食事を通してつながる人との縁
大森ちゃん 登場するレシピは、ほぼ全て作って再現しました。当直中に作るごはんなだけあって、本当に簡単なんですよ。疲れて帰ってきても作れるし、それは実践済みです!
あと以前、入院患者さんと話しているときに「家族の食事が心配なのよね、私がずっと作っていたから」という悩みを聞いたことがあって、この漫画のレシピの一つ、厚揚げと小松菜の昆布つゆ煮を紹介したことがあったんです。そうしたら、少し経ってその患者さんのご家族が実際に作ったと、とても嬉しそうに教えてくれたんです。ご自身が入院していても、家族の役に立てたと思ってもらえたのかなと。そのお役に立てたのが嬉しかったというエピソードです。
白石 めちゃくちゃ素敵な話ですね…。
大森ちゃん そうなんですよ! ただね、そのときに「看護師の大森さんは料理が下手」だと、一緒に伝わってしまったというオチがあります(笑)。
白石 再現度すごいのに(笑)。私は神辺先生の話を読んで食事の持つ役割ってたくさんあるなと思いました。たとえば、私にとっては疲れているときのバロメーター。元気があるときは、「今日は何を作ろうかな」「今度あそこのレストランに行こう」とわくわくしているんですけど、疲れてくると「作る気なくなっちゃったな」「食べる気ないな」と体と心の黄色信号に気づけます。
また、同僚と食堂で近くに座ったとき、顔を合わせておいしいものを食べて、こうした小さなことの積み重ねが職員同士のつながりを強くしたりするのかなと。
かげさん 医療解説もしっかりと入っているのも印象的でした。医療解説って、キャラにセリフとして言わせる漫画もありますけど、この作品にはしっかりと解説専用のコマがあり、その説明も図もわかりやすくてすごく勉強になるなと思います。
現場の“あるある”話や、レシピの再現も楽しみ
かげさん 現場のあるあるも詰まっていて、医療漫画や医療ドラマ好きな人はすごく面白いと思います。料理の話をメインに楽しむのもアリ。まだそんなに巻数も多くないので、仕事の休憩中に読むのもよさそうです。
白石 小児科や救急で働く人は、きっと似たような経験があるので「わかるわかる」となるかと思います。「今日はちょっと仕事が大変だけど、乗り越えたらこのメニューを作ろう」と、モチベーションのひとつにしてみるのもいいですよね。
大森ちゃん 自分ってちゃんと成長できているのかなと焦っている、自信をなくしてしまいそうな人、頑張りすぎちゃっている人に読んでもらいたいなと思います。純粋においしいものが好きな人や、私のように料理が絶望的に苦手な人も、ぜひレシピを試してもらえたら。
かげさん ちなみに、初心者でも作りやすそうなレシピは?
大森ちゃん 特に簡単だなと思ったのは、先ほども話に出た厚揚げと小松菜の昆布つゆ煮と、セロリとベーコンのオイスター炒めですね。
料理写真提供:ナースの大森ちゃん
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