新人ナースのはじめての夜勤に向けて、昼間の病棟との違いをわかりやすく解説。看護師・医師の人数や、検査部・薬剤部・リハビリなどの医療技術部、事務部の体制の違いなどをまとめています。

※この記事は『エキスパートナース』2026年5月臨時増刊号「点滴・輸液・夜勤 自信がつくキホンとコツ」の内容を抜粋したものです。

①看護師の人数が少ない(1人あたりの担当患者数が多い)!

 夜勤の看護師配置数は日勤よりもかなり少なくなり、それに伴って1人あたりの受け持ち患者数が多くなります。例えば当院(東京ベイ・浦安市川医療センター)でいうと、一般病棟7対1入院基本料*1を取得しているため、日勤帯は患者7人ごとに看護職員を1名以上、常時配置しています。しかし、夜間には約2倍の受け持ち患者数になります

 少ないメンバーで病棟の患者さん全員を安全に見るためには、効率よく仕事をするほかに、「いかにメ
ンバーで協力して仕事を進められるか」
が大きなポイントとなります。申し送りや夜勤開始ミーティングでは、メンバーそれぞれの受け持ち患者さんの気になる点、協力してもらいたい点などを共有して、夜勤スタッフ全員で患者さんを守る、という体制が必要です。

 私たちが新人看護師の「夜勤の自立」について考えるときは、安全に患者さんを見ることができるということのほかに、この「ほかのメンバーと協力して仕事が進められる」ということも大事な要素となります。

*1【一般病棟7対1入院基本料】入院基本料は、診療報酬において入院という組織的な医療提供体制を総合的に評価するもの。一般病棟7対1入院基本料は、一般病棟で看護職員1人に対し患者さんが7人という職員配置となっている施設で算定できる。

②病院が暗くて静か!

 あたりまえのことですが、夜間の看護に関する大きなポイントとなります。

 患者さんの安眠のため、消灯後は病室はもちろん、廊下も薄暗くなります。後述の「患者観察のポイントと情報収集のしかた」(誌面p.100)にも出てきますが、病室が暗いことで、患者さんの状況を確認する際に、「日中であればひと目でわかることが、よく確認しないとわかりづらい」という状況が生まれます。患者さんが就寝した後、夜勤看護師は日中の患者さんの状態を念頭に置いたうえで、音やにおいなどを敏感に感じながら観察・ケアを行う必要があります

 音に関しても、日中は患者さんや看護師、リハビリテーション(以下、リハビリ)スタッフなどの声、ナースコールや離床センサーの音で活気のある病棟も、患者さん就寝後の夜間はとても静かになります。ナースコールの音も消灯後は音量を下げている病院が多いと思います。館内放送も緊急コール以外は行われません。

*2【ISBARC】identify(報告者、対象者の同定)、situation(状況、状態)、background(背景、経過)、assessment(評価)、recommendation(依頼、要請)、confirm(口頭指示の復唱確認)の頭文字をまとめた、相手に漏れなく情報を伝えるために必要な要素。

昼間と夜間の病棟の違いのイラスト①

③各科の医師がそろっていない(当直orオンコール体制となる)!

 病院の規模によっても違いますが、夜間は医師も当直体制、またはオンコール体制となります。

 医師も少ない人数でさまざまなことに対応している場合が多く、また外科系の当直医は手術に入ってしまうとなかなか対応ができないことも多いです。下記で示す検査部門などとの連携と同じように、丁寧なコミュニケーションをとりながら早めに報告、調整することが必要となります

 また、患者さんの状態変化があったときの当直医への報告も注意が必要です。当直医がその患者さんの担当医とは限らないからです。そこで、担当医でない医師へわかりやすく患者さんの状態変化を報告するために、ISBARC*2を活用するとよいでしょう。

④医療技術部(検査部・薬剤部・リハビリ)・事務部の体制が異なる!

 夜間は、病院全体で「入院中の患者さんは安眠モード」と認識します。検査部・薬剤部は当直や夜勤体制で、日中よりも人数が少ないことが多く、行えることが限られます。

 また、検査も施行は可能ですが、日中と同じスピードで同じ件数を、というわけにはいかず、病棟と各部門で時間調整をしながら施行することになります。下記で、当院の体制から例を5点挙げていますので、参照してみてください。

昼間と夜間の病棟の違いのイラスト②

患者さんのケアにかかわる各部門の夜間の体制(当院の例)

●当直:勤務ではないが、何かあったときのために泊まり込むこと。仕事がある時間帯以外は休むこ
とが可能。

●夜勤:勤務時間中は常に業務に従事すること。当院では16:30~翌日9:00までの勤務。

①検査部門(検体検査):当直体制

●血液検査や尿検査などの検体検査は、ほとんどの項目で夜間でも検査を行うことができます

●ただし、臨床検査技師の人数が少ないので、検査が重なると結果が出るのが遅くなることがあります。

②検査部門(生理検査):当直体制

●臨床検査技師によって行われる生理検査(12誘導心電図や超音波検査など)は、夜間は行うことができません

●夜間緊急で行う生理検査については、看護師が12誘導心電図を行ったり、医師が超音波検査を行ったりしています。

③放射線部門:夜勤体制

●CT*3検査やX線検査などの放射線検査は、緊急であれば夜間でも行うことができます

●検査部門と同じように、診療放射線技師の人数が少ないため対応できる件数は限られ、緊急の検査に優先順位をつけながら行われています

●検査出しは診療放射線技師と時間を調整しながら行います。

*3【CT】computed tomography:コンピュータ断層撮影

④事務部門:夜勤体制

●夜間の事務部門は、主に救急外来を受診する患者さんのための事務処理を行っています。

●そのため入院患者さんの入退院の手続き関連や書類の対応、入院費の概算計算などの対応はできません

●患者さんから問い合わせを受けたとしても、回答できるのは翌日になることがほとんどです。

⑤薬剤部:当直体制

●夜間は、緊急入院の患者さんの薬剤の処方や、入院患者さんで全身状態に変化があった患者さんの薬剤調整、使用量の確認などを行っています。

●患者さんの持参薬鑑定や患者さんへの服薬説明などは、日中のみ対応というところがほとんどで、対応してもらえたとしても件数が多いと難しいと思われます。

①~⑤をふまえて、夜間の緊急検査は患者さんの状況を確認しながらタイミングを見て、各部門と調整しながら行う必要があります。また、夜間は病棟の看護師数も少ないので、検査出しのタイミングも十分に調整しましょう。

\続きは誌面で/

EN2026年5月増刊号表紙

エキスパートナース2026年5月臨時増刊号
点滴・輸液・夜勤 自信がつくキホンとコツ

三浦まき 編、中村綾子 編、節原光江 編
東京ベイ・浦安市川医療センター看護部 編
B5・116ページ
定価:1,980円(税込)
照林社

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