日本老年看護学会が、『認知症の人と医療機関の架け橋となる看護への提言』をホームページで公開しました。認知症看護の質向上をめざして作成された、同提言の概要を紹介します。

認知症基本法、身体的拘束の最小化等を受けて刷新

 2026年3月、日本老年看護学会は『認知症の人と医療機関の架け橋となる看護への提言』を同会ホームページで公開しました(表1)。同提言は、2016年に公表された『「急性期病院において認知症高齢者を擁護する」日本老年看護学会の立場表明 2016』(以下、『立場表明2016』)を見直し、刷新したものです。

 『立場表明2016』は、急性病院に入院する認知症高齢患者への援助不足を改善するために、同会の立ち位置を示すものとして作成されました。その『立場表明2016』の表明から10年が経ち、認知症を取り巻く社会の状況が大きく変わったとし、同会は、看護職が認知症の人と家族に向けてよりよい看護実践を探求する際の道標になるよう同提言をまとめたとしています。“社会状況の大きな変化”としては、2024年に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(認知症基本法)、同年の診療報酬改定による「身体的拘束の最小化」等が挙げられます。

認知症看護での目的意識をチームで確認する際に活用できる

 『立場表明2016』の見直しにあたって、同学会会員へのweb調査と並行して、認知症の人とその家族にこれまでの受療経験をふまえたヒアリングやアンケートを実施しています。老人看護専門看護師・認知症看護認定看護師を対象のグループインタビュー、認知症療に携わる医師による意見等を含め、推敲が重ねられました。同会ホームページにて同提言の詳細が確認できるため、認知症看護での目的意識をチーム内で確認するためにも活用できます。

 同会は同提言を看護職と共有することで、医療機関が認知症の人と家族にとって安心できる場となっていくこと、認知症看護の質向上を図り、認知症の人と医療機関の信頼を確固たるものにすることをめざしています。

表1 認知症の人と医療機関の架け橋となる看護への提言

提言1 看護職は、自らの認知症に対する認識を振り返り、時代に合う認知症観へと更新していきます。

提言2 看護職は、認知症の人をひとりの人としてとらえ、認知症の人の日々の意向に気づき、誠実に意思決定支援を積み重ねていきます。

提言3 看護職は、認知症の人ならびに家族との対話を通して、認知症の人が望む生活を共有し、その実現に向けた最善の看護を提供していきます。

提言3-1 安全の確保と意思に基づく行動の自由を両立していく看護

提言3-2 認知症の人の言葉や表情、振る舞いに深い関心を寄せ、伝えたい思いに真摯に向き合う看護

提言3-3 受療前後の生活の継続性に注目し、認知症の人の「できること・やりたいこと」を引き出す看護

提言3-4 医療機関の内外に在るさまざまな人々と手を携え、認知症の人と家族の多様なニーズに応える看護

提言3-5 認知症の人にとって居心地がよく、本人の持てる力を引き出す環境を創る看護

提言3-6 これまでに表明された認知症の人の思いを紡ぎ、自分の人生を生きることを守る看護

提言4 看護職は、認知症の人の家族が置かれている状況や揺れ動く気持ちを受け止め、最善の選択と対応ができるよう支援していきます。

提言5 看護職は、地域共生社会の中で、医療機関が認知症の人と家族から信頼される存在となるよう日々の看護実践に力を尽くしていきます。

1.日本老年看護学会:認知症の人と医療機関の架け橋となる看護への提言(簡易版).
https://rounenkango.com/houkoku/pdf/ninchi_kakehasi_teigen_short.pdf
2.日本老年看護学会:認知症の人と医療機関の架け橋となる看護への提言(詳細版).
https://rounenkango.com/houkoku/pdf/ninchi_kakehasi_teigen_detail.pdf

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