【連載まとめ】観察とケアがつながる画像
一般病棟の看護師に向けて、X線画像やエコー画像の原理と基本的な見方を解説する、全3回の連載です。
【第1回】X線画像の基礎知識:原理・特徴・注意点をわかりやすく解説
〈目次〉
●X線画像を閲覧する前の一般的注意事項
●X線画像の原理・特徴
・α線、β線とX線の透過性の比較
・X線画像の原理
・腹部単純X線画像の例
【第2回】フィジカルアセスメントとX線画像:バイタルサイン・呼吸音が示す肺の変化
〈目次〉
●重要な「X線画像撮影前情報」
●バイタルサインと胸部X線画像の関連
●バイタルサインと肺炎の重症度
●呼吸音とX線画像の関係
【第3回】超音波の原理とは?エコー画像を理解するための基礎知識
〈目次〉
●超音波の基礎知識
・すべては“波”からはじまる
・音の振幅と周期(周波数)の関係
・波の速度を求める数式
・波(光、音、振動)の時相
・周波数による音波の分類と性能
・プローブの種類
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糖尿病患者さんへの支援:情報提供と応援
糖尿病内科医であり1型糖尿病の当事者でもある小野えあ先生の書籍『えあちゃん的「とうにょうびょう」論』の試し読み記事をお届け。糖尿病患者さんへの情報提供や応援の重要性、初回入院の際にすべきことをわかりやすく紹介します。
病気だけど、 困った症状はない。ということは、 つまり…
糖尿病は、確かに診断基準があり、治療が必要な病気です。でも、特に2型糖尿病においては、自覚症状がまったくないことが少なくありません。それを「病気」と呼ぶこと、また、それをもつ人を「患者」と呼ぶことには違和感があるな、と個人的には思います(本書では便宜的に使っていますが)。
でも、医療機関は、基本的に病気を治療する場所です。自覚症状のない、完治させることもできない糖尿病患者さんに対して、医療者ができることはどれくらいあるでしょう?
高血糖緊急症などで入院が必要な状態でもなければ、医療者が糖尿病患者さんに「直接、何かをすること」は、ほぼありません(というか、できません)。治療の主戦場は実生活のなかですから、実際に糖尿病と向き合い、治療行為を行うのは、糖尿病をもつ人自身や、その生活を支えてくれる人です。
①情報提供:時代とともに変わる「治療の常識」を届ける
糖尿病治療は日進月歩で、日々新しい薬やデバイスが開発されています。わたしが糖尿病を発症してからの約30年で、糖尿病治療の常識はひっくりかえりました。でも、そういった情報を、非医療者である患者さんや家族が、自力で集めるのは簡単ではありません。
だからこそ医療者は、随時、必要な知識や情報を正しくアップデートし、有用な情報を患者さんに届ける必要があります。
②応援:治療に対する「やる気」を引き出す味方となる
治療の担い手(患者さん)のやる気を引き出し、継続してもらうためには、応援してくれる味方が必要です。医療者には、専門知識をもつ味方として患者さんに寄り添ってほしい、そう思います。
2つだけなんですか? 他にできること、ありませんか?
医師は薬剤の処方ができます(実際に購入して内服 or 注射するのは患者さん自身)。あとはフットケアや訪問看護。これは数少ない、医療者が糖尿病に直接関与できることです

糖尿病治療において「初回入院」は、 とっても大事
入院すれば、時間がたっぷりとれます。時間があれば、患者さんのことをよく知ったり(問診や検査など)、患者さんに情報を提供したり、最適な治療を検討したりできます。そして、多くの患者さんは入院している間「糖尿病に向き合うこと」を最優先してくれます。
初回入院? 教育入院のことですか?
そうなんですが…教育入院という呼び方は不評です。それに「教育」するのは医療者なので、患者さんからすれば違和感があると思います。とはいえ適切な言い換えかたもないので、本書では「初回入院」と呼びます
わたしが「初回入院が大事」と思う理由
入院すれば、適切な食事を実際に提供されたり、頻回に血糖値を測ることができたり、いろんな薬を試したり…自宅や外来ではできないことを体験できます。何事も最初が肝心で、初回入院の経験が、その後の一生を左右するといっても過言ではありません。
ネックは、時間とお金がかかること。なので、すべての患者さんに勧めるのは難しいですが、理想的には重症度にかかわらず、全員、初回指摘時に入院をしてもらいたいくらいです。
①初回入院でやることは3つ
患者さんについて調べる・知る
・問診(生活歴、家族歴、体重歴、嗜好、既往歴、家庭や仕事について、今後の希望をはじめ、入院の感想や金銭的な不安など、ちょっとしたことでも会話内容を記録してほしいです)
・診察と検査(インスリン分泌能や抵抗性:体質や体格、合併症や併存疾患など)
↓
情報提供する
・糖尿病に関連した「必要な知識」全般(一般的なもの+個々に合わせた栄養指導や運動指導)
↓
退院後に向けて準備する
・治療方針の決定・処方、必要に応じた手技の練習
・周囲への協力とりつけ(協力者の有無や関係性、受け入れられる介入について検討を重ねます)
・無理のない目標設定(目標を実現するために何ができそうか、患者さんと話してみてほしいです。看護師からみて不安な点はぜひ共有を)
③最も大切なのは「退院後に向けた準備」
正直、入院中は、血糖管理がうまくいって当たり前です。食事・生活パターン・内服など、生活のすべてを病院が管理しているわけですから。しかし、自宅に帰ったら、ほぼすべての患者さんが、多かれ少なかれうまくいかなくなります。
退院後、生活のなかで、さらに治療をその患者さんに合ったものにカスタマイズしていくために、入院で得た基礎知識や自身に関する情報・目標・方針・環境調整が強固な土台として重要なのです。
そして、生活のなかで目標達成を維持していくためには「継続的な情報提供+応援」が非常に重要です。できることは限られているとはいえ、医療者の果たすべき役割は重要です。
適切な「応援」の方法は、相手や状況によって変わります!慰め、鼓舞、傾聴…ときには叱責だったりすることも
そのやさしさが、認知機能低下を招く…かもしれない
入院中のインスリン注射や血糖測定は、看護師にやってもらうのが安心・安全です。単位数や手技のミス、患者さんへのリスクもないので、正直、医療者にとっては楽なんです。
でも「ほんとにこの人できてるの?」と感じるくらい、どう見てもあやうい患者さんほど、これらの手技を取り上げてはいけません。若いころからインスリン自己注射をやっていて、認知機能が怪しくてもルーチンでできる患者さんのなかにはインスリン手技をすることで認知機能を保っている人も少なくありません。
認知機能が危うく「インシデントにつながりかねないから」と、入院中は看護師がインスリン注射を行うようにしたら、一気に認知機能が落ち、自宅退院できなくなった患者さんもいます。入院という大きな要素があり、一概にインスリン手技をやらなかったせいとはいえないものの、わたしには無関係とは思えませんでした。どんなに怪しくても、これまで自己注射してきたならば、できる限り本人にやってもらうべきです。
ちなみに、インスリンを打ち始めてから50年経った患者さんを表彰してくれる企画があります。日本イーライリリー社が主催する「インスリン50年賞」です。インターネットサイトに、授賞式の様子や受賞者のコメントが掲載されています。長く治療を受けながら元気に暮らしている患者さんたちの姿に、わたしも勇気づけられています。受賞者は毎年増えていますし、糖尿病の予後がどんどんよくなっているのがわかります。
なお、インスリン発売は1921年、わが国における在宅自己注射の保険適用は1981年です。現在50年賞を受賞している人たちは、保険適用前から注射をしている(そして当時、血糖測定は保険適用になっていなかった)わけです。そういった患者さんたちから、昔々の話を聞くのも、とてもおもしろいですよ。
\続きは書籍で/

