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【連載まとめ】『えあちゃん的「とうにょうびょう」論』

 糖尿病内科医であり、1型糖尿病の当事者でもある小野えあ先生の書籍『えあちゃん的「とうにょうびょう」論』の試し読み記事をお届け。糖尿病とはどんな病気か、病型や慢性合併症の基本をやさしく解説しています。

【第1回】糖尿病ってどんな病気?

〈目次〉
●インスリンがないと、ヒトは死にます
●糖尿病には、 いろいろな型(病型)があります
●「糖尿病=血糖値が高い」だけなら、特に困ることはありません
●やっかいなのは、 慢性合併症:「しめじ」と「えのき」

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【第2回】糖尿病患者さんへの支援:情報提供と応援

〈目次〉
●病気だけど、 困った症状はない。ということは、 つまり…
①情報提供:時代とともに変わる「治療の常識」を届ける
②応援:治療に対する「やる気」を引き出す味方となる
●糖尿病治療において「初回入院」は、 とっても大事
①初回入院でやることは3つ
②最も大切なのは「退院後に向けた準備」

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【第3回】糖尿病患者さんへのケアにつながるTips

〈目次〉
●足壊疽を「起こさない」ために、重要なのがフットケア
●早期に危険に気づくには、観察・アセスメントがやっぱり大事です
●糖尿病性足病変に「感染症」を併発することで足壊疽に至ります
●患者さんの足を守るコツは「白靴下」と「保湿剤」
●見落としがちだから気をつけて!飲料のカロリーや糖質

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糖尿病看護の記事・連載まとめ

 糖尿病看護に役立つ記事・連載をピックアップ。テーマ別におすすめの記事を紹介します。

【試し読み】『えあちゃん的「とうにょうびょう」論』

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 糖尿病内科医であり、1型糖尿病の当事者でもある小野えあ先生の書籍『えあちゃん的「とうにょうびょう」論』の試し読み記事をお届け。糖尿病とはどんな病気か、病型や慢性合併症の基本をやさしく解説しています。

【第1回】糖尿病ってどんな病気?

【第2回】糖尿病患者さんへの支援:情報提供と応援

【第3回】糖尿病患者さんへのケアにつながるTips

看護師が知っておきたい糖尿病関連デバイス

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 糖尿病治療には近年、血糖値変動のリアルタイムな測定やインスリンを持続的に投与するデバイスが登場しています。今回は、糖尿病関連デバイスの分類や特徴を紹介します。

〈目次〉
●糖尿病先進デバイスの種類と分類
●先進デバイス①CGM
●先進デバイス②インスリンポンプ

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血糖コントロールに役立つ糖尿病管理ツール

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 さまざまな糖尿病管理ツールをご紹介。食事、血圧、活動量などを測定して血糖コントロールに活用できます。

〈目次〉
●糖尿病管理ツールの登場
●糖尿病管理ツールのメリット
●糖尿病管理ツールを活かした療養指導
●糖尿病管理ツールの課題

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「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」4つのステップで紹介

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 日本糖尿病学会が糖尿病薬の適正使用をめざして作成した、「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を取り上げます。アルゴリズムに基づく薬剤選択を4つのステップで紹介します。

〈目次〉
●2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム
●2型糖尿病の目標HbA1c値の決定
●薬剤選択のStep1 病態に応じた薬剤選択:肥満・高齢など、患者の状態を考える
●薬剤選択のStep2 安全性への配慮:副作用やその発現の有無などをチェックする
●薬剤選択のStep3 Additional benefitsを考慮すべき併存疾患:各疾患に抑制効果をもつ薬剤を把握する
●薬剤選択のStep4 考慮すべき患者背景:患者の背景を知り、処方内容・治療計画を検討する
●治療の見直し

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【事例紹介】入院治療を拒否する糖尿病患者への看護介入

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 血糖コントロールの必要性の自覚がなく、入院も拒否する患者さんの事例をもとに、看護介入をナラティブに伝えています。

〈目次〉
●血糖コントロールの必要性の自覚がなく、入院も拒否する患者さんの“変化のきっかけ”
●「入院での治療は無理」と語る夫とAさんの状況
●外来でのインスリン導入。しかし高血糖状態・体重増加は続く
●フットケアの継続で起こった変化

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糖尿病患者の術前・術後・退院後における心理や行動の変化

 手術を必要とする糖尿病患者さんの心理についての研究を原著者に紹介してもらい、臨床で活用したいこころのケアを探ります。

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〈目次〉
●糖尿病患者さんが手術を受けるとはどういうこと?
●研究の方法
●発見1:術前は入院による血糖コントロールの意識が高まる
●発見2:術直後・術後回復期は治療のなかで、血糖値変動の捉え方と行動を変化させていく
●発見3:退院直後は日常生活における血糖値の変化から、自己管理の重要性を再認識する

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糖尿病治療薬の副作用の低血糖リスクを防ぐための注意点

 糖尿病治療薬の副作用で起きる低血糖症状によるリスク、インスリン製剤の種類と血中インスリン濃度の変化、使用時の注意点などを学べます。

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〈目次〉
●糖尿病治療薬の危険性とは?
●インスリンや血糖降下薬を使用する際の注意点は?
1)患者さんに糖尿病や治療のことを理解してもらうようにする
2)急な昏睡状態に陥ったり、無自覚低血糖の場合がある
●インスリンや血糖降下薬の正しい使い方

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CGM(持続血糖モニタ)とは?リアルタイム血糖管理で糖尿病治療をサポート

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 CGM(持続血糖モニタ)について、血糖変動がその場で可視化できるなど、血糖管理におけるメリットや皮膚トラブルのリスクなどをまとめています。

〈目次〉
●CGM(持続血糖モニタ)とは?
●CGM(持続血糖モニタ)による血糖値測定
●CGM(持続血糖モニタ)のメリット
●CGM装着中の注意点

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糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル2024年版の改訂ポイント

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 『糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル』2024年版について紹介。在宅医療の現状を踏まえた改訂のポイントや、糖尿病患者の注射療法で注意したい点をお届けしています。

〈目次〉
●『糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル』作成の背景
●『糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル』の対象
●在宅医療の現状に近づくように内容を改訂
●非医療従事者にも伝わりやすい言葉や資料を用いて再整理
●糖尿病患者の注射療法で注意したい看護ケアのポイント
●糖尿病治療を受けている人は増加
●自己注射を含む糖尿病治療の教育・支援が必要

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心電図の記事・連載まとめ

 心電図に関連する記事・連載をピックアップ。各波形の特徴、看護師が知っておきたい危険な心電図など、テーマ別におすすめの記事を紹介します。

ここだけ覚えて心電図

ここだけ覚えて心電図サムネイル

 洞調律、PAC、PVC、心房細動、PSVT、VT、房室ブロックなど、押さえるべき心電図波形の読み方を基礎から実践まで図解付きでガイド。各波形の特徴と見分け方のポイントをまとめました。

注目記事をピックアップ
●洞調律の心電図波形と刺激伝導系

●サイナス(洞調律)の心電図波形の読み方

●心室期外収縮(PVC/VPC)の心電図波形の読み方

●発作性上室頻拍(PSVT)の心電図波形の読み方

●右軸偏位、左軸偏位とは?12誘導心電図での見方も解説

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ハート先生の心電図特集

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 心電図の教育活動をはじめて約25年。ハート先生が、誘導法の基本や、T波の陰性化、ST上昇・下降などについてわかりやすく解説します。

●誘導法の基本と心電図波形が描かれる原則

●T波の陰性化と貫壁性に発生した虚血

●心電図のST上昇・下降の判定方法/虚血解消でT波が逆転する理由

看護師が注意したい危険な心電図

キケンな心電図サムネイル

 危険な心電図を見逃さないために、看護師が押さえておきたい知識を解説!遭遇しがちな患者さんの状態・既往とあわせて、注意するべき心電図波形を紹介しています。

注目記事をピックアップ
●心電図モニタ装着の目的は?代表的な不整脈を一覧で紹介

●術後に洞性頻脈、AF、PSVTが起こる理由と対応

●心筋梗塞既往患者でVT・VF・PVCが起こる理由と対応

●狭心症既往患者でST上昇・下降、T波の変化が起こる理由と対応

●人工呼吸器装着中の不整脈を見逃さない!モニタ心電図の必要性

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胸痛のアセスメント:12誘導心電図やOPQRSTT法の活用

救急症候_バナー

 12誘導心電図やOPQRSTT法などを活用した、胸痛のアセスメントについて解説。患者さんの訴えから重大な疾患を見きわめて、すぐに対応するために知っておきたいことをまとめました。

モニター心電図の心拍数と実測の脈拍数が異なる原因は?

バイタルサインの常識サムネイル

 モニター心電図の心拍数と実測の脈拍数が異なる場合の理由とは?患者自身に原因がある場合と、モニター心電図に原因がある場合について解説します。

発熱を訴える肺炎患者の心電図と画像所見

 発熱を訴える肺炎患者さんの事例の、心電図、胸部CT造影、下肢静脈超音波の所見を取り上げます。患者さんの訴えの裏に隠された疾患を見逃さないために、どのような思考過程を経て臨床診断を導き出しているのかを考えていきます。

【おすすめBOOK】心電図トレーニング100

心電図トレーニング100サムネイル

 EP大学の監修による、心電図波形を読み解くためのトレーニング問題集『不整脈エキスパート50人×心電図から所見・病態をとらえる2問 心電図トレーニング100』を紹介しています。

【おすすめBOOK】『とにかく使える モニター心電図』

とにかく使えるモニター心電図サムネイル

 臨床でとくにニーズの高い心電図をわかりやすく解説した『とにかく使える モニター心電図』を紹介。波形の読み方がひと目でわかるポケット本です。

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BNPが高いときの見方とは?NT-proBNPとの違いなど看護のポイントを解説【11月増刊号試し読み】

 BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が高いときに見るべきポイントを整理。BNPとNT-proBNPの違い、ARNIによるBNPへの影響など、看護師が知っておきたい知識を厳選し、臨床現場で観察やケアにどうつなげればよいかを解説しています。

※この記事は『エキスパートナース』2026年11月臨時増刊号「看護の知識の総復習」の内容を抜粋したものです。

ここが核心!臨床の鉄則

☑BNPは、身体所見と併せて評価する。数値だけではなく、呼吸状態や浮腫、体重変化、腎機能などと組み合わせてみることが大切である。

みんなやりがち ナースの落とし穴

■BNPが高いと、すぐに心不全と決めつけていないだろうか。

■BNPは心負荷の指標であり、慢性心不全、高齢者、腎機能障害がある患者では、もともと高値の
場合もある。

■注意したいのは、数値そのものだけでなく、ベースラインからの変化や身体所見とのずれである。

■数値が下がっていても起座呼吸や頸静脈怒張が残っていれば、うっ血が十分に改善していない可
能性がある。逆に、高値でも、普段からその程度で推移している患者もいる。

■心不全治療に使うARNI(サクビトリルバルサルタン、商品名:エンレスト®)を開始すると、BNP
が上がる場合がある
ため、数値だけで心不全増悪と決めつけない視点も必要である。

ベッドサイドで差がつく!「しくみ」と「根拠」の最速整理

■BNPは、心筋が引き伸ばされると心室から分泌され、利尿や血管拡張で負荷を軽減する。

BNPとNT-proBNPの違い

■BNPはホルモンとして作用する本体のこと。半減期が短いため、変化を比較的早く反映する。

■NT-proBNP(N末端プロ脳性ナトリウム利尿ぺプチド)は活性のない副産物のこと。長く血中に残
るため、安定して測定しやすく、心不全の有無や、経過をみたいときの目安になる。

