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【連載中】WOCナースのリアル体験記

 急性期病院一筋で働いてきたWOCナースが、40歳を目前にして訪問看護に挑戦!きっかけやギャップ、これだけは知ってほしいことなど、リアルな体験記をお届けする連載です。

第1回:急性期病院から訪問看護へ転身!WOCナースの体験記

〈目次〉
●在宅への関心のきっかけは、「やっとできた親孝行」である父親の介護
●いままでの働き方を考え直すきっかけとなったCOVID-19流行下での、ある患者さんへの対応
●自分が社会にできることは何か――それは自分の強みを生かすこと
●新しい人生の選択肢を選べるうちに選んでみたいという思い
●家族の後押しを支えに訪問看護への道をめざすことに

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第2回:看護師が営業?!訪問看護への転職のギャップ

〈目次〉
●看護師人生第二幕開演!…でも仕事がない?!
●待っていたのは何と営業。「思っていたのと違う!」
●手応えのない営業の日々に、やがて笑顔は消えて…
●WOCナースの肩書は、病院だから通用していた
●「このままじゃ辞められない」。仕事を選ばず全力で向き合う

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第3回:病院と訪問看護、経験してわかった理想と現実

〈目次〉
●「マグロの寿司を食べたい」という難問
●悩んだ末、同僚に相談すると…
●正しいこと“だけ”ではニーズはかなえられない
●「マグロの味がする」のひと言に感動
●「在宅スゲー」の体験で訪問看護が楽しくなる
●理想とは違って、決して甘くない“在宅のリアル”

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第4回:訪問看護は看護師の駆け込み寺ではない

〈目次〉
●転職はまず自分自身を振り返り、可能性を模索してから
●訪問看護は楽しいけれど、楽ではない!
●“人生の伴走者”となるやりがいと覚悟
●気持ちの伝達こそが、地域連携となる
●病気や症状ではなく、その人や家族をみるということ

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【連載中】NPPV(非侵襲的陽圧換気)のポイント

 人工呼吸器の一種で、挿管せずマスクで呼吸管理ができるNPPV(非侵襲的陽圧換気)。導入時におさえておきたい知識や、施行時のチェックポイントなどをわかりやすく解説する連載です。

【第1回】NPPV(非侵襲的陽圧換気)の対象となる患者は?

〈目次〉
●NPPVを使用する患者は?
●疾患別の適応と効果
・主要疾患に対する NPPV の推奨度とエビデンスレベル

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【第2回】NPPV(非侵襲的陽圧換気)機器の組み立て・設定手順は?

〈目次〉
●急性期にはグラフィックモニター搭載の機器を使用
●NPPVの内部構造
●NPPVの組み立て・設定手順①回路
●NPPVの組み立て・設定手順②マスクと呼気ポート
●NPPVの組み立て・設定手順③呼気ポートテスト

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X線画像の基礎知識:原理・特徴・注意点をわかりやすく解説

 書籍『観察とケアがつながる 画像』の試し読み記事を公開! 一般病棟の看護師向けに、X線画像の原理・特徴・注意点をわかりやすく紹介します。

X線画像を閲覧する前の一般的注意事項

 便利なことと危険なこと、これらが常に併存しているのは、画像検査も同じです。X線画像を閲覧するときの一般的な確認事項は表1の5つです。いずれも、確認が疎(おろそ)かになると医療過誤に直結するので注意が必要です。

表1 X線画像の一般的な確認事項

①氏名の確認
②撮影条件の確認
③左右上下の確認
④撮影日時の確認
⑤ラインやチューブの確認

 「危険なこと」を避けるために画像を見ないというのも1つの見識かもしれませんが、X線画像の知識が増えると自然と危険回避の方法が身につきます。これは、採血や導尿などの日常の看護業務にも言えることかもしれません。患者さんにとって有益なことは、学びを深めて危険を回避しながら実践できるようになることのほうが、理にかなっているように思います。