えあちゃん的「とうにょうびょう」論
小野えあ 著
A5・144ページ
定価:2,200円(税込)
照林社
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糖尿病ってどんな病気?
糖尿病内科医であり1型糖尿病の当事者でもある小野えあ先生の書籍『えあちゃん的「とうにょうびょう」論』の試し読み記事をお届け。糖尿病とはどんな病気か、病型や慢性合併症の基本をやさしく解説しています。
インスリンがないと、ヒトは死にます
糖尿病は、インスリンが足りないせいで、慢性的に血糖値が高くなってしまう病気です。
インスリンは膵臓(β細胞)から分泌されるホルモンで、 細胞に栄養を取り込み、血糖値を下げる効果があります。そのため、インスリンが足りないと「栄養が細胞に入れず血中にあふれてしまう=高血糖」になります。
「インスリンが足りない」には
・出る量が足りない(インスリン分泌不全)
・必要量が多すぎる(インスリン抵抗性)
の2種類があります。このどちらかの機序により、インスリン分泌量が必要量を下回ったとき、糖尿病を発症します。

糖尿病には、 いろいろな型(病型)があります
①「インスリン分泌不全」がベースとなるもの
1型糖尿病は、自己免疫により膵臓が攻撃され、インスリン分泌が低下・枯渇する糖尿病*1です。1型糖尿病のほか、膵切除後や膵炎、薬の副作用などでβ細胞がなくなってしまった患者さんや、遺伝子の異常などで「インスリンが出ない」タイプは、シンプルにインスリン分泌不全です。
これらの病気を抱えている場合は、どれだけ血糖管理がうまくいっていたとしてもインスリン注射をやめることができません。
*1 ゆっくり進行する「緩徐進行1型糖尿病(slowly progressive insulin-dependent diabetes mellitus:SPIDDM)」というタイプは、ときに2型糖尿病と誤診されます。
インスリン注射をしている人に、不用意に「やめられるといいね」とか言わないでくださいね
②「インスリン抵抗性」がベースとなるもの
妊娠すると、血糖値が上がりやすくなります。妊娠糖尿病は、妊娠に伴いインスリン必要量が増えることで発症する「インスリン抵抗性」をベースにした糖尿病です。
妊娠のほか、肥満や薬剤、遺伝子異常など、インスリンが効きにくくなる要因は多数あります。また、過食するとインスリンの必要量が増えます。
上記のいずれの場合でも、インスリン分泌量が十分なら糖尿病は発症しません。インスリン抵抗性や必要量増加がベースにあるとしても、最終的にはインスリン分泌不全が糖尿病の発症原因になります。
③上記①②の「どっちもあり」が2型糖尿病
では、最も多い2型糖尿病の主な病態はどちらでしょうか…? じつは、人によります。大半の患者さんには両方の要素がありますが、なかには、ほぼインスリン分泌不全だけの人も、ほぼインスリン抵抗性だけの人もいます。
2型糖尿病と聞くと「インスリン抵抗性が上がる肥満」をイメージしてしまいがちです。しかし、2型糖尿病患者の平均BMIは25未満=非肥満1)で、BMIが18未満=やせの人も珍しくありません。
2型糖尿病の「なりやすさ」には、遺伝因子や加齢、出生時低体重・高体重など、自分ではどうしようもない要素がかなり影響しています。
「人による」って、ずいぶんあいまいですね…
そもそも2型糖尿病は、インスリン分泌が残っている高血糖のうち、原因(自己免疫、特定の遺伝子異常や病気、薬など)が特定できないものを全部ひっくるめたゴミ箱診断だから、ひとくくりにできなくて当たり前なんです
血糖値が上がる治療って?
ステロイド、栄養剤(経口・経管)、点滴によって糖尿病が急激に悪化したり、急に糖尿病になってしまったりすることは、よくあります。また、抗がん薬のなかには、急に危険な高血糖をきたしうるものがあります。
もし、これらの治療を受けている患者さんが、喉の渇き、ひどいだるさ、尿が近い・泡立つなどと訴えたり、尿バッグがパンパンだったり、受け答えが悪くなっていたりしたら、すぐに血糖値を測りましょう。それにより救われる命があります。
最初は大丈夫でも徐々に血糖値が上がっていくパターンもあるので、該当する治療を受けている患者さんには全例、定期的な血糖チェックが必要です。
「糖尿病=血糖値が高い」だけなら、特に困ることはありません
高血糖状態が慢性的に持続していることが証明されれば糖尿病と診断されます。診断基準2)は、
・朝食前血糖126mg/dL以上または随時血糖200mg/dL(糖尿病型)が2日以上、別の日に確認される
・上記の血糖値かつHbA1c 6.5%以上(糖尿病型)であれば 1 回の検査で診断可能
これに加え、高血糖による典型的症状や糖尿病網膜症所見により診断されることもあります。
ただし、上記の「糖尿病型*2」を満たしただけで困る人はまずいません。では、なぜ病気と呼ぶのでしょうか?
*2 ちなみに、空腹時血糖110mg/dL以上、随時血糖140mg/dL以上は「境界型」です。HbA1c 6.0%以上がこれに相当します。
①生命の危機につながる恐れがある
血糖値が上がりすぎれば、「口渇」「多飲多尿」「体重減少」「ひどいだるさ」「意識障害」などの果てに、「死」が待っています。
特徴的な自覚症状と高血糖があれば、HbA1cに関係なく*3糖尿病と即日診断が可能です
*3 HbA1cは上がるのに時間がかかるため、血糖値だけが高いことも、たまにあります。
②周術期合併症や感染のリスクが高まる
血糖値が高いと、傷が治りにくかったり、感染症にかかったり、こじらせたりしやすくなります。周術期管理や他疾患をきっかけに糖尿病の治療が始まる患者さんも少なくありません。
高血糖状態での緊急手術では、明らかに合併症リスクが上がります。手術前血糖は食前140mg/dL未満、食後2時間血糖180mg/dL未満が理想です。周術期には糖尿病内服薬をインスリンに切り替える必要があるので、血糖管理がうまくいっていない人・たくさんの糖尿病内服薬が必要な人は、術前に血糖管
理のための入院が必要になります。
また、COVID-19においては、HbA1cが8.1%を超えると明らかに死亡率が上昇すると報告されていました3)。
他にも、糖尿病は、歯周病や脂肪肝、勃起障害、認知症、悪性腫瘍などと関連しています
やっかいなのは、 慢性合併症:「しめじ」と「えのき」
糖尿病があると、
・細小血管障害「し:神経障害」「め:眼の病気」「じ:腎障害」