■BNPとNT-proBNPはいずれも腎機能の影響を受けるため、eGFRやCrと併せて評価する。

BNP・NT-proBNPの基準値

BNPNT-proBNP評価の目安
18.4pg/mL以下55pg/mL以下正常範囲。心不全の可能性は低い
35pg/mL未満125pg/mL未満軽度上昇。基礎疾患や経過を要確認
35pg/mL以上125pg/mL以上心不全の可能性あり
(文献1を参考に作成)

●高齢者や腎機能低下があると、BNPはもともと高めになる。

●慢性心不全では、高値で安定している場合もある。

ARNIとBNP

■サクビトリルバルサルタンを含むARNIでは、ネプリライシン阻害の影響により、BNP値が上昇することがある。ただし、その上昇の程度は患者の病態や測定法によって異なり、すべての患者で上昇するとは限らない。そのため、ARNI開始後や増量後のBNP値は、単独で心不全の悪化を示すわけではない。症状、身体所見、体重、尿量、腎機能、胸部X線画像、心エコーなどと併せて評価する。

■心不全治療の経過観察では、ARNIの影響を直接受けにくいNT-proBNPが参考になる場合がある。

■ただし、NT-proBNPは腎機能の影響を受けやすいため、eGFRやCrと併せて解釈する。なお、NT-proBNPはBNPより高く出やすい。腎機能がほぼ正常なら目安はBNPの約3倍程度だが、腎機能が低下している患者では乖離が大きくなり、5~6倍以上になることもめずらしくない。

〈プラスα知識〉
「NT-proBNP」は腎不全で跳ね上がる
 BNPは心臓から出たあと、身体ですぐに分解されますが、NT-proBNPは分解されずに腎臓から排泄されます。BNPよりNT-proBNPが高く出ることがあり、特に腎機能低下ではNT-proBNPが高値になりやすいです。単独の数値では判断せず、腎機能や症状、身体所見と併せて評価しましょう。

思考プロセスの可視化 ベッドサイドでまず何を優先して考え、どう動くか

①過去のデータを確認し、ベースラインを把握する。

②呼吸困難、浮腫、頸静脈怒張、体重増加、IN/OUTバランスをみる。

■左心不全のサインとしては、呼吸困難、起座呼吸、クラックル(副雑音)、SpO2低下を確認する。

■右心系を含む全身うっ血の評価として、下腿浮腫、頸静脈怒張、体重変化、尿量、IN/OUTバラン
スを確認する。

③数値の変化、身体所見、腎機能データを併せて、心不全の増悪か、腎機能低下の影響かを考える。

先輩や医師に聞かれたら、こう切り返す!

■医師や先輩から「BNPが高いけど、どうアセスメントする?」と聞かれて「BNPは上昇していますが、起座呼吸と体重増加もあります。腎機能低下の影響も考慮しつつ、うっ血の進行に注意してIN/OUTバランスを管理します」

Column ARNI使用患者の注意点

 ARNI(エンレスト®)を開始すると、BNPが数値上、上がることがあります。これは薬の効果で、心臓を守るホルモンが分解されにくくなっているためです。数値だけであわてず、症状や身体所見と併せて評価することが大切です。

\続きは誌面で/

EN2026年11月臨時増刊号表紙

エキスパートナース2026年11月臨時増刊号
看護の知識の総復習

剱持雄二 著
宮国泰彦 医学監修
B5・148ページ
定価:1,980円(税込)
照林社

1.日本心不全学会:心不全マーカー検査をご存じですか?.
https://www.jhfs.or.jp/topics/files/BNPQ&A.pdf(2026.9.20アクセス)
2.橋本亨:[BNP,NT-proBNPに関する疑問①]循環器専門医への紹介の目安となるBNPまたはNT-proBNPの値はいくつでしょうか?.臨床雑誌内科 2024;134
(6):1183-1185.
3.筒井裕之:「2021年JCS/JHFSガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」解説.日本病院薬剤師会雑誌 2022;58(11):1282-1286.
4.衣笠良治:高齢者のHFpEF(疫学と治療).日本老年医学会雑誌 2021;58(3):364-370.

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真菌カンジダ・アウリスの感染対策ガイドを日本環境感染学会が作成

 日本環境感染学会は10月7日、「Candida auris感染対策ガイド」を同学会のホームページで公開しました。

世界各国で問題となっているカンジダ・アウリスに対応するために

 「Candida auris(カンジダ・アウリス)感染対策ガイド」は、日本環境感染学会新興・再興感染症対策委員会が、国立健康危機管理研究機構の協力を得て作成しました。

 カンジダ・アウリスは、2009年に日本より初めて報告されたカンジダ属真菌種です。当初は⽿漏由来の⾮侵襲性感染症例でしたが、近年では世界各国で侵襲性感染症例や院内アウトブレイクが報告されるようになり、WHO(世界保健機関)の真菌優先病原体リストの最上位にも位置づけられています1。

 ヒトへの定着は⿐腔、⿏径部、腋窩、直腸などさまざまな⾝体部位に⽣じ、長期間定着します。また、⾼い抗真菌薬耐性率を⽰すことも特徴です1。

 世界的な動向をふまえると、日本国内でも今後の報告例の増加が予想されることから、カンジダ・アウリス検出患者を認めた病院が適切かつ迅速に対応できるようにと、本ガイドが作成されました。

 本ガイドでは、感染経路や有効な消毒法、保菌・感染者の⼊院時の対応、院内クラスター発⽣時の対応などが示されています。また、院内環境を清掃・消毒する重要性や、その具体的方法についても解説されています(表)1。

 同学会は、海外の医療機関で治療や感染対策面で問題となっているカンジダ・アウリスに対して、本ガイドを参考にし、適切な対応をとってほしいとしています。

表 院内環境への対応:環境消毒のキーポイント

●C. aurisは医療環境に⻑期間残存し、伝播の原因となる。

●保菌・感染者に対する接触予防策のみでは伝播を効果的に制御することが困難である。

●患者療養環境の清浄化を常に意識する必要がある。

●清拭清掃を基本とするが、その際に⽤いる消毒薬に関してはC. aurisの消毒薬への抵抗性を考慮して選択する。

●⾮接触型の環境清浄化(消毒)も有効であるが、その際に紫外線照射装置を選択する場合はその出⼒やC. aurisに対する有効性を検証した上で照射時間や対物照射距離を考慮する。

(文献1より引用)

1.日本環境感染学会:Candida auris感染対策ガイド.
https://www.kankyokansen.org/wp-content/uploads/Candida_auris-Ver.1.0.pdf(2026.10.13アクセス)

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医療業界における精神障害の労災急増:令和8年版過労死等防止対策白書

 10月9日、厚生労働省が「令和8年版過労死等防止対策白書」を公表。医療業界における精神障害の労災認定数が急増していると指摘されました。

医療業界の労災認定は10年で約3.6倍に

 「過労死等防止対策白書」は、過労死・過労自殺の現状や国が進める対策をまとめたもの。11回目となる今回の2026年版では、「過労死等防止対策大綱」における調査研究の重点業種等の動向や、建設業・自動車運転従事者・IT産業のアンケート調査結果、過労死等(脳・心臓疾患、精神障害)の労災請求件数の増加要因分析などが示されました。

 医療分野における精神障害の労災支給決定事案は、直近の2021~2023年度が単年度ベースの平均認定数59.3件と、2021~2023年度の約3.6倍に上りました1。

 2025年度の自殺以外の精神障害の労災請求件数は、男性2,189件、女性2,554件、合計4,743件1。10年前と比べると、男性は2.81倍、女性は4.19倍と、増加傾向がみられます1。
 業種別にみると、「医療、福祉」の件数が1,254件と最も多く、全体の26.4%を占めています。さらにこのうち「医療業」の職種別の内訳をみると、「保健師、助産師、看護師」が293件で最多となっています1。

 また、「医療、福祉」の精神障害の労災決定件数(自殺事案を含む)の要因は、上司とのトラブルなどの「対人関係」が最も多く、540件でした1。

 そのほか、過労死等の防止のための対策も示されました(表)1。

表 労働行政機関等における対策

①時間外労働の上限規制の遵守徹底
②長時間労働の削減に向けた取組みの徹底
③過重労働による健康障害の防止対策
④メンタルヘルス対策・ハラスメント対策
⑤過労死等を発生させた企業に対する再発防止対策

(文献1を参考に作成)

1.厚生労働省:令和8年版過労死等防止対策白書.
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001757391.pdf(2026.10.13アクセス)

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『救命病棟24時』市東さやかさん:看護師から脚本家へ、経験を活かした脚本づくりとは?

 現在放送中のドラマ『救命病棟24時』(フジテレビ)の脚本家の1人、市東さやかさんにインタビュー。看護師から脚本家へと転身したきっかけや、看護師経験を活かした脚本執筆、『救命病棟24時』の見どころなどをうかがいました!

市東さやかさん写真

市東しとうさやかさん
看護師として病院で勤務後、大学院に進学。2022年に『瑠璃も玻璃も照らせば光る』でヤングシナリオ大賞の大賞を受賞。『真夏のシンデレラ』『Dr.アシュラ』『救命病棟24時』(いずれもフジテレビ)、『神のクイズ』(Prime Video)などの脚本を担当。

救命病棟24時
救命救急の現場で命に向き合う医師や看護師たちの姿を描き、1999年より連続ドラマを5シリーズ、スペシャルドラマを5作品放送。孤高の天才救命医・進藤一生を演じる江口洋介さんと、かつて進藤の下で学び、数えきれない命を救ってきた救命医・小島楓を演じる松嶋菜々子さんがダブル主演を務める。今作では、「働き方改革」や「世代間の違い」、「次世代の成長」、そして「命の選択」などの題材が描かれる。進藤と小島は若者たちとぶつかり、時には自らの価値観も問い直しながら、救命医として大切なことを伝えていく―。

(番組公式ホームページを参考に作成)

緩和ケアに興味、がん看護専門看護師をめざして大学院に進学

―看護師経験を経て脚本家になられた市東さん。まず、看護師になった経緯を教えていただけますでしょうか。

市東さん 「パン屋さんになる」「ケーキ屋さんになる」といった子どもの将来の夢が毎月変わるような流れで、小学校3~4年生のときに「大人になったら看護師さんになる」と言っていました。すると母から、「看護師はすごくいい仕事だよ」と言われ、看護師になるんだ、と決めたという感じです。また、きっかけというわけではないですが、ドラマ『ナースのお仕事』(フジテレビ)は好きでよく見ていました。

―看護師時代はどの病棟に所属されていましたか。

市東さん 通っていた大学の附属病院に就職し、希望していた血液内科と腫瘍内科の混合病棟に配属されました。大学のときの血液の授業を担当していた先生が、血液のことが好きすぎる、ちょっと個性的な方だったんです。1つの分野に打ち込んでいる人が好きなので、そこから血液内科に関心をもちました。がん患者さんを受け持つことが多く、延命を治療目標とする方が半数以上。働くなかで、自然と終末期看護や緩和ケアに興味をもちました。ずっと看護師を続けようと考えていたので、がん看護専門看護師の資格をとろうと思い、丸6年勤務した後に大学院へ進学。大学院ではがん終末期の緩和ケアを研究していました。

宮藤官九郎さんに憧れ、看護師から脚本家の道へ

―看護師から脚本家の道に進まれたきっかけを教えてください。

市東さん 大学院への進学が決まっていた看護師5~6年目のときにコロナ禍となりました。ステイホーム中にたまたま配信で見たのが、宮藤官九郎さん脚本、阿部サダヲさん主演の映画『なくもんか』。この作品ではじめて「脚本家」という職業を意識しました。感動して何回も見て、宮藤さんの大ファンに。看護の勉強も楽しかったのですが、だんだんと「宮藤さんと同じことをしてみたい」と気持ちに変わっていったんです。

