ワケがあって医師がオーダーしている画像検査。でも、医師は何を想定してどこを見ているの?白黒でなんだかよくわからないけれど、看護にはどう役立つの?
臨床場面でナースがとりたい画像からの情報をわかりやすく示します。
【第1回】医師が画像をチェックする理由は?
【第3回】自然気胸と胸腔ドレナージ管理での画像の見るポイント②自然気胸の鑑別(立位・座位)胸部X線
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【第2回】自然気胸と胸腔ドレナージ管理での画像の見るポイント①前提となる知識
①自然気胸は典型的な症状がそろいにくい
自然気胸を発症した場合、突然の胸痛、呼吸苦、乾性咳嗽が出やすくなりますが、これらの典型的な症状がすべてそろうことはまれです。
さらに、重度の肺気腫やCOPD等、呼吸器疾患がないとSpO2低下や呼吸困難には至らず、何となく呼吸が苦しい違和感、という訴えにとどまることも少なくありません。
②自然気胸は肺の虚脱状態をみる
自然気胸を疑った場合は、以下のような確認を行います。そのうえで、X 線やCTで肺の虚脱状態を確認していきます。
●肺音の左右差や減弱の確認
●胸部を打診し、鼓音がないか確認(座位時:上肺野、臥位時:前胸部)
●頸部や胸部に皮下気腫がないかを確認
●緊張性気胸になっていないか、気管の偏位や頸静脈怒張、血圧低下はないかなども確認
また、自然気胸治療中の患者さんであっても、肺の拡張状態を確認し、治療が奏功しているかを判断していきます。
肺の状態を胸部X線で確認するポイントは、撮影時に患者さんが立位・座位なのか臥位なのかで異なります。
自然気胸を疑う際のアセスメントのキーワード
前述の自然気胸を疑う際のアセスメントでのキーワードを紹介します。
打診
●左手の第3指中節~末節部分(1)を体につけ、その中節骨部分(2)を右手の第3指の指頭で、右手首のスナップをきかせ一定の強さで叩打する。

皮下気腫
●皮下気腫は胸腔外の筋層や皮下に漏れ出る空気で、疼痛や握雪感が出現する。
●皮下気腫を触れる部分をマーキングしてサイズの変化をみていき、基本的に自然吸収されるのを待つ。
●皮下気腫による呼吸困難の悪化や嚥下障害がないか、顔面に皮下気腫が生じて視野障害・複視が出てこないかを確認し、神経症状が出るようであればドクターコールする。
鼓音
●打診では、空気の含有により音の振幅が異なる。
●通常の肺の打診では清音が聴取されるが、振幅が大きい、太鼓を叩いたような「トントン」という音が鼓音。鼓音は内部にairが貯留していることを示す。
●臥位で患者さんの胃泡や腸管ガス貯留部を打診すると鼓音が聞かれやすい。
緊張性気胸
●自然気胸の影響で胸腔内圧が高まり、結果として循環不全、ショックにいたる病態。頸静脈の怒張や、頸部の気管の偏位、ショック状態への進展時に疑う必要がある。
●特に人工呼吸器装着時やバッグバルブマスク換気など、陽圧換気時に病態悪化したときは必ず緊張性気胸を疑い、至急でドクターコールする。
自然気胸を疑って見ている(立位・座位)
A:肺の虚脱 胸部X線
B:重症度 胸部X線
C:最大呼気時の肺 胸部X線
自然気胸を疑って見ている(臥位)
A:空気の貯留量 胸部CT
B:空気の貯留部位 胸部CT
胸腔ドレーンの不適切な留置を疑って見ている
胸腔ドレーン尖端の向き 胸部X線
合併症を疑って見ている
皮下気腫など 胸部X線
- 1.Wilkerson RG,Stone MB:Sensitivity of Bedside Ultrasound and Supine Anteroposterior Chest Radiographs for the Identification of Pneumothorax After Blunt Trauma.Acad Emerg Med 2010;17(1):11-17.
2.近藤晴彦監修・編:多職種チームのための周術期マニュアル1 肺癌.メヂカルフレンド,東京,2004.
この記事は『エキスパートナース』2019年4月号特集を再構成したものです。
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