 表1「確認事項」のうち、①~④は基本的な確認事項です。患者さんによっては⑤が見られる場合があります。日常的に患者さんと接していますので、「気管挿管されている」「PICC*¹が入っている」「胃管が留置されている」といったことは、事前情報によって確認が比較的容易なはずです。図1に、表1に沿った大まかな観察部位を示しました。

*1【PICC】peripherally inserted central catheter:末梢挿入型中心静脈カテーテル

図1 胸部X線画像の基本情報
胸部X線画像の基本情報の図

 現在の電子カルテでは、患者安全の配慮がされています。まず、A患者さんのデータが別の、例えばB患者さんのカルテに飛ばないように、バーコードなどで機械認証されたうえでカルテに登録されます。これにより、基本的には開いたカルテの患者さんに紐づけされた状態で登録されます。

 それでも人間が行うことなので、どこかで間違いが生じるかもしれません。これを回避する方法としては、別な日時の画像と比較することが1つの対策となります。例えば、挿管している患者さんなのに挿管チューブがないとか、胃管が入っていない患者さんなのに胃管が入っているとか。こうした誤登録を見つけるだけでも、チーム医療への貢献は小さくありません。

X線画像の原理・特徴

 私たちが医療で日常的に接するX線検査(レントゲン検査)は、放射線の中の電磁波を使っています。α(アルファ)線(原子核)やβ(ベータ)線(電子)などの粒子線と異なり、X線は電磁波です。α線は紙で遮蔽(しゃへい)され、β線はアルミホイルのようなアルミ板で遮蔽できます。しかし、電磁波の物質透過性は粒子線よりすぐれており、X線を遮蔽するには鉛板が必要です(図2)。そのため、診療放射線技師が着用しているプロテクターは鉛でできています。

図2 α線、β線とX線の透過性の比較
α線、β線とX線の透過性の比較

 身体の中でも、X線の透過性は異なります。例えば、金属や骨の透過性はきわめて悪く、水を多く含む臓器の透過性は悪く、空気を多く含む臓器(肺、結腸)の透過性はよいと大まかに知っておくことが重要です。カセッテ(フィルムの入れ物)に届くX線の線量が少ないほどX線画像は白く描画され、肺のように空気の多い臓器はカセッテに届くX線の線量が多くなるので黒っぽい画像になります。X線がたくさん透過するほど、カセッテの中の感光紙が強く反応(感光)して黒くなるというのが原理です(図3)。

図3 X線画像の原理
X線画像の原理の図

●感光紙はもともと白いが、X線が多く透過した部分は黒くなる

 図4は、便秘を主訴に来院した80歳代女性の腹部X線画像です。右の股関節には白く描出された人工骨頭と臼蓋(きゅうがい)があり、右股関節置換が実施されていることがわかります。チタン合金でできた人工骨頭は、骨盤や左大腿骨よりも透過性が悪いためです。
 左側の股関節も変形が強く、変形性股関節症の所見があります。最初に述べたように左右が対になった四肢の画像では、左右の情報もきわめて重要です。

図4 腹部単純X線画像の例
腹部単純X線画像の例の図

\続きは書籍で/

『観察とケアがつながる画像」の書影

観察とケアがつながる 画像
有島拓郎 著
B5・168ページ
定価:2,970円(税込)
照林社

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【連載中】ベッドサイド検査手技の根拠

 正確な検査の実施には、看護師が検体採取・取り扱いの正しい知識をもつ必要があります。検査手技のポイントを根拠とともに紹介する連載です。

【第1回】溶血・凝血の原因と検査値への影響とは?

