代表的な不整脈の心電図波形が読めるように、波形の読み方の要点を図解とともにわかりやすく解説!今回は発作性上室頻拍(PSVT)の波形の読み方を紹介します。血圧低下などの症状も併せて確認しましょう。

発作性上室頻拍の特徴とは?

 発作性上室頻拍は、下記①②③の刺激が特定の箇所で回ってしまう状態です。 房室内の2つ以上の伝導路や、ケント束などの副伝導路で回り、心電図上はP波のない規則正しい頻脈になります。

①P波は不明、または異所性P波
②RR感覚は狭く、一定。幅は2マス弱(心拍数150~200回分)
QRS波は正常。ただし心室内変行伝導を伴うと幅広くなる

図1 発作性上室頻拍の読み方

発作性上室頻拍の読み方を説明する心電図
発作性上室頻拍の読み方うぃ説明するための心臓のイラスト
*AVNRTとAVRTの波形の違いは、臨床上、判別は難しい。

術後にPSVTが起こりやすいのはなぜ?

 洞調律(B)では、拍動後に動脈圧が上がって、心臓から血液が十分拍出されたとわかりますが、PSVT(A)では十分に拍出されず血圧が低くなっています(図2)。

●収縮気圧:左心室収縮期の最大圧で、大動脈便が開いたとき
●ディクロティックノッチ:大動脈弁が閉じたとき。心室の拡張期が始まるとき
●拡張気圧(下行脚):動脈にプールされた圧が下がっていく様子(動脈の収縮や広がりやすさに左右される)

図2 モニター上の動脈圧のみかた

モニター上の動脈圧のみかたを説明するグラフ

術後のPSVTにどう対応する?

PSVTが出現したらどうする?

モニター記録、ドクターコール、12誘導心電図をとる!

 PSVT出現時はモニター記録とドクターコール、12誘導心電図をとります。
 一般的には血行動態に影響は少ないとされていますが、血圧低下、胸痛、胸内苦悶、呼吸困難などの症状が出ることがあります。

 SpO2の変化もあわせて観察し、必要であれば酸素投与を行います。頻拍の停止には、Ca拮抗薬(ベラパミル塩酸塩など)やATP製剤(アデホスなど)が使用されます。

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