・大血管障害「え:(足)壊疽」「の:脳卒中」「き:虚血性心疾患」
のリスクが、ものによっては境界型の段階から上がります。
細小血管障害は一般的にし→め→じの順で出ます。とてもよい語呂合わせ
①慢性合併症の「発症や進行を抑える」ことはできる
困ったことに、これら慢性合併症の症状は自覚症状が出た後に対応しても、きれいさっぱり消すことはできません。しかし、適切な血糖管理と観察をすることで、発症・進行を抑えることはできるのです。
たとえば、糖尿病網膜症。以前は日本における失明原因の圧倒的第1位でしたが、今は第3位です(ちなみに、現在の第1位は緑内障)。これは、
・患者さんたちが、しっかり糖尿病治療に取り組んだこと
・患者さんたちが、しっかり眼科に通っていること
・医学の進歩
のおかげです。
透析を要する糖尿病患者さんの割合・数も、ここ数年は減少傾向にあります。
②慢性合併症で「困る前」に対応することが大事
健診を受けない(ないし通院を中断している)間に、糖尿病の合併症が進行して「失明」してしまった患者さんや、「緊急透析導入が必要な腎不全」「足壊疽」などを主訴に糖尿病を初めて指摘される患者さんは、一定数います。
「血糖値が高いだけ」では何も困らないのに、糖尿病とかかわりがある困りごとは、枚挙にいとまがありません。そのため、
「困る前に病気と診断し、治療に取り組むことで、死ぬまで困らないでいよう!」
というのが、糖尿病治療の基本コンセプトになります。
「目が見えにくい気がする。糖尿病のせいですか?」と不安がる患者さん、外来でときどきみかけます
糖尿病細小血管障害は年単位の進行なので、毎年健診を受けていて、はじめて指摘された患者さんの場合、基本的に糖尿病のせいとは考えません。年齢によっては、白内障があることも多いですし…
ただし、病歴が長い(網膜症の進んだ)患者さんでは、血糖値の急激な低下が眼底出血の原因になることがあるので、訴えがあれば報告してください
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えあちゃん的「とうにょうびょう」論
小野えあ 著
A5・144ページ
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【連載まとめ】やさしくわかる透析看護
透析患者にかかわる看護師に必要な専門知識・技術をやさしく解説する、全4回の連載です。腎代替療法における意思決定支援や、腹膜透析(PD)・血液透析(HD)・在宅血液透析(HHD)の特徴を紹介します。
【第1回】腎代替療法における意思決定支援と腎移植の基礎知識
〈目次〉
●腎代替療法の情報提供と意思決定プロセス
・患者にとっての最善を共に考える
・腎代替療法の情報提供の流れ
●知っておきたい腎代替療法の選択肢①腎移植
・腎移植の種類
・腎移植の実施時期
・生体腎移植ドナーの留意点
【第2回】腹膜透析(PD)の特徴や注意点、患者への説明ポイント
〈目次〉
●PDの特徴
●PDのメリット・デメリット
●PD導入に関する患者への情報提供
●PD開始後の留意点
【第3回】血液透析(HD)の特徴や注意点は?透析日のスケジュール例も紹介
〈目次〉
●HDの特徴
●HDのメリットとデメリット
●HD導入に関する患者への情報提供
・HD実施の流れ
・透析がある日のスケジュール例
【第4回】在宅血液透析(HHD)の特徴や注意点、実施基準・導入手順をわかりやすく解説
〈目次〉
●HDDの特徴
・腎代替療法の分類
●HHDのメリットとデメリット
●HHD導入に関する患者への情報提供
・HHD患者のある1日のスケジュール
・HHDの選定から導入までの流れ(例)
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【連載まとめ】看護師に必要な腎臓病と透析の知識
ナースが臨床現場で活かせる腎臓病と透析の知識をまとめた、全4回の連載です。腎臓病の定義や症状、血液透析の基礎知識などをわかりやすく解説しています。
【第1回】腎臓病とは?どんな状態を指すのか、定義と分類を解説
〈目次〉
●「腎臓が悪いというのはどういう病態ですか?」
●BUN(尿素窒素)ではなくCr(クレアチニン)を指標にするのはなぜ?
●尿量測定の目的とは?
●病態分類の確認と臨床経過のイメージ
【第2回】腎臓病による症状とは?看護に役立つ基礎知識
〈目次〉
●「腎臓が悪いと、患者さんに何が起こるのですか?」
●腎臓だけが悪いときに考える疾患
●腎臓も悪いときに考える疾患
●家族も腎臓が悪いときに考える疾患
【第3回】血液透析の現場で看護師が注意すべきポイント
〈目次〉
●血液透析を実施する際に必要なもの
●血液透析中に注意することは?
●透析前後で病棟ナースが気を付けることは?
【第4回】水・電解質の異常とは?腎臓病を理解するための基礎知識
〈目次〉
●腎臓の役割とは?
●電解質異常で大切なことは?
●水・電解質異常になりやすい患者は?
●水の異常とは?
●電解質の異常とは?
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第314回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
個々の職種の専門性の総和によって
目標が達成できるのが
チーム医療の特色である
チームは組織です。その組織の力量いかんが患者の安全を左右し、健康回復や病状安定にも直接影響します。個々の場面におけるどの職種の働きが目標達成に有用であったかということではなく、個々の職種の専門性の総和によって目標が達成できるのがチーム医療の特色であると言えます。
チームを構成する人々は年々交代していくために、「本当のチーム医療」は、いつになっても高い目標であり続けるかもしれないと思いながら、それへの近道は、やはり看護そのものの水準を高める以外にないと思っています。
(出典:『看護を語ることの意味“ナラティブ”に生きて』183ページ、看護の科学社)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第313回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
死にゆく人々の看護を考えるにあたって
最も重要なことは
生命についての哲学を一人ひとりの看護師が
きちんともつことではないだろうか
