患者さんの訴えの裏に隠された疾患を見逃さないために大切な「臨床推論」。どのような思考過程を経て臨床診断を導き出しているのかを考えていきます。今回は第7回で紹介した全身倦怠感や食欲低下を訴える患者さんの事例の、フィジカルアセスメントとさらなる情報収集について解説します。
第2ステップ フィジカルアセスメント
Bさんのフィジカルアセスメント
●意識状態:JCSⅠ-1
●やややせ型で小柄な体型、栄養状態はよさそう
●きちんとした身なり、カーディガンを着て首にはシルクのスカーフを巻いている
●バイタルサイン:血圧146/74mmHg(普段は収縮期100mmHg程度)、脈拍66回/分、整、呼吸数12回/分、体温36.8℃(平熱36.5℃)
●頭部外傷なし、眼瞼結膜に貧血なし、眼球結膜黄染なし。口腔内軽度乾燥、入れ歯・齲うし歯なし
●瞳孔3mm/3mm、直接および間接対光反射は保たれている
●頸静脈怒張なし、甲状腺腫大なし
●胸部:視診、触診、聴診、打診で特に異常を認めず
●心音整、雑音なし
●腹部:視診、触診、聴診、打診で、特に異常を認めず
●皮膚、四肢:皮疹なし、出血斑なし、末梢は暖かい。皮膚のツルゴールは軽度低下している
●脳神経の異常所見なし、運動および感覚神経も異常なし。小脳、協調運動検査も異常なし、歩行もゆっくりだが明らかな異常なし
フィジカルアセスメントの結果、血圧は普段よりやや高く、脈拍はやや遅めでした。
●血圧が普段より高め
●脈はやや遅め
→まだ診断がつけにくいけれど、バイタルサインに異常がありそう!?
第3ステップ 気になる情報をさらに深める
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