【第3回】胸腔ドレーンのしくみ①排液室の管理
【第5回】胸腔ドレーンのしくみ➂吸引圧制御室の管理
【第8回】水封のみ(ウォーターシール)で管理するのはどんな場合?
【第13回】呼吸性移動はどう観察する?
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胸腔ドレーンの管理では、専用の吸引装置や医療機器を用いるため、作動原理や装置のしくみ、使用方法を理解して管理しましょう。
胸腔ドレーン管理では、3連ボトルシステムの原理に基づいた低圧持続吸引法が用いられます。
3連ボトルシステムとは、①排液室、②水封室、➂吸引圧制御室を連結して吸引源に接続したシステムです。それに患者さんに挿入された胸腔ドレーンを接続します。以下に部位の特徴を1つずつ解説します。
水封室とは
水封室内に規定量の蒸留水を入れ、胸腔と体外が直接交通するのを防ぎます。このように水によって封をしている状態を水封(ウォーターシール)といい、水が一方弁の役割を果たしています。
水封室のしくみを理解するために必要な呼吸のしくみの知識
胸隔・横隔膜を動かして胸腔の体積を変化させると、胸腔内圧が変化します。それにより肺が膨張・収縮し、換気が行われます。
水封室の役割①体外→胸腔内への空気を防ぐ
ドレーンを挿入すると、胸腔と体外が直接交通し、そのままでは胸腔内が空気が引き込まれて肺を圧迫してしまいます。水封室に水を入れるのは、それを防ぐためです。
水封室をコップに例えると、下図のようになります。胸腔ドレーンでも同様に、肺が陰圧になることで水位が上がります(空気は入りません)。なお、呼気時は逆にストロー内の水位は下がります。この変化が呼吸性移動です。
水封室の役割②胸腔内→体外に空気を逃がす
気胸など、胸腔内に溜まった空気を出す際には、下図のようなことが起こります。このとき水封室に見られる気泡をエアリークと言います。