死にゆく人々の看護を考えるにあたって、最も重要なことは、生命についての哲学を一人ひとりの看護師がきちんともつことではないだろうか。老人患者が増加し、交通災害が増えて、植物状態やそれに近い患者も各施設内には必ず存在する状況のもとで、よほどしっかりとした生命観をもっていないとジレンマに悩むことも多い。
私はかねてから、生命過程における死の必然性を認めた上で“積極的な生の肯定” ということを主張してきた。積極的な生の肯定とは、患者その人の年齢や背景にかかわらず、その人の死の瞬間までの日々を、人 生の貴重な1日として大切にするということである。
(出典:『CHECK it UP②日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』161ページ、医学書院)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第312回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
苦痛や疼痛をすっかり軽減したり
緩和できるということは
まずあり得ないということを
謙虚に認めることが援助の出発点である
苦痛の多様性、個別性を考えると、その道の険しいことは十分予測されることである。だが、より確かな苦痛のケアの方法をあみ出せたら、医療技術の中身もずいぶん大きく変わるだろうと思われる。
苦痛のケア上忘れてはならないことは、苦痛は、その苦痛を現在感じている人のものであり、その人が「苦しい」「辛い」「痛い」と言えば、そこには明らかに苦痛が存在するのだということである。客観的にその量や質を測定できないし、「本当に苦しいのか」「痛そうには見えない」などと疑いの目で見ることは、余計に苦痛や疼痛を増強する。そして、苦痛の援助を述べるのに大変矛盾しているようだが、苦痛や疼痛をすっかり軽減したり緩和できるということは、まずあり得ないということを謙虚に認めることが、援助の出発点であると思う。
(出典:『看護技術の現在 看護の時代 2』97~98ページ、勁草書房)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第311回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
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看護師が訪問してケアをするのに
なぜ、医師の「指示書」が必要なのか
訪問看護ステーションは、在宅でケアを必要とする高齢者に対して、看護技術を提供して費用を得るという、これまで認められなかった看護の自営の承認ともいうべき画期的な施策であり、看護界はこれを歓迎した。ところが、発足早々問題も山積する。例えば、医療面での医師との連携はいうまでもないことであるにしても、看護師が訪問してケアをするのになぜ、医師の「指示書」が必要なのか。専門職である看護師が、自由裁量で訪問することを誰が拒んでいるのか。指示書の必要がステーションの維持を図るための経済基盤を弱める一因ともなっている。
(出典:『看護管理覚え書』54ページ、医学書院)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第310回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
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療養上の世話は
苦痛のケアではありません
気持ちのよいケアに尽きます
療養上の世話というのは、患者に対して至極当然なことを至極普通にさりげなく行い、整えることです。そのことによって患者の安楽が図れ、免疫力を高めます。
療養上の世話は苦痛のケアではありません。気持ちのよいケアに尽きます。そして、そのケアを、ケアの受け手の文化と一致して行う、つまりその人が過去に習慣として行っていたのと同じようなやり方で提供することで、自然のままに受け取ることができるサービスとなります。
(出典:『看護の危機と未来 今、考えなければならない大切なこと』143ページ、ライフサポート社)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第309回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
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彼女の著書には
読者である私を
決して裏切らない解答や
ヒントがあった
「普通の病棟で、入院後に感染を起こす人は何パーセントくらいかしら」「浣腸のカテーテルの挿入の長さは、教科書に書いてある通りでいいのかしら」「看護師は1日何回くらい手洗いをするのが妥当だろうか」「観察の大切さは言うまでもないが、観察の誤りはどのような場合に起こるのだろうか」など、看護師としての素朴な疑問の数々。いつでも、彼女 ( ヘンダーソン ) の著書には、読者である私を決して裏切らない解答やヒントがあった。それは実践的で納得のいくものであった。
(出典:『ヘンダーソンからの贈り物 響き合い拡がる看護をめざして』42~43ページ、看護の科学社)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第308回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
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安全性の論理は
まず一〇〇%の安全を守る
ということに徹するべきです
医療や看護の過程で、その人の病状を悪化させたり、いのちを脅かすようなことがあってはならないのは当然です。しかし、どんなに注意深く心がけても、あってはならない事故が起きやすいのが医療現場の現実です。安全性の論理は、まず100%の安全を守るということに徹するべきです。たとえ99%安全でも、残りの1%のリスクで事故は起きるのです。その1%は、出会った当事者からすれば100%の危険であるとの認識が必要です。
(出典:『看護の力』34ページ、岩波書店)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第307回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
