日々進化する治療・ケアにかかわる用品がもたらした変化、活用する際の注意点などを紹介!今回は閉鎖式薬物移送システム(CSTD)を取り上げます。
職業性曝露を防ぐために開発された閉鎖式薬物移送システム
抗がん剤の副作用として、正常な細胞にも影響があることは広く知られています。抗がん剤を取り扱う医療従事者の曝露(職業性曝露)を防ぐ目的で開発されたのが「閉鎖式薬物移送システム」です。
化学療法を実施する際の、さまざまな場面に対応した製品が開発されています。
薬剤の注入圧を調整しエアロゾル現象を予防
抗がん剤の調製時には薬剤の注入圧を調整し、エアロゾル現象(薬液の霧状の噴出)を予防しながら、バイアルから薬液を吸い上げ、輸液バッグへの混注を行います(図1-①②)。
抗がん剤と輸液セットの接続はバッグスパイクと専用の輸液セットを用いて行い、抗がん剤を投与します。接続部分の天面同士は薬剤が触れにくい構造となっています。
これらを正しく使用することで、調製から投与までを安全に行うことができ、医療者の安全だけでなく、患者・家族や、場合によっては他の人を曝露から守ることへとつながります。
導入時には患者も、見慣れないものが増えてとまどいもありました。その際には私たち医療者が使用目的を説明することで、医療者側の安全も理解してくださるとともに、自分自身の治療や家族の安全への配慮がされていることに安心されています。
図1 閉鎖式薬物移送システムの例(使用の組み合わせは一例)

接続操作を練習しておくことも大切
これらのシステムを導入することで、ふだん使用している輸液ライン等とは接続の方法が異なってくる場合があります(図2)。
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