―大学院に行きながら、脚本を書かれるようになったのでしょうか。

市東さん そうですね。急に道を変えたらまわりもびっくりするし、簡単になれる職業でもないので、ひとまずは大学院を卒業しないと、と思いました。在学中に、独学で書いた脚本を賞に応募して、1回は落ちちゃったんですよ。でも、もう1回出してみたら賞をとれました。いま振り返ると、熱量がすごいときだったのかもしれません(笑)。じつは卒業後に働く病院も決まっていたので悩んだのですが、脚本家は今しか挑戦できないと思い、内定を辞退しました。受賞していなかったら、そのまま専門看護師の道に進んでいたと思います。

大賞受賞作は、看護雑誌で目にした「ヤングケアラー」が題材に

―フジテレビ主催のヤングシナリオ大賞*を受賞したのが、『瑠璃も玻璃も照らせば光る』。脳梗塞の父、うつ病の母を支える、ヤングケアラーの女子高生が主人公の作品です。どのようにしてこの作品を書き上げられたのでしょうか。

*フジテレビが主催する、次世代のドラマ界を担う、新しい才能を発掘・育成するためのシナリオコンテスト。大賞受賞作品は、1時間のドラマとして放送される。

市東さん やはり看護の勉強があるので、脚本のために取材の時間を長くとるのは難しいと思いました。そこで、看護の知識を活かせる題材を探すことにしたんです。大学の図書館でいろいろと文献を読むなかで、看護雑誌で精神疾患を抱える両親をもつ子どもたちが紹介されているのを見つけました。看護師だからこそ書けるテーマかもしれないと感じ、ヤングケアラーを題材にしようと決めました。

―「瑠璃も玻璃も照らせば光る」というタイトルはどのように思いついたのでしょうか。

市東さん テーマだけは決めて、まだどんなストーリーにするか考えていなかったころ、脳神経関連の講義で構音障害の話になったんです。そのとき、20年くらいキャリアのある同級生が、「呂律をチェックするときに『瑠璃も玻璃も照らせば光る』を使うよね」と教えてくれました。調べると、「才能のある人は、どこにいても光を当てれば活躍する」というような意味のことわざで。それを知った瞬間、話が急に湧いてきました。タイトルとしての響きもいいし、「ひかる」と「瑠璃」という登場人物の名前にもなるフレーズ。教えてくれた同級生には本当に感謝しています。

―作中では、池谷のぶえさん演じる看護師が、主人公のひかる(演:豊嶋花さん)に「ヤングケアラー」のことを教える場面がありました。ご自身と患者さん家族とのかかわりから発想を得たシーンなのでしょうか。

市東さん 患者さんのご家族とのかかわりは、避けては通れません。私はがん末期の患者さんを受け持つことが多かったので、在宅でのケアについてお伝えしたり、今後を心配するご家族の相談にのったりすることが多々ありました。そうした経験から、看護師がひかるとかかわるシーンも自然と思いつきました。

―そのほか、脚本を書くうえで、看護師としての経験が活かされていると思うことはありますか。

市東さん 医療や看護の知識は、医療ドラマを書くときに役立っていますね。看護師をはじめ、医師など他職種の登場人物たちも、過去の同僚を思うとイメージしやすいです。また、がん患者さんと多く接してきた経験から、人生はいつ終わるかわからず、1日1日がかけがえのないものだという感覚は、作品に込めたいと考えています。

―デビュー後は、『真夏のシンデレラ』と『Dr.アシュラ』(いずれもフジテレビ)といった恋愛ドラマ、医療ドラマなど幅広いジャンルの脚本を執筆されています。これらの作品にまつわるエピソードを教えてください。

市東さん 『真夏のシンデレラ』の企画は、ラブストーリーという自分にとって新しい挑戦になると感じられる内容でしたが、住んでいる世界が違う人たちが出会って、絆を育んでいく、恋愛でありながら友情も描くなら、私にもできるかもと考え、チャレンジしました。大学院で、自分とは年代も生きてきた環境も違う人と知り合い、仲良くなった経験を活かせたらと思ったんです。

 『Dr.アシュラ』のように原作がある作品は、実写化するとどうしても違ってくる部分が出るのですが、原作が一番伝えたい部分は変えずに大事にしなければと考えています。『Dr.アシュラ』だと、「何よりも『命』を最優先」ということを大切にしました。

『救命病棟24時』での看護師たちの活躍

―市東さんは、現在放送中の『救命病棟24時』の脚本に参加されています。これまでの本作をどのようにご覧になっていましたか。

市東さん もともと視聴者として、すごくおもしろいなと思って見ていた作品です。脚本家になってからは、『Dr.アシュラ』を書く勉強のために見ました。日本の救命医療を題材にした有名作品に参加できるなんて、とても光栄です!

救命病棟24時キービジュアル
©フジテレビ

―江口洋介さん演じる進藤一生、松嶋菜々子さん演じる小島楓の印象は?

市東さん 私は内科で働いてきたので、わりとおっとりしていてやさしい医師がまわりに多く、進藤のような医師は身近にはいませんでしたね。新人にとっては怖いかな。でも、一緒に働き続けたら、最強の味方で、頼りになる人だなと感じます。第1シリーズでは、研修医だった小島は、指導医の進藤から「おまえは向いていない」と言われ、「進藤先生は何も教えてくれない!」と怒ったり泣いたりと、とても感情的。今はベテランの小島にも、フレッシュで何もできなかったころがあったんですよね。看護師として、新人と教育担当の両方を経験したことを思い出しました。私個人としては、辞めずに毎日仕事に来ていれば、患者さんから学びを得て、自然と経験を積んで成長していけると思っています。

―本作の見どころや、看護師を描くうえで意識していることを教えてください。

市東さん 第6シリーズでは研修医や専攻医など、若手が多く登場します。進藤や小島が彼らにどうバトンをつないでいくかが見どころです。看護師役では、シリーズ初の男性看護師長となる菅野心也(演:金田哲さん)や、若手看護師の畦地優夏(演:杏花さん)が登場。若手医師が壁にぶつかったとき、看護師たちが自分なりの言葉で手を差し伸べ、支える姿を見ていただけるとうれしいです。

―医療シーンについてはいかがでしょうか。

市東さん 脚本を書くにあたり、医学監修を担当されている日本医科大学付属病院高度救命救急センターへ見学に行きました。プロデューサーも複数の病院を取材していて、撮影には、医療シーンをきちんとつくり上げるための専門スタッフの方もいます。医師や看護師たちのリアルな動きにも注目してもらえたらと思います。

看護師という職業のプライドをドラマで伝えたい

―今後、脚本家として挑戦してみたいことを教えてください。

市東さん 現在は複数人の脚本家が書く作品に参加することが多く、さまざまな勉強ができています。学んだことを活かして、1人で1つの作品をすべて書き上げたいですね。また、私は鹿児島県の田舎で育ったので、ローカルな話を書いてみたいです。田舎の小さなコミュニティをドラマにできたらと思います。

―ドラマをとおして、看護師のどのような姿を一般の人に伝えたいですか。

市東さん 世間の看護師のイメージって、人によって解像度が大きく違いますよね。病院にあまり行かない人にとっては、外来で医師の横にいる人、くらいの印象ではないでしょうか。でも、病棟で働く看護師はもっと患者さんと密接にかかわります。医師の手伝いではなく、ちゃんと看護をしているという、職業としてのプライドに目を向けてもらえるように看護師を描いていきたいです。

―最後に、『エキスパートナースweb』の読者に向けてメッセージをお願いします。

市東さん 私もよく書店で看護雑誌を見ていて、『エキスパートナース』も手にとったことがあります。日々の仕事はやはり大変で、勉強までするのはハードルが高いと思います。自己研鑽をしている看護師さんは本当にすごい。自信をもってほしい、と言うとえらそうなのですが…。看護師時代、忙しいなかでも医療ドラマだけはチェックしていて、それが息抜きになっていました。同僚とお昼を食べながら、ドラマの話をしていましたね。『救命病棟24時』も、救命救急の現場で働く看護師さんや、それ以外の看護師さん、ぜひ皆さんに見ていただけたらと思います。

『救命病棟24時』
10月12日スタート
フジテレビ系 毎週月曜 午後9:00~9:54

〈出演〉
江口洋介 松嶋菜々子 木戸大聖 萩原利久 白石 聖 横田真悠 中山翔貴 杏花 金田 哲 長井 短 田島 亮 谷 恭輔/宮野真守/八嶋智人 沢村一樹

〈脚本〉
田辺 満、市東さやか、三浦駿斗、ひかわかよ

〈音楽〉
得田真裕

〈主題歌〉
DREAMS COME TRUE「サヨナラとバトン」
(DCT records/UNIVERSAL SIGMA)

〈プロデュース〉
足立遼太朗

〈プロデューサー〉
鹿内 植、大瀬花恵(FCC)

〈演出〉
柳沢凌介、水田成英(FCC)、星野和成、日髙貴士

〈制作協力〉
FCC

〈制作著作〉
フジテレビジョン

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看護師の本音、聞かせてください!アンケートご回答でプレゼント

 『エキスパートナースweb』より、アンケートのご案内です。患者・家族や職場、お金と制度についての本音や、日頃のお悩みを聞かせてください。抽選でプレゼントもご用意しています!

患者さんや職場、お金などにまつわる本音を募集

 『エキスパートナースweb』では、看護師・准看護師の方を対象に、下記の内容についてのアンケートを実施しています。

●看護師が口に出せずにいる、患者・家族/職場/お金と制度についての本音

 いただいたご意見等は、『エキスパートナース』『エキスパートナースweb』の記事づくりの参考にいたします。ご協力いただける方は、下記よりお答えください。

アンケートご回答はこちら※アンケートの回答は締め切りました。

※締め切りは【2026年10月15日(木)12:00まで】です。 

抽選で10名様にクリアファイル2点セット(非売品)をプレゼント

 コメントの掲載の採用不採用にかかわらず、アンケートにご協力いただいた方のなかから抽選で10名様に「オリジナルクリアファイル2点セット」(非売品)を差し上げます。 

 ぜひお気軽にご参加ください。皆さまのご意見をお待ちしております!

褥瘡ケアの記事・連載まとめ

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 褥瘡・創傷ケアについて、現場のナースが「本当に聞きたかったギモン」をピックアップ。豊富な症例写真とともに、看護ケアのポイントを紹介しています。

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能登半島地震被災地における褥瘡ケア支援:石川県立看護大学の支援チームの取り組み

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 能登半島地震の被災地における、石川県立看護大学の支援チームの褥瘡ケア支援について紹介。真田弘美学長から、具体的な活動内容について話をうかがいました。

おむつに注目!褥瘡・IAD予防のための実践セミナーレポート

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適切なおむつを選ぶことは、褥瘡やIADの予防につながります。座長に真田弘美先生、演者に仲上豪二朗先生、佐々木早苗先生、浦美奈子先生を迎えたセミナーの様子を抜粋して紹介しています。

〈目次〉
●高齢者のスキントラブル(IAD ・褥瘡)の判断基準と改善のポイント
(演者:仲上豪二朗先生)

●病院でのスキントラブル好発部位(仙骨・尾骨)の褥瘡に対する排泄ケア事例
(演者:佐々木早苗先生)

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がん終末期の褥瘡対策:ステージ別のケアとマットレスの選び方

 がん終末期における褥瘡ケアでは、体位変換を必ずしも積極的に行うとは限りません。終末期ステージに合わせた褥瘡ケアや、マットレス選定の考え方を解説します。

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認知症患者のベッド上での姿勢:褥瘡を防ぐポジショニングとクッションの入れ方

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 認知症の患者さんの適切なポジショニングとは?ベッド上の姿勢について、褥瘡のリスクが高まってしまう例や、体圧分散のためのクッションの適切な入れ方を紹介します。

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『風、薫る』のモデル・大関和の著書『実地看護法』を読む―褥瘡予防・患者との向き合い方から見る看護の原点

大関和の著書『実地看護法』サムネイル

 朝ドラ『風、薫る』の主人公・一ノ瀬りんのモチーフとなった大関和。著書『実地看護法』では、褥瘡予防や患者との向き合い方など、現代にも通じるケアの考え方が示されています。