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騒音とは
生理的、感情的に障害を
与える音であり
主観的なものである
療養環境を静かにすることは、現在の病室管理上とくに大切なことである。病院は静かであるべきはずなのに、最近では、その静けさが保ちにくい状態にある。1日の生活のなかで耳にするさまざまな音は、その時その人のおかれた状態によって、楽しく聞けたり、わずらわしくうるさく感じることは、誰しも体験することである。
それが物理的にどんな性質の音であっても、もしその音を聞いている人が不快であったり、仕事の妨げになると感じれば、それは騒音となる。騒音とは、生理的、 感情的に障害を与える音であり、主観的なものである。
(出典:『病院看護ハンドブック 入院から退院まで』153ページ、医歯薬出版)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第306回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
技術における法則性が科学によって
裏づけられたものでなければいけないとしたら、
人間を対象としたアプローチの
ほとんどは技術たり得ないということになる
看護技術を「看護実践における客観的法則性の意識的適用」とした場合に、その客観的法則性は科学でなければならないと解釈する向きがある。しかし、客観的法則と言いきらずに、「法則性」と述べた部分に注目しなければならない。
技術における法則性が、科学によって裏づけられたものでなければいけないとしたら、人間を対象にしたアプローチのほとんどは技術たり得ないということになる。つまり、科学以前の経験法則をも含むがゆえに法則性と言うのである。
(出典:『チーム医療と看護 専門性と主体性への問い』19ページ、看護の科学社)
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【連載中】WOCナースのリアル体験記
急性期病院一筋で働いてきたWOCナースが、40歳を目前にして訪問看護に挑戦!きっかけやギャップ、これだけは知ってほしいことなど、リアルな体験記をお届けする連載です。
第1回:急性期病院から訪問看護へ転身!WOCナースの体験記
〈目次〉
●在宅への関心のきっかけは、「やっとできた親孝行」である父親の介護
●いままでの働き方を考え直すきっかけとなったCOVID-19流行下での、ある患者さんへの対応
●自分が社会にできることは何か――それは自分の強みを生かすこと
●新しい人生の選択肢を選べるうちに選んでみたいという思い
●家族の後押しを支えに訪問看護への道をめざすことに
第2回:看護師が営業?!訪問看護への転職のギャップ
〈目次〉
●看護師人生第二幕開演!…でも仕事がない?!
●待っていたのは何と営業。「思っていたのと違う!」
●手応えのない営業の日々に、やがて笑顔は消えて…
●WOCナースの肩書は、病院だから通用していた
●「このままじゃ辞められない」。仕事を選ばず全力で向き合う
第3回:病院と訪問看護、経験してわかった理想と現実
〈目次〉
●「マグロの寿司を食べたい」という難問
●悩んだ末、同僚に相談すると…
●正しいこと“だけ”ではニーズはかなえられない
●「マグロの味がする」のひと言に感動
●「在宅スゲー」の体験で訪問看護が楽しくなる
●理想とは違って、決して甘くない“在宅のリアル”
第4回:訪問看護は看護師の駆け込み寺ではない
〈目次〉
●転職はまず自分自身を振り返り、可能性を模索してから
●訪問看護は楽しいけれど、楽ではない!
●“人生の伴走者”となるやりがいと覚悟
●気持ちの伝達こそが、地域連携となる
●病気や症状ではなく、その人や家族をみるということ
そのほかの連載はこちら
川嶋みどり 看護の羅針盤 第305回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
“先入観なしにまず対象に働きかける”ことこそ
正しい患者像の把握につながり、
的確な援助方法に結びついていく
ウォーキング・カンファレンスの実践を通して、次の2つを学ぶことができた。
1つは、看護のプロセスでの情報収集の目的は、あらゆる角度から集めた情報を客観的に判断して、個別の患者のニーズに応えうるための手段の1つであり、 よりよい看護サービスを計画し実践するためのものである。
もう1つは、“先入観なしにまず対象に働きかける”ことこそ正しい患者像の把握につながり、的確な援助方法に結びついていくことである。
(出典:『看護カンファレンス 第2版』38ページ、医学書院)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第304回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
高度医療技術に寄り添う道を選ぶか
自然の回復過程を整える
看護独自の技術を極める道を選ぶかは
看護師が決めることである
原点は1つである。原点から「高度医療技術に寄り添う道」を選ぶか、「自然の回復過程を整える看護独自の技術を極める道」を選ぶかは、看護師が決めることである。私は、ワンガリ・マータイが「MOTTAINAI」を世界に広めたように、「看護の復権に向かう」道として、看護を必要としている人の肌に手をあてることの大切さ、「TE‐ARTE」の人間的な有用性を世界中に広めたいと思う。この数年来、来日研修されているアフリカの看護師たちにもこの「TE-ARTE」の思想を語り、共感の手応えを感じている。この看護の原点にかえる大きな夢を、多くの看護師たちと共有したいと願う。
(出典:『いま、看護を問う』84ページ、看護の科学社)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第303回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
有限の寿命を認めたうえで
生きている間は
生命を積極的に肯定する
看護の基本とは、生命過程における死の必然性、どんなに医学が進歩しても寿命には限りがあるということ、その有限の寿命を認めたうえで、生きている間は生命を積極的に肯定することではないでしょうか。