Q. 溶血・凝血は見た目でどの程度だと採血しなおす?
●溶血・凝血の影響とは?
①生化学検査
②血液一般検査
③凝固検査
●採血による溶血・凝血の原因とは?

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第295回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

主婦が食事をつくることと
看護の心には
共通性があるように思います

 限られた人数でたくさんの患者のお世話をしなくてはいけないとき、自分だけ「このことをやる」と決めてやっていたらしようがなくて、1日の段取りを考えながら、「緊急性は何かしら」「今日は、このことがとても重要で、これを優先すると、他のことは少し手を抜かなければいけない」などが必要です。患者にお世話をして、うまくいって患者がすごく喜んでくださったら、その喜びは自分のものになります。

 お料理もそうですね。おいしいものをつくって、自分もおいしいけれど、 誰かが喜んでくれるとうれしい。 家族でなくとも、 他の人にもあげたくなったりして、「今日、おいしくできたから食べて」って言いたくなるわけです。 そう考えたときに、 本当にお料理というか、 主婦が食事をつくることと看護の心には共通性があるように思います。

(出典:『いのちをつなぐ 移りし刻を生きた人とともに』89ページ、看護の科学社)

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第294回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

ベッドに横臥していても
患者との会話を通して
広い世界を患者とともに
創ることである。

 「病気が苦しくなったとき、又は衰弱のために心細くなったときなどは、看護の如何が病人の苦楽に大関係を及ぼすのである。殊に唯々物寂しく心細きやうのときには、傍の者が上手に看護してくれさえすれば、すなわち、病人の気を迎えて巧みに慰めてくれさえすれば、病苦などは殆ど忘れてしまうのである」(正岡子規)。

 ここからの学びを、毎日の看護ケアに生かすとしたらどういうことができようか。それぞれが考えてほしい。私はこのように思う。それは、ベッドに横臥していても、患者との会話を通して、広い世界を患 者とともに創ることである。

(出典:『第3版 生活行動援助の技術 ありふれた営みを援助する専門性』33~34ページ、看護の科学社)

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第293回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

意見を述べても、それが
実際のケアに反映しなければ
本来のカンファレンスの
目的は達成したとは言えない

 問題は大変活発に話されたが、とくに精神面の刺激について、誰が、いつ、どのように行うかについての具体的な確認がされなかった。つまり、意見を述べても、それが実際のケアに反映しなければ、本来のカンファレンスの目的は達成したとは言えない。

(出典:『看護カンファレンス 第2版』26ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第292回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

このモーニングケアのときの
患者との触れ合いが
実は一日の日課の中で
特定の患者と接触する
最も充実した
時間ではなかったろうか

 動けない患者のときは、顔にほこりをかぶらぬよう、手拭いをかけてベッドの整とんをした。このとき寝衣が汚れていれば取り替えるし、発汗があれば背部の清拭も手早く行った。そして、寝巻きのしわのあとのついた背中をパウダーでマッサージして、寝巻きの裾をピンと伸ばすのである。婦人患者の場合はこのときに結髪も忘れずにしてしまう。(中略)

 このモーニングケアのときの患者との触れ合いが、実は1日の日課の中で、特定の患者と接触する最も充実した時間ではなかったろうか。

(出典:『CHECK it UP①日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』5ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第291回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

高齢の患者が増えると
手術やリハビリテーションなど、
あらゆる場面で
他の患者より、看護師の目
そして手を必要とします

 日本人の高齢化に伴って病院でも高齢の患者の割合がたいへん多くなりました。高齢の患者が増えると、手術やリハビリテーションなど、あらゆる場面で他の患者より、看護師の目、そして、手を必要とします。高齢であるというだけで全身の栄養状態もあまり良好でなく、抵抗力も低い、精神心理的な面からも非常に障害をきたしやすいという点があります。

 転倒や転落の危険など、高齢自体がさまざまなリスクをもっているのですから、看護師もよけい気を配らなければならないのです。

(出典:『新訂 キラリ看護』140ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第290回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

看護も介護も
その発生の歴史に差はあっても、
ともに「生活」「暮らし」から
生まれたものである

 被災地で「看護と介護が一体になったケア」が実現すれば、これからの日本の医療において画期的なモデルになるでしょう。裏を返せば、看護も介護もその発生の歴史に差はあっても、ともに「生活」「暮らし」から生まれたものであり、その根を同じくするものでありながら、いまだに互いの専門性を融合させるような有機的な連携がとれていないということです。

