下し低心拍出症状を認めます(表1-③)。 このブロック以降のコンテンツは非表示になります 心不全の既往がある場合、悪化の原因・誘因を探る 心不全の既往があり徐々に増悪した場合は、塩分や水分の過剰摂取、過度な労作の有無を確認します。そのほか、感染、手術、妊娠、基礎疾患(肝疾患、腎疾患、不整脈など)が誘因となります。 また、心筋梗塞や肺塞栓では、発症と同時に心不全となる場合があり、発症様式も重要な情報となります。 心臓の状態の確認とともに、虚血性心疾患の有無も検索する 心不全が考えられたら、胸部X線検査や心臓超音波検査の準備を行います。また、心不全は虚血性心疾患が原因で発症している可能性もあるため、12誘導心電図検査や採血でトロポニン、CK(クレアチンキナーゼ)、CK-MBの検査を行います。 また、心不全の確定診断に用いられる血液検査項目として、ナトリウム利尿ペプチドの採血も行います。 心不全での初期対応 心臓の状態の確認とともに、虚血性心疾患の有無も検索する 初期対応はショック状態に注意し、呼吸管理に加えて疾患の治療を並行して開始します。起坐呼吸を認める場合は、呼吸困難感の改善のため、座位やセミファーラー位など安楽な体位を整えます。酸素療法だけでは改善しない場合は、非侵襲的陽圧換気(NPPV)を開始します。意識レベル低下やショック症状を呈する場合は、気管挿管の準備を行います。 臓器のうっ血改善のために、血圧が維持されていれば血管拡張薬として硝酸薬や利尿薬を投与します。 血圧が100mmHg以下で心原性ショックをきたした場合、昇圧薬や強心薬にて循環維持を行います。また必要に応じて大動脈内バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助装置(PCPS)を用いた補助循環を行います。 急性冠症候群(ACS)の症状 ●胸痛●呼吸困難●頻呼吸、努力呼吸●起坐呼吸●断続性副雑音●苦悶表情●皮膚の湿潤、冷汗、冷感●顔面蒼白●過剰心音(Ⅲ音聴取)●心原性ショック 急性冠症候群のメカニズムと、特徴的な所見 ACSに心不全を併発すると、呼吸困難の症状が出る 急性冠症候群(acute coronary syndrome 、ACS)は、冠動脈プラークの破綻とそれに伴う血栓形成により、冠動脈内腔が急速に狭窄、閉塞します。その結果、心筋が虚血、壊死に陥る病態を示す症候群で、致死的な疾患となります。 心不全および心原性ショックにつながると、循環不全と肺水腫を伴い、呼吸困難感を生じるのが特徴です。呼吸困難の症状からACSを疑う場合は、心不全の併発による肺水腫の状態を考えます。 ACSと心不全・肺水腫、それぞれの症状をみる 心不全・肺水腫の症状に加えて、ACSに特徴的な症状である胸痛や絞扼感、胸部不快感の有無、放散痛や嘔気などの随伴症状、発症時間や持続時間を問診します。20分以上持続する胸痛や放散痛を認める場合、ACSの可能性は高くなります。 ST上昇型心筋梗塞の主訴は、81%が胸痛、6%が呼吸困難、4%が意識障害2といわれていますが、高齢者や女性、糖尿病の患者さんでは、痛みの訴えがない非典型的な症状を呈するため注意が必要です。 リスク因子として、高血圧、糖尿病、高脂血症、狭心症、肥満、喫煙などもあるため、既往歴や嗜好の問診も重要な情報となります。 直ちに12誘導心電図検査を行う ACSを疑う所見がある際は、直ちに12誘導心電図検査を行います。ST上昇型心筋梗塞の発症直後では、T波の増高、ST上昇を認めます(図1)。 また、末梢静脈路を確保する際にトロポニン、CK(クレアチンキナーゼ)、CK-MBの採血を行います。 図1 ST上昇型心筋梗塞の発症直後の心電図 急性冠症候群での初期対応 ST上昇型心筋梗塞の場合、PCIを90分以内に行うために準備を進めます。また、合併症(心不全、ショック、重症不整脈、心停止)の治療や予防を並行して行います。 ACSの初期治療としては、通称MONA(M:モルヒネ、O:酸素、N:ニトログリセリン、A:アスピリン)を行います。発症直後は致死的不整脈や高度徐脈を伴う可能性があり、除細動器や抗不整脈薬の準備が必要となる場合もあります。 引用文献1.石川幸司:慢性心不全の急性増悪~増悪を予防する症状・徴候の把握と患者教育.呼吸器・循環器達人ナース 2014;35(4):14.2.山勢博彰 編:疾患のプラクティスが見える救命救急ディジーズ.Gakken,東京,2015:92. 参考文献1.三上剛人編:気づいて見抜いてすぐ動く急変対応と蘇生の技術.南江堂,東京,2016.2.佐藤憲明編:どう見る!どう動く! 場面別急変対応マニュアル.照林社,東京,2010.3.野々上智:呼吸困難の評価と初期対応 ベッドサイドで行うべき原因検索と初期対応とは 院内急変! まずは何をすべきか.レジデントノート2011;13(1). さらに学ぶなら「見逃せない救急症候」の記事一覧そのほかの連載はこちら ※この記事は『エキスパートナース』2018年4月号連載を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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【連載まとめ】PICSにさせない看護のコツ