消極的な肯定や相対的な意味ではなく、生命の絶対的な価値を認めることだと思います。どんなに重い障害をもった赤ちゃんであっても、どんなに高齢であっても、どんないのちであっても、その人が生きている間はその人の生命の価値を認め、生まれて、生きてよかったと、生を全うできるようにするのが看護なのです。
(出典:『看護の危機と未来 今、考えなければならない大切なこと』61ページ、ライフサポート社)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第302回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。
「いい子ね、たくさんうんちをしてくれて」と
にこにこしてください
何時でも心がけたいことは、便が出たら、嫌な顔をしたり、悲鳴を上げるのではなく、「いい子ね、たくさんうんちをしてくれて」と、にこにこしてください。そして、便は健康の目安としても大事ですから、色や量、臭いなどについてもよく観察して、わが子の普通の状態であるときの便について、よく知っていることが大切です。
(出典:『育てる喜びありがとう 子どもとともに育つあなた』64ページ、看護の科学社)
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川嶋みどり 看護の羅針盤 第301回
20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。
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更衣の機会こそ
最初の身体観察の機会である
家族とともに来院しているからと、ベッドに休むまでの世話を家族に委ねてその場を去ったりはしていないだろうか。更衣の機会こそ、最初の身体観察の機会である。衣服の着脱動作や四肢の関節可動域の範囲、皮膚の状態の観察などができるからである。
また、そのときの普通の会話や苦痛の有無、不快症状の有無を問う場面でも、患者の聴力や視力、言 語障害の有無や理解力などをアセスメントする、またとない機会となろう。
(出典:『CHECK it UP ③日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』55~56ページ、医学書院)
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2026年2月の学会&イベント
日本看護サミット2025
日程 2026年2月5日(木)
会場 パシフィコ横浜国立大ホール(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
テーマ ウェルビーイング時代における看護職の働き方革命
主催者代表 秋山智弥(日本看護協会会長)
問い合わせ先 日本看護協会:TEL 03-5778-8547・FAX 03-5778-8478
ホームページ https://www.nurse.or.jp/nursing/summit/2025/
第43回日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会総会
日程 2026年2月6日(金)~7日(土)
会場 大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)(大阪府大阪市北区中之島5-3-51)
テーマ ストーマ・排泄リハビリテーションの澪標(みおつくし)~ストーマ・排泄リハビリテーションが進むべき道~
大会長 上川禎則(大阪市立総合医療センター泌尿器科)
問い合わせ先 株式会社インターグループ:TEL 03-5549-6909・FAX 03-5549-3201
ホームページ https://square.umin.ac.jp/jsscr43/
第41回日本栄養治療学会学術集会
日程 2026年2月13日(金)~14日(土)
会場 パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
テーマ Innovation
大会長 鈴木 裕(国際医療福祉大学病院病院長、国際医療福祉大学医学部医学科 消化器外科学教授)
問い合わせ先 株式会社コングレ:TEL 03-3510-3701・FAX 03-3510-3702
ホームページ https://www.congre.co.jp/jspen2026/
第7回日本周麻酔期看護医学会学術集会
日程 2026年2月15日(日)
会場 横浜市立大学金沢八景キャンパスYCUスクエアピオニーホール(神奈川県横浜市金沢区瀬戸22-2) ほか
テーマ 周麻酔期の看護に必要な教育と能力とは ―社会的責任を果たすために
大会長 後藤隆久(横浜市立大学大学院医学研究科・医学部麻酔科学教授)
問い合わせ先 株式会社レグルス
ホームページ https://jspanm2026.umin.jp/
第40回日本がん看護学会学術集会
日程 2026年2月21日(土)~22日(日)
会場 大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)(大阪府大阪市北区中之島5-3-51)
テーマ サイエンスとアートで紡ぐがん看護―継承と発展―
大会長 荒尾晴惠(大阪大学大学院医学系研究科)
問い合わせ先 あゆみコーポレーション:TEL 06-6131-6605・FAX 06-6441-2055
ホームページ https://plaza.umin.ac.jp/jscn2026/
第59回日本痛風・尿酸核酸学会総会
日程 2026年2月27日(金)~28日(土)
会場 福井駅東口再開発ビルAOSSA(福井県福井市手寄1-4-1)
テーマ 伝統を礎に若い力が躍動する痛風・尿酸・核酸の将来
大会長 山内高弘(福井大学病態制御医学講座内科学(1)血液・腫瘍内科教授)
問い合わせ先 株式会社エクシート:TEL 0776-51-5678・FAX 0776-51-3413
ホームページ https://tsufu59.exceet.biz/
第6回日本フットケア・足病医学会年次学術集会
日程 2026年2月27日(金)~28日(土)
会場 ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター(大阪府大阪市北区大深町3-1) ほか