〈目次〉
●『実地看護法』とは
●『実地看護法』で説く看護婦の心得
●『実地看護法』で説く褥瘡の注意
●便器・尿器の図解、看護記録の見本、用語集
●一般に向けた『家庭看病法』も出版

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持ち運びに便利な「褥瘡ケア」のポケット本【おすすめBOOK】

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 褥瘡ケアの基礎知識から、特定認定看護師のワザまで。褥瘡ケアを図・表・写真で詳しく解説したポケット本『とにかく使える 褥瘡ケア』を紹介しています。

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石川県立看護大学「災害実践看護学」の挑戦:能登、そして熊本へ

「決して能登を忘れない」から始まった、災害に強い看護職の育成

 令和6年能登半島地震・豪雨災害の経験を未来に活かすために開設された石川県立看護大学 石川県寄附講座「災害実践看護学」。被災地に最も近い看護大学として能登での支援を続けながら、今夏に起こった令和8年熊本地震にも学生を派遣してきました。いつどこで起こっても不思議でない甚大災害に即座に対応できる“災害に強い看護職”の育成が求められています。

「災害に強い看護師・看護研究者の育成」を大学の最上位方針に

 「令和6年能登半島地震では、災害時に対応できる看護職が少ないことがあらためて浮き彫りになりました。石川県は『石川県創造的復興プラン』に看護大学における防災・災害教育の強化を明記し、本学も『私たちは決して能登を忘れない』を掲げて、『災害に強い看護師・看護研究者の育成』を方針の最上位にすえました。その流れのなかで、県の寄附により開設されたのが本講座です」と言うのは、木田亮平教授です。

 全国的にみても災害看護に携わる看護職の人材不足は深刻です。就業看護師約140万人に対して、災害支援ナースの登録は約1万1,500人と1%に届きません。災害看護専門看護師(CNS)は全国でようやく50人に届くかどうかですが、当講座の窪田直美講師と登谷美知子講師は臨床経験の豊富な災害看護CNSです。災害看護学を必修にしている看護系大学は約半数しかなく、さらにその95%が2単位以下にとどまっています。

 「災害は必ず起こるもの。病気と同じように、起こる前提で教育しなければならない――というのが本講座の根底にある問題意識なのです」と木田教授は言い、災害に強い看護職像を示してくださいました(図1)。

図1 災害に強い看護職像
災害に強い看護職像の図
木田亮平 教授
木田亮平 教授
窪田直美 講師
窪田直美 講師
登谷美知子 講師
登谷美知子 講師

災害看護学を7単位に、卒業時に全員が基礎力を

 同大学では、2026年度から災害看護関連科目を従来の1単位から7単位に拡充しました。
 1年次の災害看護学概論で災害と防災を知り、2年次には「災害サイクル」と「場所」の2軸で方法論を学びます。救護所や避難所、高齢者施設での看護も扱い、ここまでは全員必修です。3年次には、体育館で限られた物資を使うトリアージ演習や、病棟で地震が起こったときの初動対応の机上演習などに取り組みます。4年次はDMATを置く医療機関での実習に加え、能登に近い立地を活かし、災害後に中長期の健康課題を抱えた人への看護を学びます。
 「災害看護学には、成人看護学や老年看護学と同じように、一貫した教育プログラムが必要なのです」と木田教授は話します。

能登へ、そして熊本の避難所へ

 本講座では能登半島地震の後、奥能登(珠洲すず市・能登町・穴水あなみず町)の仮設住宅の集会所などで健康相談サロンを続けてきました。血圧や骨密度の測定、生活の聞き取りは、現在では学生主体で運営しています。参加学生は2025年度が延べ31名、2026年度は現時点で延べ71名にのぼります。

 そして、2026年7月28日に令和8年熊本地震が発生すると、窪田講師と登谷講師が発災から約1週間後に現地に入り、熊本県の保健医療福祉調整本部やDWATと連携して支援ニーズを調べました。そして木田教授と相談のうえ、中長期の支援が必要と判断して学生の派遣を決めました。ボランティア募集では定員20名に対して43名が応募。5名ずつ4陣に分かれ、福祉避難所となった氷川ひかわ町の公民館を訪れています。

 当初は断水を想定して清潔ケアを考えていましたが、上水道の復旧とともにニーズは変わりました。避難者は80歳前後が中心で、要介護度2以下の人や認知症の人も含まれます。日中の活動が乏しく、心身の機能低下が最大の課題でした。そこで、学生が企画した風船バレーや昭和歌謡に合わせた体操で身体活動を促し、レクリエーションに出てこない人には個別に声をかけ、トイレへの付き添いなども行いました。

被災地ボランティアで熊本に出発する石川県立看護大学の学生たち
被災地ボランティアで熊本に出発する学生たち

災害関連死は「当たり前」ではない

 能登半島地震では災害関連死が500人を超え、直接死を大きく上回りました。一方で、災害関連死には医学的・疫学的な統一定義がなく、行政上は災害弔慰金ちょういきんの認定が事実上の基準になっています。講座では、行政上の定義と医学・疫学的定義を分けたうえで、看護の視点から「防ぐことができた災害関連死」を定義し、研究していくことを課題にすえています。避難生活における生活不活発病や廃用の予防は、その最前線にあります。

 能登と熊本の被災地での実感を窪田講師と登谷講師はこう語ってくれました。「熊本の避難所では、自宅に戻れる状態であっても、人とのつながりがあって『避難所のほうが居心地がよい』と帰宅をためらう人もいました。能登で多く聞かれた『帰りたい』という声とは対照的で、地域性や被災状況の違いが生活再建にどう影響するかも検討課題だと思います」

避難所で行うレクリエーションの様子
避難所で行うレクリエーションの様子2
避難所で行うレクリエーションで、高齢の避難者の活動を促し、生活不活発病を予防する

現役看護師へのリカレント教育

 現在、臨床で働いている看護師のなかで災害看護を学んでいる看護師はごくわずか。本講座では能登・金沢・加賀の3地区でセミナーを開き、2025年度は70名が参加しました。危機管理の基本に加え、病棟初動対応と避難所運営の机上シミュレーション、被災した職員どうしのこころのケアを扱います。

 「病院から避難所へ看護師を派遣するスタイルは今後増えるでしょう。患者さんがどんな環境から搬送されてくるのか。退院先が避難所ということもあります。病院の外の災害現場にも目を向けてほしい」と木田教授。来年度からは初級・中級・上級の体系的なプログラムとし、VRも活用して、修了者には大学から認定証を出す構想です。

熊本の避難所に向かう学生ボランティア

熊本の避難所に向かう学生ボランティアの青山さんと古田さん

青山葵星きらさん(左)「公民館に集う住民どうしが協力し合っているようです。支援する人と地域の人とのかかわりや、地域のつながりを自分の目で見てみたいです」

古田美季奈みきなさん(右)「身体面だけでなく、不安などの精神面にも目を向け、その人に合わせた看護をしたいと思います」

こちらもチェック

石川県立看護大学 石川県寄附講座「災害実践看護学」
https://www.ishikawa-nu.ac.jp/dnps/our-laboratory/

※このレポートはエキスパートナース2026年12月号(11月20日発売予定)にて掲載予定です。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。

「令和8年版厚生労働白書」が公表―医療現場のAI活用事例などを紹介

 9月29日、厚生労働省が「令和8年版厚生労働白書」を公表しました。医療・介護・福祉現場における、ICT、AIなどテクノロジーの活用の取り組みなどが紹介されています。

2040年を見据えた課題や、看護業務の効率化の事例などを掲載

 「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の課題などについて、国民に分かりやすく周知することを目的にとりまとめられたものです。その年ごとのテーマを設定した第1部と、厚生労働行政の施策をまとめた第2部の2部制となっています。

 令和8年版の第1部のテーマは、「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」。テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性の向上についての現場の取り組みが紹介されています。

 第1章では、「医療・介護・福祉を支える現場の現状と、2040年を見据えた課題と対応の方向性」を解説。医療・介護・福祉サービスの需要量の増減やピークの時期は地域によって異なり、需要の質も変化するなかで、地域の医療・介護・生活支援が一体的に提供される体制の再構築が求められるとしています1。限られた人材でサービスを維持するため、職場環境改善や働き方改革とともに、テクノロジーを活用した業務の効率化、生産性向上に向けた取り組みが重要だと示されています1。

 第2章では、「2040年に向けた、医療・介護・障害福祉の現場における取組み―テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性向上―」を解説。テクノロジーの活用の導入状況やその効果、課題と政府の取り組みが紹介されています(表)1。

 テクノロジーを導入した看護業務の効率化の主な例として、転倒・転落予測システムAIや物品搬送ロボットの導入、スマートフォンの音声入力システムによる看護記録の効率化などが取り上げられました。

表 医療現場におけるテクノロジーの活用

導入状況
●診療報酬請求や資格確認等の基盤的な業務領域では普及
●診療や看護といった現場業務に直結する技術※については限定的
※音声入力、AI問診、画像診断支援AI、見守り機器等

導入効果
●業務負担軽減、業務効率化、時間外労働の削減、職場環境改善
●医療安全・安全性の向上
●創出された時間の再配分と医療・支援・ケアの質の向上
●運営への波及

課題と政府の取り組み
●事業規模や経営基盤の違いによる導入差
●導入負担
●導入後の運営・定着を支える人材・組織体制の構築
●セキュリティ等の課題
⇒診療報酬制度・補助金等による導入支援を実施し、医療DXや省力化投資を推進

(文献1を参考に作成)

 まとめとして、テクノロジーは導入するだけでは成果は得られず、現場の主体的な業務改革と一体となって初めて効果を発揮するため、現場の主体的な取り組みと、それを後押しする政府の支援や関係機関の協力が重要との考えが示されています1。

1.厚生労働省:令和8年版厚生労働白書 概要版.
https://www.mhlw.go.jp/content/001751233.pdf(2026.9.30アクセス)

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WHO「ICOPE(高齢者のための包括的ケア)ハンドブック」第2版の日本語版が公表

 9月25日、日本老年医学会がWHO(世界保健機関)の「ICOPE(高齢者のための包括的ケア)ハンドブック」第2版の日本語版を作成しました。

ICOPEのケア手順が4段階に変更

 「ICOPE(Integrated Care for Older People:高齢者のための包括的ケア)」とは、「高齢者の内在的能力と機能的能力を最適化することを支援し、より個人を中心とした協調的なケアに向けて医療的、社会的サービスを方向転換させることを支援する、継続した包括的ケアを提供するためのWHOによるアプローチ」1です。

 健康寿命の延伸をめざして、加齢に伴って起こるさまざまな機能低下を適切に評価し、最適なケアを提供するため、WHOは2019年に「ICOPEハンドブック:プライマリケアにおける人を中心とした評価と手順に関するガイダンス」を発表。2025年に第2版が公表されました。

 主な読者としては、医師、看護師、地域医療従事者、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、介護福祉士、理学療法士など、プライマリケアに携わる医療従事者が想定されています。

 日本老年医学会では、2019年版に引き続き、第2版の日本語版を作成。このたび、同会のホームページで公表されました。

 2019年版からの主な変更点としては、ICOPEのケア手順が挙げられています。2019年版では5段階のステップで説明されていましたが、第2版では4段階の構成に変更されました(表)1。高齢者との最初の接点となるステップ1は拡大され、重点が置かれています。

 さらに、介護者自身の健康を確保する必要性の具体例を盛り込む、高齢者の健康と機能的能力にとって重要な要素を追加するなど、地域における高齢者ケアにより役立つ内容に更新されました。

表 ICOPEケア手順

ステップ1
基本評価*
●内在的能力の喪失
●高齢者の健康における重要な要因(社会的支援、介護者への支援、尿失禁など)
●健康と生活習慣に関する助言を提供し、セルフケアを促進する

