水封室の管理で重要な呼気性移動とエアリーク

 水封室には規定量の蒸留水を入れます。蒸発するため、定期的に水量を確認し補充します。エアリーク呼吸性移動を正しく理解し、観察しましょう。

呼吸性移動

 「呼吸性移動(フルクテーション)」とは、水封室内の水柱管内の水が呼吸に伴って上下する現象です。吸気時は水柱の水が上がり、呼気時は下がります。これは、吸気時は吸引圧より胸腔内圧の陰圧が強く、呼気時は吸引圧のほうが勝るためです。

 人工呼吸器装着下での呼吸性移動は、胸腔内圧が吸気時に陽圧になるため、吸気時に水が下がり、呼気時は下がったぶんが元に戻ります。

 3連ボトルシステムの構造により、吸引中に胸腔内圧のほうが設定吸引圧より陰圧になると水封室の水柱の高さが上昇するため、その数値から、胸腔内圧(cmH2O)が測定できます

胸腔内圧(cmH2O)=設定吸引圧+水封室の水柱の高さ(cmH2O)

 呼吸性移動は、ドレーンが閉塞せず開存していることを示し、適切に管理できている証拠です。一方、肺の再膨張により胸腔内にスペースがなくなったときには、呼吸性移動が減弱または消失する場合があります。呼吸性移動の消失時は、原因を探り、対応の必要を検討します。

エアリーク

 胸腔から空気が排気された場合は、空気は水の中を気泡の形で通過し、水封室の上方に上がって、隣の吸引圧制御室に吸引されます。このとき見られる気泡を「エアリーク」と呼びます。エアリークは主に排気目的のドレーンで見られますが、量の増減があったときや、排液目的のドレーンで見られたときは、第11回第12回のように対応しましょう。