(出典:『看護の時代 看護が変わる 医療が変わる』198ページ、日本看護協会出版会)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第289回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

安楽性という言葉に象徴されるような
苦痛が少なく
しかも個別性を尊重した生き方は
能率や効率とはなじまない

 ディスポーザブル製品導入の初期には、使用可能なのに1回限りで捨てることに後ろめたさを覚えたものである。一般社会でも、高度経済成長以後、物に対する価値観が大きく変わってきた。病院においても同様で、労力よりも簡便さが好まれ、効率が優先されてきた。だが、感染防止の上からは合理的な方法も、一歩誤れば看護の本質にかかわる問題とさえなるというのは、著者の思い過ごしであるとも思えない。

 人間本来の生活の営みそれ自体は変わっていないが、生活様式は格段に便利になった。しかし、安楽性という言葉に象徴されるような、苦痛が少なく、しかも個別性を尊重した生き方は、能率や効率とはなじまない。1 回使いきりの価値観に親しむことにより、老人や障害者を粗末にするような考え方につながることが恐ろしいと思う。

(出典:『看護技術の現在 看護の時代2』16ページ、勁草書房)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第288回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

患者の反応が得られなくとも
末期患者には
誰かかがそばにいることが
ケアになる

 終末期の患者の苦痛に対して、看護師や家族がどのような方法を駆使しても患者の安楽につながらないことは多い。むしろ、何をしてもむなしい、という場合のほうが多いだろう。

 そうした場合でも、ただそばにいてそっと手を握り、背中をさするだけでよい。患者の反応が得られなくとも、末期患者には誰かがそばにいることがケアになる。その誰かが、患者にとって大切な人、心から信頼する人であればなおよい。

(出典:『CHECK it UP② 日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』167ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第287回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

その患者がどこに退院していくのか
受け入れはどうなっているのかについての
情報収集は
あらゆる職種に先駆けて
看護が行うべきでしょう

 看護の場合は、その本質からいって人間の全体を見ることが前提となります。何よりも、患者中心の思想は看護から生まれたことを再認識したいと思います。どのように技術上の分化や業務分担が進もうと、常に全体を通して見る目が必要であることを思えば、自ずと看護の役割が見えてきます。(中略)

 患者の病状だけに目を奪われるのではなく、その患者がどこに退院していくのか、受け入れはどうなっているのかについての情報収集は、あらゆる職種に先駆けて看護が行うべきでしょう。

(出典:『看護を語ることの意味 “ナラティブ”に生きて』181ページ、看護の科学社)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第286回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

コーディネーターとしての看護師は
その患者の問題解決のために
どの職種の参加を
求めるべきかの選択についても
責任をもたなくてはならない

 ケースワーカーや理学療法士、栄養士らにも必要に応じて出席を求め、共通の患者の問題について多角的にアプローチすることも大切である。時には全職種の参加するカンファレンスの開催という場合もあろう。
 コーディネーターとしての看護師は、その患者の問題解決のために、どの職種の参加を求めるべきかの選択についても責任をもたなくてはならない。

(出典:『看護カンファレンス 第2版』16ページ、医学書院)

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「ディメンツ」の意味とは?―看護師のための医療ことば図鑑

 「ディメンツ」の意味は?現場でよく耳にする医療ことばを、看護師のかげさんがイラストを交えてわかりやすく、おもしろく解説します!

ディメンツイラスト1

 ディー…メンツ…? 何かの組織の「Dチーム」みたいな?

「ディメンツ」の意味とは?