テーマ LIFE TIME MANAGEMENT
大会長 飯田 修(大阪けいさつ病院循環器内科部長)
問い合わせ先 株式会社コングレ:TEL 06-6292-6061・FAX 06-6292-6066
ホームページ https://www.6thjfcpm.jp/
第55回日本慢性疼痛学会
日程 2026年2月27日(金)~28日(土)
会場 ホテル日航奈良(奈良県奈良市三条本町8-1)
テーマ 慢性疼痛に寄り添う
大会長 渡邉恵介(奈良県立医科大学附属病院ペインセンター)
問い合わせ先 株式会社GLEAM:TEL 06-4798-2078
ホームページ https://glm-p.com/55jsscp/
第36回日本医学看護学教育学会学術学会
日程 2026年2月28日(土)
会場 鳥取看護大学(鳥取県倉吉市福庭854)
テーマ 未来志向で考える 地域医療・看護・教育
大会長 田中 響(鳥取看護大学教授)
問い合わせ先 鳥取看護大学:TEL 0858-27-2800
ホームページ https://jamne-conf.jp/2026/
そのほかの期間の学会・イベント情報はこちら
●掲載したい学会・研究会の情報を、エキスパートナース編集部あてにお送りください。web掲載は無料です。
●「掲載したい学会・研究会URL」「お名前」「ご所属」「連絡可能な電話番号」「E-mailアドレス」をお書き添えのうえ、「学会&研究会イベント係」までE-mail(enweb@shorinsha.co.jp)にてお送りください。
●掲載の有無はエキスパートナース編集部で判断し、(掲載有無の結果は)事前にご連絡はいたしません。何卒ご容赦願います。
●エキスパートナース誌面で、学会・研究会の情報を掲載ご希望の方は「学会&研究会イベント係」までE-mail(enweb@shorinsha.co.jp)でご連絡ください(有料)。
●最新の情報は、各学会のホームページなどでご確認ください。
【連載中】NPPV(非侵襲的陽圧換気)のポイント
人工呼吸器の一種で、挿管せずマスクで呼吸管理ができるNPPV(非侵襲的陽圧換気)。導入時におさえておきたい知識や、施行時のチェックポイントなどをわかりやすく解説する連載です。
【第1回】NPPV(非侵襲的陽圧換気)の対象となる患者は?
〈目次〉
●NPPVを使用する患者は?
●疾患別の適応と効果
・主要疾患に対する NPPV の推奨度とエビデンスレベル
【第2回】NPPV(非侵襲的陽圧換気)機器の組み立て・設定手順は?
〈目次〉
●急性期にはグラフィックモニター搭載の機器を使用
●NPPVの内部構造
●NPPVの組み立て・設定手順①回路
●NPPVの組み立て・設定手順②マスクと呼気ポート
●NPPVの組み立て・設定手順③呼気ポートテスト
【第3回】NPPV(非侵襲的陽圧換気)継続に向けた導入時の患者対応
〈目次〉
●NPPV導入時のポイントは?
●NPPV導入時の説明はどうする?
●気管挿管への意志を確認しておく
●初期評価のポイントは不快感の有無
そのほかの連載はこちら
【無料webセミナー配信中】Chat GPTとは?看護に役立つ生成AIの基本と活用術
ChatGPTなど、生成AIは看護にどう役立つ? 生成AIの基礎知識や活用術、注意点をわかりやすくレクチャーする無料webセミナーを特別公開します!
エキナスweb会員限定の出版記念セミナー
10月に発売の書籍『ChatGPT使ってる?ナースが書いた 看護に役立つ生成AI使いこなし術』の出版記念セミナーとして、エキスパートナースweb会員限定で公開。
講師は、本書の著者である飯塚病院看護部看護師長でDX推進担当の上川重昭先生です。
セミナーは2本立て。第1回では、生成AIの得意なこと、使用する際の注意点などを解説。「今さら聞けない…」というような基礎知識をやさしく教えてもらえます。第2回は、生成AIのプロンプトと活用テクニックを具体的に紹介。看護業務の効率化につながる活用術を学ぶことができます。
セミナーは各10~15分程度。生成AIについて「興味はあるけど、よくわからない」「まったく詳しくない」という方も、入門としてぜひご覧ください!
※セミナー動画の公開期間は2025年11月1日(土)~30日(日)。
※会員登録した後に、このページに表示される下記リンク先から、セミナー動画を視聴できます。
\書籍はこちら/
ChatGPT使ってる?
ナースが書いた 看護に役立つ生成AI使いこなし術
上川重昭 著
照林社
A5判、定価:1,980円(本体1,800円+税)
【第1回】看護師さん必見!「ChatGPTって何?」今さら聞けない生成AIの基本と注意点
https://vimeo.com/1127384611/0a34af199e
【第2回】看護師の仕事が楽になる!生成AIのプロンプトと活用テクニック
https://vimeo.com/1127384787/e84d15577d
〈講師〉上川重昭先生(飯塚病院 看護部 看護師長、DX推進担当)
〈参加費〉無料
〈セミナー時間〉各10~15分
〈動画公開期間〉2025年11月1日(土)~30日(日)
※生成AIの使用方法の実演として、Google『Gemini』を動画内で使用しています。
※本セミナー・書籍に登場する生成AI(ChatGPTなど)の回答は一例であり、必ずしも正確な情報ではありません。ご自身による精査のうえでご利用いただくようお願いいたします。
※生成AIの利用にあたっては、所属施設におけるAIの業務利用に関する規定を確認し、それに従ってください。また、使用するAIサービスの利用規約を読み、許可されている範囲内で利用してください。
※本セミナー・書籍で取り上げた内容は2025年9月現在の情報をもとに作成しています。AIサービスの内容は今後変更される可能性があります。臨床での実践にあたっては、厚生労働省や各学会等のwebサイト等で最新情報をご確認ください。
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やりたかった看護を実現!生成AI活用ポイント
連載記事まとめ
超音波の原理とは?エコー画像を理解するための基礎知識
書籍『観察とケアがつながる 画像』の試し読み記事を公開!今回はエコー画像を理解するために知っておきたい、超音波の原理についてです。音の振幅と周波数の関係や、プローブの種類などをわかりやすく解説します。