*基本評価は常に包括的に実施すべきであり、特に内在的能力の低下に対しては十分に行う必要がある。

ステップ2
より詳細な評価
評価の前に
●高齢者の生活、価値観、優先事項、社会経済的背景を理解する
●主要な家族、親戚、友人を特定する
・ステップ2-A:内在能力の低下の評価
・ステップ2-B:病気と危険因子の評価
・ステップ2-C:社会的・身体的環境の評価

ステップ3
個別化されたケアプランを策定する

ステップ4
実施およびモニタリング

(文献1を参考に作成)

1.日本老年医学会:ICOPE(高齢者のための包括的ケア)ハンドブック プライマリケアにおける人を中心とした評価と手順に関するガイダンス 第2版.
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/icope_handbook_02.pdf(2026.9.30アクセス)

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看護職の「アルムナイ」とは?横浜市立大学のキャリア支援の取り組み

 卒業しても、退職しても、看護のつながりは終わらない──。「アルムナイ」という新しい視点が、キャリアの未来をひらきます。

●横浜市立大学では、看護に特化したアルムナイ・ネットワークを運営中
●「アルムナイ」という概念の由来
●看護領域にも広がる「アルムナイ」
●看護職のキャリア形成と「アルムナイ」
●個別的で多様な経験を可視化
●「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」構築プロジェクトを発足
●「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」の取り組み

横浜市立大学では、看護に特化したアルムナイ・ネットワークを運営中

 横浜市立大学(Yokohama City University:YCU、以降本学)では、医学部看護学科の卒業生や附属2病院(横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター)で共に看護を担った方々との“つながり”を大切にし、その経験や知識を未来に活かすことをめざして「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」を運営しています。

 このネットワークは、卒業後や退職後も、看護にかかわる知識・経験・想いを共有できる場です。そこから生まれる交流は、地域医療の発展や人材育成につながり、さらに看護の専門性やキャリアを深める力になります。

 本稿では、まず「アルムナイ」という言葉の由来や背景を整理し、看護職にとっての意義を確認します。そのうえで、キャリア形成とのかかわり、そして本学の取り組みを紹介していきます。

「アルムナイ」という概念の由来

 「アルムナイ(alumni)」はラテン語の“alumnus”(養われた者)を語源とし、もともとは大学などの教育機関の卒業生・修了生を指す言葉です。欧米の大学では古くから、卒業生との関係を重視してきました。寄付や教育活動への参画、同窓ネットワークの整備を通じ、知識の循環やキャリア支援、大学運営の基盤強化に貢献しています。

 特にアメリカでは「アルムナイ・アソシエーション(alumni association)」が広く組織され、卒業生と母校が互いに価値を生み出す文化が根づいています。

 日本でも、大学改革や生涯学習の推進、リカレント教育の広がりに伴い、卒業生ネットワークの活用が進んでいます。最近では大学に限らず、企業や自治体でも退職者・離職者を「アルムナイ」と位置づけ、再雇用や知見の循環を促すしくみが導入されています。

看護領域にも広がる「アルムナイ」

 看護領域でも、教育機関と医療機関が連携し、卒前・卒後・継続教育をつなぐコミュニティの必要性が高まっています。

 看護職はライフステージに応じて働き方が変化しやすく、臨床だけでなく教育・研究・行政・地域包括ケア、国際支援など幅広い分野で活躍しています。だからこそ「またつながれる場」としてのアルムナイ・ネットワークは、キャリアの連続性を維持し、専門職としてのアイデンティティを支える大切な基盤になります。

 看護という実践的・感情的・倫理的な営みにおいて、「人とのつながり」や「所属意識」はモチベーションや自己効力感と深くかかわっており、アルムナイはその心理的な支えにもなります。

 このような背景から、医療機関や教育機関が卒業・退職後の看護職との関係を戦略的に設計し、「離れてもなお仲間であり続ける」ことを可視化するしくみは、今後ますます重要になるでしょう。アルムナイという概念は、看護職が多様なキャリアを歩むなかで、自分の看護観を振り返り、つながりのなかで成長を続けるための実践的な枠組みです。

看護職のキャリア形成と「アルムナイ」

 看護職のキャリア形成を考えるうえで、教育政策の動向は重要です。文部科学省が委託した報告書では、リカレント教育を推進する取り組みのなかで、修了生や卒業生のネットワーク活用が効果的だと指摘しています1。

 そして、会報誌やメーリングリスト、アルムナイSNS(アルムナイのメンバー限定で使用できるソー
シャルネットワーキングシステム)といったツールによる周知、さらに口コミによる広がりが学び直しのきっかけになること、そして修了生との接点を継続的に維持する重要性が強調されています1。

 これは、看護職におけるアルムナイ・ネットワークの有効性を裏づけています。単なる人的交流にとどまらず、学び直しやキャリア形成を支える基盤として機能する点を明確に示しています。

個別的で多様な経験を可視化

 看護職は子育てや介護、転居、進学、新たな専門分野への挑戦などを理由に、一時的に現場を離れることが少なくありません。しかし、再び臨床現場や関連領域に戻る人も多くいます。このような歩みのなかで「どこで、誰と、どのように働いてきたか」という軌跡は、職務遂行力や自己肯定感、職業的アイデンティティの形成に直結します。

 アルムナイの視点は、このキャリアの蓄積を“つながり”という観点から再評価し、個々の経験を集合知へと変えていくものです。看護界全体ではまだ浸透の途中にありますが、キャリア支援や学び直しの基盤としての有用性は大きく、今後の展開が期待されます。アルムナイ・ネットワークに期待できる具体的な効果として、表1の4点が挙げられます。

表1 アルムナイ・ネットワークに期待される4つの効果

①継続的な学びの場の提供
●勉強会や講演会、オンラインコミュニティを通じて最新知識に触れ、復職への不安をやわらげながら看護観を更新できる

②キャリア形成の支援
●資格取得や大学院進学、他分野への転換などの際、仲間の体験や助言が強い後押しになる

③採用・復職の橋渡し
●「戻れる場所がある」という安心感を生み、実際の復職・再配置の機会にもつながる

④地域や社会への貢献
●医療、福祉、教育、行政など多様な領域で活動する看護職の連携が、地域包括ケアや災害支援、多職種協働の新たな展開を生む

 アルムナイは「語り合い」「振り返る」場でもあります。自分の実践を言葉にし、仲間と共有することで暗黙知が可視化され、質の高い看護へと還元されます。

 また、世代の違う仲間と出会うことで多様な価値観に触れ、学び続ける組織としての看護コミュニティが育ちます。すなわちアルムナイは、看護の専門性を未来へ発展させる実践的な基盤といえるでしょう。

「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」構築プロジェクトを発足

 本学では、2023年度に「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」構築プロジェクトを発足しました。対象は、本学の卒業生、横浜市立大学附属病院および横浜市立大学附属市民総合医療センターの看護職員、退職者、教員、学生など多様です。

 本ネットワークは、2015年に設立され、看護職のキャリア形成を多角的に支援してきた「YCU看護キャリア開発支援センター」の中に新たに立ち上げられた事業として位置づけられています。当センターは、教育・臨床・研究・社会貢献を視野に入れた5つのプロジェクトを展開していますが、それとは別に、卒業生や附属2病院スタッフとの関係を結ぶ「アルムナイ・ネットワーク事業」を始動しました(図1、図2)。

図1 YCU看護キャリア開発支援センターの全体像
YCU看護キャリア開発支援センターの全体像の図
図2 横浜市立大学看護学科×附属2病院によるアルムナイ・ネットワークのイメージ
横浜市立大学看護学科×附属2病院によるアルムナイ・ネットワークのイメージ図

「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」の取り組み

 「YCU看護アルムナイ・ネットワーク」の事業計画には、次のように示されています。

横浜市立大学医学部看護学科の卒業生、そして横浜市立大学附属2病院看護部で共に看護を提供した方々は、いつまでも仲間(アルムナイ)であり続けます。たとえ新天地へ出発したとしても、私たちはその皆さんとのつながりを大切にし、新しい関係性の中で“看護の未来を創造する”ために共に歩みます。

 本ネットワークの活動の柱は①誇りとつながりの継続、②看護の知の創造と交流、③採用・キャリア形成支援です。単なる同窓会ではなく、看護の発展と地域貢献をめざす実践型ネットワークです。

 具体的な活動としては、まず2025年3月に「看護キャリア開発支援センター創立10周年記念講演会」を開催しました。「看護現場学サポーター」の陣田泰子先生(聖マリアンナ医科大学病院看護部 キャリアアドバイザー、看護概念化サポーター)をお招きし、「看護を語ること」「看護を可視化して次世代へつなげること」の意義を再確認しました。

 また、陣田先生に加え、学科長や附属2病院の看護部長とのパネルディスカッションでは、語りのプロセスを通じて専門性がみがかれること、世代間の相互学習が促進されることが共有されました(図3)。

図3 「看護キャリア開発支援センター創立10周年記念講演会」の様子
横浜市立大学「看護キャリア開発支援センター創立10周年記念講演会」の様子
看護現場学サポーターの陣田泰子先生を迎えた講演とパネルディスカッションを実施。語りを通じて世代間の学びが深まった

 同年8月には、2部構成の講演会・研修会を実施しました。第1部では当ネットワーク立ち上げの経緯や、今後の展望を紹介しました。第2部ではPOLA株式会社の協力による「ビューティーリチャージセミナー」を開催し、印象形成に役立つメイクやスキンケアを学びました。「整えて、満たす。明日からまたがんばって働こう」というメッセージのもと、自己肯定感やリカバリーを後押しし、“仲間とつながる力”を体感する機会になりました。従来の学び直し型研修とは異なる切り口でしたが、アルムナイの価値を広く伝えるきっかけとなりました(図4)。

図4 「ビューティーリチャージセミナー」の様子(協力:POLA株式会社)
横浜市立大学「ビューティーリチャージセミナー」の様子
メイクやスキンケアを通じて自己肯定感を高め、仲間との交流から活力を得る機会となった

 今後は、広報誌やWeb・SNSを活用した情報発信、シンポジウムの開催などによるキャリア支援、アルムナイを対象とした復職支援を進め、事業内容を一層充実させていきます。また、同窓会や企業との連携、寄附金の募集を通じて、人材バンクの整備や活動予算の確保を図り、ネットワークの基盤を強化していきます。

*

 「アルムナイ」は、過去を懐かしむための言葉ではありません。つながりを力に変え、専門性を深め、キャリアの再構築や社会貢献へと活かす“未来の資源”です。

 YCU看護アルムナイ・ネットワークは、その可能性をひらく第一歩として、世代や立場を超えた学びと協働の循環を生み出しています。私たちは、この輪をさらに広げ、看護の未来をともに創造していきたいと考えています。

「看護・医療の知っておきたいTOPIC」の記事一覧

1.PwCコンサルティング合同会社:大学等におけるリカレント教育の持続可能な運営モデルの開発・実施に向けたガイドライン(詳細版):87.
https://www.mext.go.jp/content/20240424-mxt_syogai03-000013335_2.pdf(2025.9.20アクセス

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カテーテル検査・治療の全領域を網羅【おすすめBOOK】

 看護師におすすめの本をピックアップ。今回はカテーテル検査・治療をわかりやすく解説した『術式・手技とカテ前~中~後を見わたす カテ室の見取図』です。

術式・手技の概要と流れががわかる!

