事例紹介をもとに、看護介入をナラティブに伝えます。今回は意思が確認できないICU患者さんと家族への意思決定支援をめぐるQ&Aを紹介します。

今回の事例:意思確認が困難なICU患者と家族への意思決定支援

●この事例を選んだのはなぜ?
●夫が代理意志決定者としての理解と意思決定能力があると考えた理由は?
●情報を整理して分析した効果は?
●看護師のもやついた気持ちはどう変わった?

事例をめぐるQ&A

この事例を選んだのはなぜ?

宇都宮 この事例を選択された理由を教えてください。

森田 私たちが日々ケアを行っている臨床では、「あれ?」「これでいいのかな?」と思うことが多々あります。それは私たちの倫理的感性のアンテナに引っかかったという重要なポイントです。

 そのときに、“それは自分だけかもしれない”“誰にどう言ったらよいのかわからない”と思い、そのままになってしまうこともあるのではないでしょうか?しかし、その奥には倫理的な問題、または倫理的問題が生じる可能性が潜んでいます。

 今回の事例は「これでいいのかな?」を声に出し、共有することで倫理的問題へ発展することなく解決に至ることができました。

 また、話し合うときに、今回のようなツール(事例紹介・表1参照)を用いることで思考を整理し、論理的に解決することが効果的であることを学んだため、この事例を選択しました。

夫が代理意志決定者としての理解と意思決定能力があると考えた理由は?

宇都宮 森田さんは夫が代理意思決定者として十分な理解と意思決定能力があると考えました。そのポイントはどこですか?

森田 代理意思決定するためには、代理意思決定者が以下の状態であることが重要です。

①正しく現状が把握でき、意思決定できる精神状態にあること
②患者のことをよく考え最善の意思決定をしようとしていること

 特にクリティカルケア領域では突然の発症や急変で危機状態に陥ることが多く、意思決定できる状況にない場合があります。また、高齢者の意思決定の場合は認知機能の低下などから現状を正しく理解できない場合もあります。

 Aさんの夫は、今までの病状説明の様子から病態や治療に関する情報を正しく理解できていました。また、現在危機状態になく、意思決定できる精神状態にありました。

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