本が大好きな看護師のおともさんが、“あなた”に寄り添った本を紹介するブックセラピー企画。看護師さんのさまざまなお悩みに合わせて、相談者にぴったりな書籍を教えてくれます。

【第2回】「このまま看護師を続けていけるのかな」そんな迷いに寄り添う本
【第3回】「これから看護師として働くのが不安」そんな新人ナースの一歩を支える本
【第4回】「文字ばかりの本は苦手」そんな中堅ナースのためのビジュアルで学ぶ看護書
【第5回】「ブランクがあっても大丈夫」病院外で働く看護師の学び直しを支える本
【第6回】看護ってなんだろう?臨床10年目の探究心に応える本

看護師のおともかんごしのおとも

救急外来部門・シミュレーションセンターで主任を務める看護師。実家も今の家も、本だけで丸々1部屋を使ってしまっているほどの本好き。@99emergencycall

今回のお悩み

看護師4年目のIさん
リーダー業務も任されるようになり、同僚看護師だけでなく患者さんや医師、他職種とのやり取りも増えてきました。周囲の感情に影響されやすく、仕事が終わるとドッと心身ともに疲れ果ててしまいます。こんな状態から少し抜け出したい、もうちょっとうまくやりくりできたら……。

本棚から実際にセレクト!4コマがかわいいお悩み解決本

白石 初回はおともさんに、人に振り回されて疲れてしまいやすい看護師向けの本を選んでいただきたいです。

看護師のおとも

わかりました。今日は自宅の本が置いてある部屋から中継していますので、ちょっと待ってくださいね。……(部屋の奥をガサゴソ)

白石 えっ、実際にその場で選んでくれるってことですか(笑)。

看護師のおとも

そうです(笑)……よいしょっと。最近の若い方は本を読むのが苦手な方も多いですし、疲れているときにわざわざ文量の多い本を手に取るのは難しいと思うんです。そこで今回おすすめしたいのが、『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』という本です。

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。
Jam 著、名越康文 監修
サンクチュアリ出版
四六判
定価:1,375円(税込)

白石 あ、これは私も持っています。どんな点がおすすめでしょうか?

看護師のおとも

見開きページの片方が4コマ漫画で、もう片方が解説という構成になっています。お悩みを紹介する漫画は猫が主人公で、深刻になりすぎないやさしいタッチ。たしか発売当初にSNSで話題になって、面白そうだなと思って購入した本なんです。
特に、「会社の人間関係がしんどい」「自分の悪口を言われていると感じる」「嫌な人のことをずっと考えてしまう」「自分の意見をうまく伝えられない」といったお悩みは、看護師さんに響くんじゃないでしょうか。他にも、「突然、不安な気持ちに襲われる」「自分に自信がもてない」「すぐに気持ちが落ち込んでしまう」といった自分自身の心の問題も扱っています。

白石 漫画があると読みやすいですよね。それにしてもおともさん、めちゃくちゃ付箋貼っていますね。

看護師のおとも

これはね、自分用というよりは誰かの「困った」に向き合うために参考にしたんだったと思います。
そうそう、それと解説も文量が多すぎず、「お悩み→漫画→解説→最後の一言」というシンプルな流れになっていて。たとえば、「自分の意見をうまく伝えられない」というお悩みに対して、「話しにくい雰囲気を相手がつくっていることもある」という一言で締めくくられています。つまり、「あなたのせいだけじゃないよ」というメッセージが込められているんです。

白石 真面目な看護師さんは、自分のせいでって思いつめちゃう人が多いかもしれませんもんね。

看護師のおとも

そうなんです。この本は精神科医の先生が監修されていて、「あなたの心を守る」という視点で書かれています。それと、続 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。孤独も悪くない編と続編もあります。こちらは「休むことへの罪悪感」「人からの期待に応えられない不安」「自分を会社の駒だと感じる」といった悩みを扱っています。

 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。孤独も悪くない編
Jam 著、名越康文 監修
サンクチュアリ出版
四六判
定価:1,375円(税込)

白石 看護師さんならではの悩みにも響きそうですね。人によっては「続編のほうが合うかも」という人もいそうです。

看護師のおとも

自分の心のもち方や人間関係について考えるヒントはたくさん詰まっていますね。漫画を中心に読んでいただいて、気になった部分だけ解説を読むといった使い方もできます。特に心身ともに疲れているときは、まずはかわいらしい猫の4コマ漫画に癒やされつつ、読み始めてもらえればと思います。

ブックセラピーに関するおすすめ本も

看護師のおとも

ちょっと余談なんですけども……。ブックセラピーというと、実は『読む薬』『心と体がラクになる読書セラピー』といった本もあるんですよ。

読む薬
五十嵐良雄 著、 日本読書療法学会 監修
アチーブメント出版
四六判
定価:1,430円(税込)

心と体がラクになる読書セラピー
寺田真理子 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
四六判

1,650円(税込)

白石 へぇ!そんな本もあるんですね。

看護師のおとも

あなたのお悩みに効く小説を処方しますよっていう『文学効能事典』というのもあります。看護師ならお馴染みの『今日の治療薬』みたいな感じですよね(笑)。
例えば、悪夢を見るとき、頭がよすぎるとき、嘘をついてしまうとき、体に傷跡があるとき、がんになったとき……。高血圧のときに血圧を下げるとか、恋わずらいに効く小説なんかもありますね。ちょっとこれはどこまで本気にしたらいいかわからないですが(笑)。

文学効能事典
エラ・バーサド/スーザン・エルダキン 著
金原瑞人/石田文子 訳
フィルムアート社
四六判変形
2,200円(税込)

白石 目次でいろんな悩み別の見出しを読むのも面白そうですね。

看護師のおとも

そうそう。空腹のとき、クリスマスが憂鬱なとき、仕事中毒のとき、自己評価が低いとき、父親になるのがいやなときとか……すごい数があるので、おおよその悩みはここに書いてありそうですよね。こちらも一緒におすすめしておきます。

今回、看護師のおともさんが紹介してくれた本

『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』

『続 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。孤独も悪くない編』

『読む薬』

『心と体がラクになる読書セラピー』

『文学効能事典』

 日々、患者さんに寄り添うあなたにも、やさしく寄り添うものがあってほしい。今回紹介した本たちが、そんなあなたの心の“おとも”になれることを願っています。

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※掲載の有無はエキスパートナース編集部で判断し、掲載有無の結果は事前にご連絡はいたしません。
https://questant.jp/q/book_therapy_otomo

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