 血管系・非血管系で計59項目のカテーテル検査・治療において「どのような検査・治療を行うのか」「検査・治療時における各メディカルスタッフの役割、注意点は何か」を簡潔に解説する。

 また、デバイスや薬剤、医療体制などの基礎知識も網羅。カテ室を見える化した、カテーテル検査・治療の全体がわかるテキスト。

カテ室の見取図表紙

術式・手技とカテ前~中~後を見わたす カテ室の見取図
近藤大稀 編著
藤永康成、海老澤聡一朗、岡田綾子、中村卓也 医学監修
照林社
B5判
定価:3,300円(税込)

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肺炎とは?症状、分類、重症度評価など看護師が知っておきたい基礎知識

 肺炎の全体像と基礎知識をわかりやすく解説!定義と症状、重症度評価や、市中肺炎や院内肺炎、誤嚥性肺炎、人工呼吸器関連肺炎といった分類など、看護師が知っておきたい大事なポイントをまとめました。

●肺炎とは?
●肺炎の症状
●肺炎の分類
●肺炎の診断

肺炎とは?

 肺炎は、肺実質の急性の感染性の炎症である1。
 肺炎はわが国の死因の第5位、誤嚥性肺炎は第6位となっている(令和7年人口動態統計)。

肺炎の症状

 肺炎の症状などを表1に示す。

表1 肺炎の特徴的な所見

呼吸器症状
●咳嗽 ●喀痰 
●呼吸困難 ●胸痛

全身症状
●発熱 ●倦怠感
●食思不振 ●意識障害

呼吸音の聴診
●クラックル

バイタルサイン
●発熱 ●頻脈 ●頻呼吸
※重症になると意識障害、ショック

血液検査
●好中球優位の白血球増多
●炎症反応(CRP・赤血球沈降速度・プロカルシトニンの上昇)

胸部X線検査
●細菌性肺炎の場合、気管支鏡透亮像を伴う浸潤影

(文献1を参考に作成)

肺炎の分類

 肺炎は発症場所によって、①市中肺炎(community-acquired pneumonia:CAP)、②院内肺炎(hospital-acquired pneumonia:HAP)、③医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)に分けられる(表2)。

表2 発症場所による肺炎の分類

市中肺炎(CAP)
●基礎疾患を有していない、あるいは軽微な基礎疾患を有している人が病院外で発症した肺炎
●入院後48時間以内に発症したものも含む

院内肺炎(HAP)
●入院後48時間以上経過してから新しく発症した肺炎

医療・介護関連肺炎(NHCAP)
●定義は次の①~④の通り
①長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神科病棟を含む)
②90日以内に病院を退院した
③介護(PS3以上)を必要とする高齢者、身障者
④通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、抗がん化学療法、免疫抑制薬などによる治療)を受けている
●高齢者の誤嚥性肺炎が多い

 院内肺炎のうち、気管挿管・人工呼吸器開始後48時間以降に新しく発症した肺炎を人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)と呼ぶ。

 肺炎は原因菌から細菌性肺炎と非定型肺炎に分類される。それぞれ有効な治療薬が異なり、細菌性肺炎ではβラクタム系、非定型肺炎ではマクロライド系、キノロン系、テトラサイクリン系が有効である。

 また、ADLや全身機能の低下を有する場合に認められやすい嚥下機能障害を背景に起こる肺炎を、誤嚥性肺炎と呼ぶ。

肺炎の診断

 市中肺炎の重症度はA-DROPシステムで評価する(表3)。

表3 A-DROPシステム

Age
男性70歳以上、女性75歳以上

Dehydration
BUN21mg/dL以上または脱水あり

Respiration
SpO290%以下(PaO260Torr以下)

Orientation
意識変容あり

Blood Pressure
血圧(収縮期)90mmHg以下

軽症:上記5つの項目のうちいずれも満たさないもの。
中等症:上記項目の1つまたは2つを有するもの。
重症:左記項目の3つを有するもの。
超重症:左記項目の4つまたは5つを有するもの。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。

(文献2より引用)

 院内肺炎の重症度はI-ROADで評価する1。1の生命予後予測因子(I-ROAD)を3項目以上満たす場合は重症、1が2項目以下で2の肺炎重症度規定因子を満たす場合は中等症、満たさない場合は軽症。

1 生命予後予測因子(I-ROAD)

I:悪性腫瘍または免疫不全状態
R:SpO2>90%を維持するためにFiO2>35%を要する
O:意識レベルの低下
A:男性70歳以上、女性75歳以上
D:乏尿または脱水

2 肺炎重症度規定因子

①CRP≧20mg/dL
②胸部X線画像陰影の拡がりが一側肺の2/3以上

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1.日本呼吸器学会成人肺炎診療ガイドライン2024作成委員会編:成人肺炎診療ガイドライン2024.日本呼吸器学会,東京,2024.
2.日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会編:成人市中肺炎診療ガイドライン.日本呼吸器学会,東京,2007.

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看護記録を改善するには?【おすすめBOOK】

 看護師におすすめの本をピックアップ。今回は看護記録委員や管理者におすすめの、『看護記録を整える』です。

業務効率化、看護の質向上、地域連携につながる

 医療DX推進に向けて「看護記録を見直し、使いやすく改善し、今後の看護実践に活かす」ために、何をどう整備していけばよいか、考え方と大事なポイントをまとめたテキスト。

 看護記録のすべての過程を体系的かつ具体的に解説する。自施設の看護記録の状況と照らし合わせて、改善に向けたロードマップ作成にも役立つ。

看護記録を整える
NTT東日本関東病院看護部記録委員会 著
相馬泰子 監
村岡修子 編
B5版
定価:2,860円(税込み)
照林社
詳細・購入・試し読みはこちら

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【看護教員対象】生成AIとの向き合いかた、学生にどう指導する?オンラインセミナー開催

 看護学生に「生成AI」との向き合いかたを指導する機会のある看護教員の方へ。プチナース(照林社)が、本分野のフロントランナーを講師としたオンラインセミナーを開催します。

生成AIが学習効果に与える影響、これからの課題の出しかたなどを解説

 看護学生における生成AI使用率の急速な高まりに伴い、適切な使用方法などについて指導することが必須となりつつあります。

 本セミナーでは、本分野のフロントランナーである永井 翔先生(椙山女学園大学看護学部講師)を講師にお迎えし、生成AIの使用が学習効果に与える影響や、それらを踏まえた課題の出しかたなどについてご解説いただきます。

 また、ご参加いただく教員のみなさまが、日頃どのように対応・指導されているかを事前アンケートでお伺いし、集計結果を永井先生のご解説と共にご紹介します。ぜひ情報やお悩みを共有し、共感し合える場としてご活用ください。

セミナータイトル

プチナース 看護教員対象オンラインセミナー
「看護学生にどう指導していますか? 生成AIとの向き合いかた」

日時

2026年10月9日(金)18:30~21:00

※リアルタイム配信後、10月13日(火)正午~10月20日(火)正午までのアーカイブ配信を予定しております。

受講料

2,500円(税込)

定員

150名

プログラム

プログラム①「生成AIをめぐる現状と看護教育における課題」

  • 看護学生の生成AI利用状況
  • 生成AIの特性とリスク
  • 生成AI利用を前提としたこれからの指導設計  など

プログラム②「事前アンケートからみえる 学生指導のリアル」

  • 指導方針やガイドラインの有無
  • 課題作成に生成AI利用が察せられる場合の対応
  • 指導するうえでの困りごと・体験談  など

講師

永井 翔 先生
椙山女学園大学 看護学部 講師

2008年に愛知医科大学看護学部を卒業後、国立病院機構東尾張病院に勤務し、副看護師長を経験。愛知医科大学大学院で修士(看護学)、人間環境大学大学院で博士 (看護学)を取得。現在は、椙山女学園大学看護学部講師。精神看護学・看護情報学を専門に、生成AIやVRを活用した看護教育、トラウマ・愛着に関する研究に取り組む。

申し込み・詳細

セミナー内容の詳細、チケットのご購入(お申し込み)については、下記URLをご確認ください。

https://petitnurse-seminar20261009.peatix.com/

主催

プチナース/照林社
メールアドレス kokushi@shorinsha.co.jp
TEL 03-3815-4921

【連載まとめ】検査データを看護アセスメントに活かすには?

 検査データを読むために、看護師が知っておきたいポイントをまとめた書籍『検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?』の試し読み記事を公開!検査データをのBARへの活用、せん妄における検査データの見方などを解説します。

【第1回】検査データを読む本当の目的は?看護師が知っておきたい読み方の基本

〈目次〉
●検査データは「アセスメントの根拠」である
●検査データは「単独」ではなく「組み合わせて」読む
●その成分の「産生・消費・分解」の経路をイメージする

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【第2回】検査データをフィジカルアセスメントやSBARに活用する重要性

〈目次〉
●最も大切なのは「検査データとフィジカルアセスメントの統合」
●SBARは「伝達ミスを防ぐ型」である
●SBARに検査データを織り込むと、説得力がぐんと深まる

詳細はこちら

【第3回】せん妄から読み解く検査データとアセスメント

〈目次〉
●「せん妄=高齢者あるある」ではない。原因を探す姿勢が大切
●検査データの「どこを、どう見る?」
●検査データと所見から、どうアセスメントする?

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最新ガイドラインに基づく高齢者総合機能評価(CGA)実践のポイント

 高齢者に最適な診療やケアを個別に行うために重要な高齢者総合機能評価(CGA)。『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』実践のポイントを解説します。

●高齢者総合機能評価(CGA)とは?
●高齢者総合機能評価(CGA)の歴史
●『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』が発刊
●CGAの役割とは?
●CGAを行う具体的なメリットは?
●看護師の特性とCGAとの関連
●CGAの適用対象
●CGAを実施するタイミング
●CGAツールの活用
●CGAは“多職種の共通言語”

高齢者総合機能評価(CGA)とは?

 高齢者総合機能評価(CGA:comprehensive geriatric assessment)とは、疾患の評価に加えて、日常生活活動度(ADL*1)、手段的ADL(IADL*2)、認知機能、情緒・気分、意欲、幸福感、QOL、コミュニケーション、社会的背景などを系統的に評価する手法のことを指します。

 大切なことは、CGAは高齢者の現状評価や予後予測に使用することが目的ではなく、高齢者に最適な診療やケアを個別に行うためのものであるということです。最近では、評価とそれに基づいた介入までのプロセスを含めてCGAと定義することが多くなってきています1。

*1【ADL】activities of daily living、「日常生活動作」とも表記される。
*2【IADL】instrumental activities of daily living

高齢者総合機能評価(CGA)の歴史

 CGAの歴史は、「老年医学の母」と呼ばれるMarjoryマージョリー Warrenウォーレンから始まります2。イギリスの外科医であったWarrenは、1935年、714床を有する慢性疾患患者収容施設の責任者に任命されました。そこで彼女を待っていたのは、高齢で貧しく、「不治」のレッテルを貼られ、社会から見放された大勢の患者でした。

 「楽観と希望」をモットーとする彼女は、患者に生きる希望を与え、自立を促すことをめざして、疾患の種類や重症度ではなく、生活機能の評価に基づいて患者を分類しました。そして「患者が自分でできることには、いっさい手出しをしてはならない」と述べ、患者のもつ潜在的な能力を最大限に引き出し、これを活かして機能低下を補い、可能な限り自立を促しました。

 さらに、居住環境の整備を行い、看護師、セラピスト、社会福祉士などによるチーム医療を構築し、多職種連携とリハビリテーション(リハビリ)を重視しました。

 その成果はめざましく、患者は回復するとともに自己効力感を高めて自信をもつようになり、退院する患者が続出し、病床数は240床にまで削減されました。Warrenは「高齢者医療においては常に全人的医療を心がけるべきであり、病気を治すだけでなく、病人を癒す必要がある」と述べています(図1)2。

図1 Warrenによる高齢者医療の改善の概要
Warrenによる高齢者医療の改善の概要図
(文献2を参考に作成)

『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』が発刊

 1984年にはRubensteinルーベンスタインらにより、CGAが生命予後や機能予後を改善するための評価手法であることが発表され、メタアナリシス*3を用いて有効性が確認されました3。日本には1990年代初頭に導入され、2003年にはCGAに関するわが国初のガイドライン『高齢者総合的機能評価ガイドライン』が発刊されました。

 以降20年以上にわたり、わが国のガイドラインは改訂されないままでしたが、この間に診療ガイドラインの作成手法は大きく変わり、現在では「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に従って、推奨を含む文章を作成することが求められるようになりました。

 このような背景をもとに、2022年に研究班が組織され、2024年に『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』が発刊されることになりました。

*3【メタアナリシス】複数の研究から得られた成果を統計的に組み合わせて、調べたい課題を分析する研究方法。

CGAの役割とは?