E看護師/出来 瑠奈いずき るな
看護師歴:12年、病棟主任
外科術後病棟管理領域パッケージで特定行為研修を修了し、病棟で実践中の看護師。会社員をしていた経歴をもつ。誰もが認める努力家で、将来訪問看護ステーションを開設しようと夢見ている。A看護師のプリセプターを務める。

A看護師/美垣 ひかりみがき ひかり
看護師歴:3年
特技はスキューバダイビングで、潜水士とダイビングのライセンスを取得済み。緻密に考えることはやや苦手だが、勘がよい。
超音波の基礎知識
すべては“波”からはじまる

E看護師
“超音波”という名前のとおり、原理は波の性質を使っているの。じつは、光も音も振動も基本的には波なのよね。Aさんは観覧車に乗ったことある?

A看護師
はい。

E看護師
観覧車を横から見たときに、最下点G席の位置をグラフに描くと、観覧車の大きさ・回転する速度で波形が変わってくるのがわかる(図1)?

A看護師
観覧車の高さが波の振幅になるし、観覧車の1回転する時間が波の1周期になるのですね。

E看護師
そのとおりよ。1周期の時間の分数(1÷1周期の時間〈秒〉)が周波数といわれるもので、1秒間に何回観覧車が回転するかという感じね。周波数はHz(ヘルツ)という単位で表すわ。




E看護師
周波数が20Hz〜20,000Hz(=20kHz〈キロヘルツ〉)の波だと、人間の鼓膜を介して音として聞くことができるの。でも、20kHzを超える波になると、音として聞くことはできなくなるのよ。だから、「音を超える波」で“超音波”と呼んでいるの。

A看護師
イルカは、10kHzから300kHzの音を出して会話していると聞いたことがあります。人間の耳の千倍の聴覚。まさに天使の耳をもっている生き物です。超音波は、音よりも気体の中では伝わりにくいけれど、水中では伝わりやすいのです。だから、イルカは人間が使う音域より高周波の超音波を使って交信しているんですよね。

E看護師
この波は、一定の時間をかけて遠い距離まで伝わっていくので、当然速度をもっているのね。この速度(v)を秒速〇〇mという感じで表し、図2のように波長(λ〈ラムダ〉)との関係で、波の速度=波長×周波数という式で表すことができるの。

A看護師
ちょっと、話が込み入ってきましたね……。


E看護師
波と速度の関係は、理解しにくい部分よね。雷を例に挙げると、雷光、雷鳴、雷動(地響き)の順番に時差を伴って感じるのは、光の波、音の波、振動の波でそれぞれの速度が違うからよ(図3)。

A看護師
光であろうが、音であろうが、振動であろうが、基本は、観覧車を横から見たときに得られるような波形で、波長や周波数の違いで届く速度が異なってくるということですね。


E看護師
そのとおり。すべては、波の数式で表せるみたいなのね。超音波の話に戻るね。音速は通常300m/秒くらいなので、超音波で使う周波数の5MHz(〈メガヘルツ〉MHzは100万Hz)だと、
300(音速)=λ(波長の長さ)×5,000,000(周波数)
λ=300/5,000,000=0.00006(m)=0.06mm
になるわ。
人が話すときの声の周波数は100〜300Hzで、波長は1〜3mになるのよ。超音波の波長は、人の声の5〜15万分の1しかないのよ。

A看護師
そうなんですね!

E看護師
この波長は、長くなる(周波数が高い)と分解能(音波をぶつけた物質を詳細に描く能力)は高くなり、透過力(物質の深くまで音波を届ける力)は弱くなる性質があるの(図4)。


E看護師
反対に、波長が短くなる(周波数が低い)と分解能は低くなり、透過力は強くなるわ。体の中を探るためのエコーはある程度の分解能と透過力が必要で、観察部位の深さに応じて1〜10MHz帯の周波数が使われるみたいよ。

A看護師
周波数が高いということは、波長が短い(v=λ×f)ということなので、どちらかというと細書ペンみたいなもので細部まで描けるということなのですね。

E看護師
まあ、そうね。表1に、エコーの発信装置であり、また受信装置でもあるプローブの、よく使われる3つを示すね。3行目の周波数が大切よ。


E看護師
周波数が大きいリニア型のプローブは、浅いところを見るのにすぐれていて、解像度がよくて繊細な画像よ。
リニアの語源は、ラインと同じリネアル(linear)、「線」という意味よ。プローブの末端が直線になっているから。

A看護師
リニア型は、浅いところが得意……と。それで?

E看護師
それから、先の小さなセクタ型のプローブは、周波数が小さいぶん解像度は落ちるけれど、透過力は高いので心臓など深いところを見るのに適しているわ。それに、低い解像度は血流側などの動きに追従できる利点もあるのよね。セクタ(secta)は「後に続く部分」とか「扇型」という意味で、画像が扇状になるのよ。

A看護師
セクタ型は、深いところ……と。3つ目はどうですか?

E看護師
コンベックス(convex)は「複合」という意味で、リニア型とセクタ型の中間的な感じであることからね。これらは、超音波の周波数に依存した透過性と分解能の違いが原因よ。

A看護師
それぞれのプローブの中に異なるサイズの観覧車が入っていて、それがすごい勢いで回転して、観察に適した周波数の超音波を出していると考えるとよいのでしょうか?

E看護師
そうよ。

A看護師
エコーの中に遊園地があると考えると、少し親しみがわくような気がします。
\続きは書籍で/

観察とケアがつながる 画像
有島拓郎 著
B5・168ページ
定価:2,970円(税込)
照林社
当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