【認知症(demenz)】
 認知症のドイツ語表記。

 認知症は大きく4種類あって、それぞれ特徴が違うよ。

アルツハイマー型認知症
〈初期症状〉物忘れ
●レビー小体型認知症
〈初期症状〉幻視など
●血管性認知症
〈原因〉脳血管障害
●前頭側頭型認知症
〈初期症状〉万引きなど社会性の欠如

 ただの物忘れだけが症状でなく、ほかの症状や、症状にともなう苦痛もあるので、患者さん1人1人の個別性を大切にして対応しよう。

ディメンツのイラスト2

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「サ高住」の意味とは?―看護師のための医療ことば図鑑

 「サ高住」の意味は?現場でよく耳にする医療ことばを、看護師のかげさんがイラストを交えてわかりやすく、おもしろく解説します!

サ高住イラスト1

 「サコウジュー」? 肩にかけられる小さいバッグだっけ?

「サ高住」の意味とは?

【サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)】

 老人ホームなどの施設とは違い、住居になるので、利用するときは引っ越しを伴うよ。
 利用者や家族の希望や生活状況、経済状況などを確認しながら多職種で対応して、利用について決定していこう。

サ高住イラスト2

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「PH」の意味とは?―看護師のための医療ことば図鑑

 「PH」の意味は?現場でよく耳にする医療ことばを、看護師のかげさんがイラストを交えてわかりやすく、おもしろく解説します!

PHイラスト1

 「PH」って、血ガスとかでみるpHのこと? え、それじゃなくて?

「PH」の意味とは?

【肺高血圧症(pulmonary hypertension)】

 肺動脈の血流が血管の狭窄や閉塞によって悪くなることで、肺動脈の血圧が高くなるよ。
 労作時の突然死のリスクもあるので自覚症状や心エコー検査、心電図などをチェックしよう。

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第285回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

モーニングケアとは
特別なことを行うのではなく
人間らしい生活の一日の始まりが
少しでも快適であるよう
患者の身体の世話と周囲の
環境を整えることである

 患者によっては、朝方眠り始めた人もいる。そのようなときは、個室であっても多床室であっても、「就眠中につき静かに!」の表示くらいはして、定時の検温やモーニングケアを後に回すなどの配慮も当然行われるべきであろう。モーニングケアとは、特別なことを行うのではなく人間らしい生活の1日の始まりが、少しでも快適であるよう、患者の身体の世話と周囲の環境を整えることである。

 看護過程の展開とか、計画の立案を重視するなら、モーニングケアをもっともっと大切にしてもよいのではないだろうか。

(出典:『CHECK it UP ① 日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』5ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第284回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

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百の言葉よりも
患者の苦痛を察して
差し伸べられる
温かい手の効用

 術後の苦痛を沈黙のマッサージによって軽減している例ですが、百の言葉よりも、患者の苦痛を察して、差し伸べられる温かい手の効用を教えていると思います。表現とは、言葉によるものばかりではないのです。(中略)

 静かに入って来た看護師は、両手にタルカムパウダーをつけて、黙って静かに静かに首すじのマッサージを始めました。そのときの気持ちよさは、退院してからも忘れることのできないものであったと、S氏は語っています。

(出典:『新訂 キラリ看護』90~91ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第283回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

無意識に手助けすることで
初めて健常者と
手助けを受けた人が
対等になる

 無意識に手助けすることで、初めて健常者と手助けを受けた人が対等になるのであって、世話してあげるという気持を常に持ち続けているかぎりは、対等ではないなということに最近気づいたのです。これは、女性が生理休暇をとったり、母性保護の制度があることについて男女平等の面で男性と比較されて、常にいろんなことを言われてきた、その論理と同じではないかと思うのです。
 ですから、障害者がいつでもすまないという気持をもつのは、人間として大事なのだけれども、そのすまないという気持を上手にこちらで受け入れて、そして何かお手伝いすることによって、相手がきちっと普通の人と同じようにできる段階で、初めて双方とも生きるというか、対等に付き合えるのではないかと思っているのです。

(出典:『自立と共生を語る 障害者・高齢者と家族・社会』195~196ページ、三輪書店)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第282回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