 CGAとは、疾患のみならず高齢者の全体像を適切に把握し、総合的に評価して介入するプロセスであり、看護職もこのプロセスのなかで時に中心的な役割を担い、個別性の高いケアを実現するために重要な貢献を果たしています。

 現在のところ、CGAは高齢者における複数の機能障害を効果的に抽出することができると考えられており、臨床プロファイル、疾患リスク、フレイルなどの評価に関してだけでなく、高齢者の個別のケアプランを決定し実践するための多面的なツールとして推奨されています。

 CGAを行うことは、手間と時間を必要としますが、CGA7*4のような簡便なスクリーニングツールも開発されており、診療報酬にも取り入れられています(総合機能評価加算の算定)4。

 CGAを始めるにあたって具体的なツールについて知りたい場合は、日本老年医学会のホームページ内にある「高齢者診療のお役立ちツール」ページに「高齢者の機能評価」としてツールがまとめてあります5。誰でも使用することができますので、こちらを参考にしてみるのもよいでしょう。本稿末尾の資料も参照してください。

*4【CGA7】高齢者総合機能評価簡易版。臨床での簡便なスクリーニングのため、評価項目を7つに絞ったもの。

CGAを行う具体的なメリットは?

 さて、実際にCGAにどのようなメリットが期待されるのか、具体例を用いて考えてみましょう。

 図2に示すように、若年・中年の患者においては、例えば心筋梗塞を発症して心機能障害を起こし、階段を上ることができなくなり、肉体労働ができなくなるといった「疾患から社会的不利につながる」という病態が一般的です6。

図2 年齢層別に見る疾患と関連要素のつながり
年齢層別に見る疾患と関連要素のつながりの図
(文献6を参考に作成)

 ところが、高齢者においては、親しい人と死別し、そのショックで寝込んでうつ傾向になり、低栄養や不動性の筋力低下から、肺炎や心不全を発症するといった「社会的不利から疾患につながる」ケースもみられます6。

 このようなケースにおいては、医師がどんなに強力な抗菌薬を使用したり、どんなに効果的な心不全の治療薬を投与したりしても、「親しい人との死別によるショック」に対する介入を行わなければ、肺炎や心不全を根本的に改善することはできず、結果として肺炎や心不全を繰り返し、次第に患者は衰弱していくことでしょう。

 また、外科の手術目的で入院した患者が、認知機能低下によって薬が飲めなかったり、セルフケアができなかったりということを経験することは少なくありません。

 そこで、CGAを行うことで、手術前に患者の生活機能障害を把握することができ、退院後にどのような支援が必要かを前もって準備することができます。さらに、手術自体が果たして患者にとって最適な治療なのかどうか、再考する機会を与えてくれるかもしれません。このように、高齢者にCGAを行うことは、正しい病態を把握することを可能にし、患者に応じた最適なケアプランを作成するために必須のプロセスになります。

看護師の特性とCGAとの関連

 改訂されたガイドラインでは、「医療・介護、関係職種によるCGAの利用」というセクションが新たに設けられ、そのなかで看護師の役割にも明確な位置づけがなされています。

 注目すべきは、「高齢者の看護(看護部)においてCGAは有用か?」というクリニカルクエスチョンに対して行われたシステマティックレビューの結果です。看護師によるCGAの実施は、高齢者の死亡率を低下させ、ADLの維持にもつながるというエビデンスが示され、そのエビデンスの強さは「A」、推奨度は「1」と、ガイドラインのなかでも最も高い推奨をもってCGAの重要性が示されました7。

 このような高い推奨の背景には、多くの関連文献が存在したこともありますが、看護師のケアの性質と専門性が強く関連していると考えられています。看護師は患者やその家族の生活に触れる機会を多く有しており、疾患のみならず、ADLや認知機能の低下、ポリファーマシー、老老介護の状況など、複雑な背景を包括的に把握し、日々患者とかかわっています。

 こうした看護師の視点が、CGAの目的や枠組みと高い親和性をもち、今回の結果に反映されているといえるでしょう。では、看護師は実際の臨床のなかで、CGAをどのように始めていけばよいでしょうか。ここからは、ガイドラインの内容をもとに、実践のヒントを考えてみたいと思います。

CGAの適用対象

 CGAはgeriatric(老人の)という語が表すとおり、高齢者を対象としたアセスメントですが、ガイドラインでは明確な年齢上の区分は設けられていません。あくまでも、適用すべきは「老年疾患や老年症候群を抱えて日常生活機能が低下した方」とされています。また、入院患者に限らず、外来通院中の高齢患者であっても、生活に支障をきたしている場合には、CGAを積極的に実施することが推奨されています。

CGAを実施するタイミング

 本ガイドラインでは「看護師は入院、退院支援、訪問看護の導入、高齢者施設の入所・入居に際して」CGAを実施することが望ましいとされています。患者の状態変化に伴い、療養場所やケア内容を調整するタイミングで、生活背景やADL、認知機能や療養に対する希望などを多面的に把握しやすい看護師が、CGAを通じてケアの方向性を考える役割を担うことが望まれます。

CGAツールの活用

 初診時や定期的なチェックではCGA7などのスクリーニングツールを使い、問題が疑われる要素については、個別の評価ツールを用いて詳細に確認します。入院時や入居・入所時には、系統的に詳細を把握するためにも、最初からフルセットで実施することも選択肢の1つとされており、各施設の状況に応じた実施体制の構築が推奨されます。

 ただし、CGAの実施には、人的・物的資源、多職種連携の体制、患者の医療依存度など、さまざまなハードルがあるのも事実です。だからこそ、「完璧にやる」ことをめざす前に、「まず一歩を踏み出す」ことが大切です。CGAのスクリーニングから個別ケアの実践まで、完璧に実施することにハードルを感じる前に、自施設で始められそうなことを、まずは1つから始めてみましょう。

 例えば、チームで「どの情報なら、みんなで集められそうか?」と話し合ってみる、CGA7のスクリーニングから試してみる、定例カンファレンスにCGAの視点を取り入れてみる、などです。そうした1つひとつの行動が、次の実践につながっていきます。

CGAは“多職種の共通言語”

 CGAは医療職だけでなく、介護・福祉関連職種にも理解しやすく、共有しやすい枠組みです。特に、介護職と日常的に連携する機会の多い看護師が中心となって、CGAの視点を活用することで、医療と介護の橋渡し役を果たすことも大いに期待されています。

*

 患者の暮らしを支援することは看護師の責務の1つです。CGAを行うことで、高齢者のケアの質を高めることが可能になります。まずは現場でできることから、あなたもCGAを始めてみませんか?

資料:CGAの要素と、各要素の評価ツールの概要

①スクリーニング

CGAのスクリーニング

②CGAで評価の対象となる要素

CGAで評価の対象となる要素の表
(文献1を参考に作成)
1.「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」研究班, 日本老年医学会, 国立長寿医療研究センター:CGA総論.高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024.南山堂,東京,2024:2.
2.小澤利男:老年医学の先駆者たち―老年医学を学び、研修する人々のために.ライフ・サイエンス,東京,2006.
3.Rubenstein LZ,Schairer C,Wieland GD,et al.:Systematic biases in functional status assessment of elderly adults: effects of different data sources.J Gerontol 1984;39(6):686-691.
4.鳥羽研二:高齢者総合的機能評価ガイドライン.日老医誌 2005;42(2):177-180.
5.日本老年医学会ホームページ:高齢者の機能評価.高齢者診療におけるお役立ちツール.
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/(2025.8.20アクセス)
6.鳥羽研二監修:高齢者総合的機能評価ガイドライン.厚生科学研究所,東京,2003.
7.前掲書1:86-89.

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せん妄から読み解く検査データとアセスメント

 せん妄の場合の検査データの見方、アセスメントのつなげ方を解説。事例を紹介しながら、原因を検査データと症状と結びつけながらアセスメントする方法をお伝えします。

※本記事は書籍『検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?』の内容を再構成したものです。

ココcheck

●せん妄は、急性に出現する脳機能障害である
●脱水・感染・薬剤など、1つの要因だけでは説明できないことが多い
●行動や意識の変化を手がかりに、検査データと結びつけて全身状態を考える

●「せん妄=高齢者あるある」ではない。原因を探す姿勢が大切
●検査データの「どこを、どう見る?」
●検査データと所見から、どうアセスメントする?

前回の記事:検査データをフィジカルアセスメントやSBARに活用する重要性

「せん妄=高齢者あるある」ではない。原因を探す姿勢が大切

 せん妄は、臨床現場で非常に頻繁に見られるにもかかわらず、「高齢だから仕方ない」「認知症があるから」と見過ごされやすいのが現状です。

 しかし、せん妄は脳の急性機能障害であり、その多くは、脱水や感染、薬剤の影響など、身体のどこかに起きた異常の結果として出現します(表1)。つまり、せん妄は病態そのものではなく、重要な“警告サイン”なのです。

表1 想定される原因・疾患
せん妄で想定される原因・疾患の表

 看護師は、せん妄を「行動の問題」として対応するのではなく、「なぜ今、この患者さんにせん妄が起きているのか」を、検査データと症状を結びつけながら考える視点が求められます。

せん妄を疑った場合のアドバイスとイラスト
ちょっと詳しく

身体的拘束
身体的拘束は、安全確保のために行われることがあります。しかし、感覚遮断や不安の増強を通じ、せん妄を悪化させる要因となることがあるため、必要性を常に再評価する視点が重要です。

検査データの「どこを、どう見る?」

検査項目とそれぞれの特徴、看護での着眼点の表

1.電解質:Na(ナトリウム)とCa(カルシウム)

①Na(ナトリウム)

 Naは脳細胞の浸透圧調整に深く関与しています。

●基準値:135~145mEq/L
●異常:低Na血症・高Na血症のいずれでも、せん妄や意識変容を引き起こす

 特に重要なのは数値そのものよりも、短期間での上昇や低下といった変化の大きさです。軽度の異常であっても、急激な変動があれば注意が必要です。

②Ca(カルシウム)

 Caは神経・筋の興奮性に関与しています。

●基準値:8.6~10mg/dL
●異常:低値ではしびれや不穏、高値では傾眠や意識低下といった形で、せん妄として現れることがある

 そのため、Caは「高いか低いか」だけでなく、症状と結びつけて評価することが重要です。

看護アセスメントの視点
電解質は「高い・低い」よりも、「どのように変わって、どのような症状が出ているか」を見ることが、看護の視点では重要です。

2.腎機能:BUN/Cr比(尿素窒素/クレアチニン比)

 BUN/Cr比は、脱水が関与しているかを考えるめやすです。BUN(尿素窒素)と Cr(クレアチニン)をセットで見ることで「腎臓そのものの問題か」「脱水の影響が強いのか」を考えます。

●基準値:約10が基準
●上昇:脱水の関与を疑う(ただし、いつもとの比較が重要)

看護アセスメントの視点
脱水や腎機能低下により老廃物が体内に蓄積すると、尿毒症性の意識変容やせん妄が出現することがあります。脱水があると、血液が濃縮され、BUNが相対的に上昇しやすくなるため、BUN/Cr 比が高くなるのです。だからこそ、BUNやCrをそれぞれ単独で見るのではなく、両者の関係や変化の経過をあわせて評価することが重要です。

3.感染徴候:WBC(白血球数)、CRP(C反応性タンパク)