ICU在室中あるいはICU退室後、さらには退院後に生じるPICS(集中治療後症候群)。高侵襲の治療を受ける高齢者の増加に伴い、一般病棟でも注意しておきたいPICSについて、基礎的な知識からケアのポイントまで紹介しています。 【第1回】PICS(集中治療後症候群)とは? PICSは、近年の救急・集中治療領域のホットトピックスの1つ。提唱されるようになった背景や、その概念とは? 〈目次〉●ますます重要になる一般病棟での重症高齢患者の管理●新しく登場した“PICS”という概念 【第2回】PICSの代表的な症状とPICS-Fの影響 PICSの代表的な症状が、運動機能障害、認知機能障害、精神障害。それぞれについて押さえておきましょう。また、生存者および非生存者の家族で発生するPICS-Fも知っておきたい概念です。 〈目次〉①運動機能障害・ICU-AWのリスク因子②認知機能障害③精神障害●PICS-Fという概念 【第3回】PICSの予防策:ABCDEFGHバンドルとは? PICSの有病率を減少させるには、危険因子の予防や最小化が重要に。予防策の代表が、ABCDEバンドル、ABCDEFGHバンドルです。それぞれ詳しくみていきましょう。 〈目次〉●危険因子の予防・最小化が重要・PICSの主な危険因子・ABCDEFGHバンドル 【第4回】ICU-AWの診断基準とリスク因子:PICSの早期発見と予防策 運動機能障害のうち代表的なものに、ICU獲得性筋力低下(ICU-AW)があります。その診断基準や、診断に必要な四肢筋力の評価について紹介しています。 〈目次〉●ICU-AWの診断・ICU獲得性筋力低下(ICU-AW)の診断基準●ICU-AWのリスク因子●ICU-AWの診断に必要な四肢の筋力の評価 【第5回】ICU-AW予防のための早期リハビリテーション ICUでの早期リハビリテーションは、筋力低下を予防します。患者の変化に注意しながら、慎重に積極的に取り組むことが大切です。 〈目次〉●重症患者にも、早期からのリハビリが筋力低下の防止などにつながる●重症患者にこそ、自分でできることは自分で行ってもらう・一般病棟での早期離床や早期からの積極的な運動の適応外例 【第6回】認知機能障害予防のための環境整備とせん妄予防:PICSの予防対策 ICUでのせん妄は、長期にわたる認知機能障害と関連することがわかっています。せん妄発症やせん妄の期間を減少させ、長期にわたる認知機能障害を予防するためには、環境を整えることが有効です。 〈目次〉●日常生活とは異なる環境がもたらすさまざまな影響●せん妄予防がPICS予防につながる●ほかにも有効なPICSの予防方法 【第7回】ICUダイアリーを使ったPICS予防 患者の心理的回復を促すツールとして注目されるICU日記。日記をつけることで、PICSを予防できる可能性があるといわれています。運用・活用方法をチェックしてみましょう。 〈目次〉●ICU日記は、集中治療による歪んだ記憶を正すツール●ICU日記に記載する内容・注意点●ICU日記の実際の運用方法●ICU退出後にもICU日記を続けるためには●一般病棟でのICU日記の活用方法 【第8回】筋タンパク合成を促進する栄養管理:PICSの予防対策 筋肉と神経が障害されるICU-AWは、重症であるほど体が弱り、ひどい場合はまったく体を動かせなくなることも。対策としては、栄養療法とリハビリテーションが2大支柱となります。 〈目次〉●筋合成には栄養と運動が重要●病気になっても運動や栄養が必要●ICU-AW対策には低栄養と不動を打破する!●急性期はoverfeeding(過栄養)に注意する●タンパク質は十分に摂取しよう●できるだけ腸を使い、静脈栄養を避ける●エネルギー負債を考える回復期には十分な栄養を!●連携が重要なリハビリテーションと栄養管理 【第9回】PICS-F予防のための家族への具体的なサポート 家族の精神障害であるPICS-F。家族のリハビリテーションへの参加は、患者と家族双方の精神状態の回復に役立ちます。また、ACPについて学ぶことが、PICS-Fの予防と対策につながります。 〈目次〉●家族の精神障害であるPICS-F●PICS-Fを予防する家族のリハビリテーションの参加●家族の役割機能の再獲得に向けたケア●ACPからつながるPICS-Fの予防と対策 【第10回】PICS予防における多職種連携の重要性 PICS対策は多職種で行えば1人ひとりの労力が少なくすみ、無理なく予防できます。今後のビジョンや具体的な行程を共有することが重要。多職種が連携するためのポイントを解説しています。 〈目次〉●なぜ、PICS対策をみんなでやるのだろう?●PICS対策には、多くの非医療従事者が含まれていることが望ましい●PICS対策に向けて多職種で同じビジョンを共有しよう 【最終回】PICS予防のためのABCDEFGHバンドルを一般病棟で活用 PICSの予防していくためのABCDEFGHバンドルは、一般病棟でどう使えばよいのでしょうか。症例を踏まえながら、看護師ができることをまとめています。 〈目次〉●ABCDEFGHバンドルを一般病棟でどう使うかA 毎日の覚醒トライアルB 毎日の呼吸器離脱トライアルC ①A+Bの毎日の実践、②鎮静・鎮痛薬の選択D せん妄のモニタリングとマネジメントE 早期離床F 家族を含めた対応G 良好な申し送り伝達H PICSやPICS-Fについての書面での情報提供 そのほかの連載はこちら
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