薬にも、医療機器にも何にも頼らず
患者の自然治癒力を引き出し促しながら、
治癒に向けて援助していった看護は
とても高度で素晴らしいものだ

 1940年代半ばから1950年代頃までのペニシリンとかストレプトマイシンといった抗生物質が広く普及する前までに行われていた看護は、今思うとかなり本質的なものではなかったでしょうか。この時期の看護は、「大気」「安静」「栄養」「保温」の4点が、あらゆる病気の治療方針でした。

 看護師は、訪室するたびに病室の換気を図り、食事内容に心を砕いて栄養状態を整え、患者の状態を見極めて安静と病床から起こすタイミングを見計らいながら、患者の活動を促していきました。

 こうして薬にも、医療機器にも、何にも頼らず、患者の自然治癒力を引き出し、促しながら、治癒に向けて援助していった看護は、とても高度で素晴らしいものだと思いませんか? もちろん程度の差はあるでしょうが、たいがいの胃潰瘍だって、手術をすることなく食事療法だけで治していったのですから。

(出典:『看護技術の基礎理論』20~21ページ、ライフサポート社)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第281回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

専門的な看護の可能性を追求し
真に社会的な機能としての
看護の確立をはかるのは
誰でもない
一人ひとりの看護師ではないだろうか

 もし、わたしが患者であったら、もしわたしの大切な人が患者であったら、今、 目の前の患者の受けている生活の規制や、 心身の苦痛をそのままあきらめられるだろうか? 多忙を口実に目を向けてもらえない患者の気持ちをそのままに放置してよいものだろうか。

 自分の身を相手の立場においたその上で、専門的な看護の可能性を追求し、真に社会的な機能としての看護の確立をはかるのは、誰でもない、一人ひとりの看護師ではないだろうか。

(出典:『CHECK it UP ② 日常ケアを見直そう あなたの職場の看護チェック』「まえがき」5〜6ページ、医学書院)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第280回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

看護師の多くは医療的処置を優先し
残った時間を
患者の療養上の世話にあてるといった現象が
随所に見られる

 医師の多くは、医療における看護の独自的領域を認めようとせず、あくまでも医師の仕事の補助をするのが看護師の主要な仕事であるとする考えが根強い。
 看護による経済面でのメリットは、基準看護採用の病院で患者数対看護要員比によって一定の加算が認められる以外、何の経済性をも生み出さない。したがって、医療行為を通してのみしか看護師による収入は得られない。

 以上のような要因が複雑にからみ合い、慢性化した看護師不足もあって、看護師の多くは、医療的処置を優先し、残った時間を患者の療養上の世話にあてるといった現象が随所に見られるのである。

(出典:『看護の自立 現代医療と看護婦』63~64ページ、勁草書房)

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川嶋みどり 看護の羅針盤 第279回

 20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

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たとえ診療の支援行為であっても、
患者の苦痛や不安の軽減に努めながら
診療を円滑に受け入れる患者の心身面の条件を
整えることに主力を注ぐのが
看護本来の役割であろう

 医師と看護師の役割に関する興味深い論述がある。(中略)
「…診断したり、処方したり、治療したりという医師の活動は、直接的には患者に満足を与えない。患者はこれらの活動が回復にとって必要であるとは理解しているが、それ自体は、困惑させる、痛みのある、不安を引き起こすものであると、感じている」と述べた。
 こうして、看護師の役割は第一義的に“表出的”であるのに対して、医師のそれは、第一義的に“手段的”であるという。
 
 上記の見解に同意するとしたら、たとえ診療の支援行為であっても、患者の苦痛や不安の軽減に努めながら、診療を円滑に受け入れる患者の心身面の条件を整えることに主力を注ぐのが看護本来の役割であろう。
 本来医師が行う医療行為を、看護師にもできるからと言って引き受けることが、本質的な看護の役割とは思えない。

(出典:『チーム医療と看護 専門性と主体性への問い』14~15ぺージ、看護の科学社)

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