 感染症は、せん妄の最も頻度の高い原因の1つです。

●基準値:【WBC】4,000~8,000/μL
     【CRP】0.14~0.3mg/dL以下
●上昇:軽度の上昇であっても、経過や他の症状とあわせて評価する

看護アセスメントの視点
特に高齢者では、典型的な症状(発熱や痛みなど)が目立たず、せん妄が感染症の初発症状として現れることも少なくありません。そのため、明らかな発熱がない場合でも、WBCやCRPの変化から感染が背景にないかを考える視点が重要です。

せん妄の原因の1つ感染症についてのコメント

4.血糖

 低血糖は脳機能を直接低下させ、急激なせん妄や意識障害を引き起こします。特に、糖尿病がある患者さんは、治療内容や食事摂取量の変化によって自覚症状が乏しいまま低血糖を起こすことがあるため注意が必要です。

●基準値:70~110mg/dL(空腹時血糖)
●低下:低血糖による意識障害を疑う

看護アセスメントの視点
せん妄が出現した場合には、原因検索と並行して、まず血糖を確認する視点が重要になります。「せん妄を見たら、もれなく血糖値も確認する」ことを習慣づけましょう。

5.薬剤の影響(血中濃度)

 中枢神経に作用する薬剤は、用量が適正であっても、高齢者ではせん妄を誘発することがあります。特に、腎機能が低下している場合には、薬剤が体内に蓄積しやすく、血中濃度の上昇や作用の遷延によって、せん妄として現れることがあります。

 そのため、せん妄を認めた際には、新しく開始された薬剤や容量の変更だけでなく、「いつも使っている薬」も含めて見直す視点が重要です。

せん妄の原因の1つ、薬剤の影響についてのコメント

6.患者さんの背景によって確認するデータ

 せん妄の背景が明確でない場合や、経過から別の要因が疑われる場合には、以下の検査データを状況に応じて追加で評価します。

●SpO2・動脈血液ガス:低酸素血症の有無を評価する。呼吸状態の悪化がせん妄の原因となることがある
●AST・ALT・NH3:肝機能障害や肝性脳症の鑑別に用いる。特に NH3は意識変容の評価に有用
●Hb:貧血による脳への酸素供給低下がないかを確認する
●TSH:甲状腺機能異常による代謝亢進・低下が意識状態に影響していないか評価する

せん妄の全身チェックについてのコメント

7.併せて見るべき症状と身体所見

①急性の変化かどうか

 「いつから様子が変わったのか」「昨日までとの違いは何か」を確認します。急性の変化であれば、せん妄をまず疑いましょう。

②身体的要因(優先的に除外する)

 「脱水」「感染」「低血糖」「低酸素」の有無を確認します。命に直結する要因から順に評価するのがポイントです。

③環境・薬剤要因の見直し

 「新しく開始された薬剤や用量の変更」「睡眠状況や環境の変化」が、身体的要因と重なっていないかを確認します。

せん妄をアセスメントするポイントについてのコメント

検査データと所見から、どうアセスメントする?

1.入院3日目に夜間の不穏が生じたAさん

●85歳男性、入院後3日目から、夜間を中心に不穏な様子が見られるようになった
●検査データ:Na128mEq/L(低値)、BUN/Cr比上昇
●所見:食欲低下あり

①アセスメント

●入院後の食事・水分摂取量の低下を背景に、脱水および低Na血症によるせん妄が疑われる
●夜間に症状が強くなる点からも、せん妄の特徴(日内変動)と一致している

せん妄の夜間症状についてのコメント

②看護の対応

●水分摂取状況の把握と管理
→摂取量・排泄量を確認し、脱水の進行がないかを評価する
●電解質補正の有無と経過の確認
→Na補正の方針や速度を把握し、急激な補正になっていないか観察する
●夜間の環境調整と安心できるかかわり
→照明や物音への配慮を行い、時間や場所が分かる声かけを行う

夜間不穏の患者についてのSBARでの報告の例(表)

2.急に「話がかみ合わない」状態となったBさん

●78歳女性、今朝、急に会話がかみ合わなくなり、反応が鈍い様子
●所見:発熱は認めない
●検査データ:WBC軽度上昇、CRPは7.0mg/dL(高値)

①アセスメント

●発熱がないものの、急性の意識・行動変化と炎症反応の上昇から、感染症(尿路感染症など)を背景としたせん妄が疑われる
●高齢者では、せん妄が感染症の初発症状となることがある点に注意が必要である

高齢者の感染についてのコメント

②看護の対応

●全身状態の観察と感染徴候の評価
→バイタルサイン、尿量・尿性状、呼吸状態などを観察する
●感染精査の進行状況を確認
→尿検査や培養検査の有無を確認し、結果を追跡する
●状態変化の早期共有
→せん妄の経過や意識レベルの変化をすみやかに医師へ報告する

話がかみ合わなくなった患者についてのSBARでの報告例(表)

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1.黒川清監修,春日雅人,北村聖,大西宏明編:臨床検査データブック2025-2026.医学書院,東京,2025.

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検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?の表紙

検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?
井上陽士、古賀雄二 編著
山本明彦 医学監修
照林社
2026年9月2日発売
B5版
2,970円(税込)

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検査データをフィジカルアセスメントやSBARに活用する重要性

 検査データを読むために看護師が知っておきたいことを解説。検査データをフィジカルアセスメントとともに見ること、検査データをSBARに盛り込むことの重要性を紹介します。

※本記事は書籍『検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?』の内容を再構成したものです。

●最も大切なのは「検査データとフィジカルアセスメントの統合」
●SBARは「伝達ミスを防ぐ型」である
●SBARに検査データを織り込むと、説得力がぐんと深まる

前回の記事:検査データを読む本当の目的は?看護師が知っておきたい読み方の基本

最も大切なのは「検査データとフィジカルアセスメントの統合」

 検査データは、それだけで患者さんの状態を語ってくれるものではありません。数値と、目の前の患者さんから得られる情報とを重ね合わせたとき、はじめて臨床的な意味を持ちます。

1.「検査データ→フィジカルアセスメント所見」の順に見る場合

 たとえば、CRPが高いという結果が出たとします。この数値だけでは、「どこかに炎症がある」ということしかわかりません。

 しかし、発熱の推移、呼吸音、創部の状態、尿の性状、カテーテルの刺入部、白血球の数と分画といった情報を重ねていくと、炎症の原因がどこにありそうかが見えてきて、観察の焦点が定まります。

 本書の各症状の解説で「併せて見るべき症状と身体所見」を必ず示しているのは、このためです。

2.「フィジカルアセスメント所見→検査データ」の順に見る場合

 逆に、フィジカルアセスメントで感じた違和感を、検査データが裏づけてくれることもあります。

 「呼吸が浅い気がする」「反応が鈍い」といった気づきは、経験を重ねるほど大切にしたい感覚です。それを電解質の異常や貧血の進行、炎症の悪化といったデータと結びつけて説明できれば、あなたの気づきは「なんとなく」から「根拠のある判断」へと変わります。

 この行き来を助けてくれるのが、本書Part1で整理した「疾患と症状のつながり」です。ある症状の背景にどのような疾患が考えられ、その疾患ではどのような検査データが動くのか。この地図を頭に入れておくと、目の前のデータと患者さんを1つの像として結びやすくなります。

 データを見たら患者さんのところへ、患者さんを見たらデータへ。この往復を繰り返すうちに、統合的なアセスメントの「型」が自然と身についていきます。数値と患者さんを別々に見るのではなく、常に重ね合わせて考える。それが看護のアセスメントの醍醐味だいごみです。

SBARは「伝達ミスを防ぐ型」である

 読み取ったことを患者さんのケアに活かすには、それを的確に「伝える」力が欠かせません。ここで役立つのが、SBARという報告の枠組みです。SBAR は、Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案)の頭文字をとったもので、医師への報告やチーム内の情報共有で広く使われています。

1.SBARを用いれば、情報の抜け・漏れを最小限にできる

 SBAR が医療安全の分野で重視されているのには理由があります。
 医療事故の背景を分析すると、その多くに「情報がうまく伝わらなかった」という要素が関わっていることがわかっています。

●伝える側は言ったつもりでも、受け手には肝心な点が届いていない
●何が問題で、どうしてほしいのかが曖昧あいまいなまま話が終わってしまう

 こうした伝達のずれが、対応の遅れや判断の誤りにつながっていくのです。

 SBARは、この「伝わらなさ」を型の力で防ぐ道具です。焦っているときや相手が忙しそうなときほど、人は要点を飛ばしたり、順序が前後したりしがちです。あらかじめ4つの箱が用意されていれば、緊張していても「今どこを話しているか」を見失わずにすみます。

 とりわけ経験の浅いうちは、頭のなかが整理しきれないまま電話に手が伸びるものです。そんなとき、SBAR という枠が、伝えるべきことの抜け落ちを防ぐ支えになってくれます。

2.最も重要なのは「必要な情報を過不足なく伝える」こと

 大切なのは、SBARの「型を満たすこと」自体が目的ではない、ということです。SBARは「相手に正確に伝わり、必要な対応が遅れずに始まること」を目的として使うツールです。だからこそ、それぞれの箱に何を入れるかが問われます。

SBARに関するアドバイスとイラスト

 なお、近年では SBARの前後に2つの要素を加えた、I-SBAR-C という形も広がっています(表1)。報告前に名乗ること(Identify:特定)、報告の最後に受けた指示を復唱すること(Confirm:確認)です。この最初と最後のひと手間が、患者取り違え・指示の聞き間違いを防ぐことにつながります。

 本書ではSBARを基本として解説しますが、この2つの確認も、ぜひ習慣にしてください。

表1 I-SBAR-C
I-SBAR-Cの表

3.伝える力は、一朝一夕に身につくものではない

 こうした「伝える力」は、1人で机に向かって身につくものではありません。私自身、先輩看護師とともに
 「私はこう考えたのですが、どうでしょう?」
 「その視点なら、この値も見てみたら?」
と考えを行き来させるなかで、アセスメントの力を育ててもらいました。この思考のラリーは、とても大きな学びになります。

 本書の Part2・Part3では、すべての事例にSBARの報告例を載せ、Part3では若手看護師と先輩看護師がやりとりしながらアセスメントを深めていく様子を描きました。どの情報がどの箱に入っているか、そして先輩がどこに着目したかを、意識しながら読んでみてください。

SBARに検査データを織り込むと、説得力がぐんと深まる

 SBARの効果を最大にするのが、各段階に検査データを的確に織り込むことです。数値は、報告を「客観的な根拠」で裏づけてくれます。順を追って見てみましょう。

1.検査データは「B(背景)またはA(評価)」に盛り込む

 まず、S(状況)では、いま何が起きているかを簡潔に伝えます。「Aさんに 38.9℃の発熱があります」といった、報告のきっかけとなる事実です。

 次のB(背景)で、その状況を理解するために必要な情報を添えます。ここに検査データが効いてきます。「本日の採血で白血球とCRPが上昇しています」というように、経過のなかの変化としてデータを示すと、状況の重みが伝わります。

 続くA(評価)は、それらの情報から自分がどう考えたかを述べる部分です。「呼吸数の増加と SpO2の低下、湿性咳嗽もあり、誤嚥性肺炎が疑われます」というように、データと所見を根拠に自分の見立てを言葉にします。ここで検査データを引用できるかどうかが、報告の説得力を左右します。

 そして最後のR(提案)で、「追加検査や今後の対応について、診察をお願いしたいです」と、具体的な行動を提案します。

2.検査データを盛り込むことは、緊急性の共有につながる

 検査データを織り込むことには、2つの安全上の意味があります。

 1つは、命にかかわる値を見逃さず、その緊急度を相手と共有できることです。たとえばパニック値は、数字を添えて伝えるだけで、報告を受けた側の反応の速さが変わります。「Kが6.5です」の一言が、対応の初動を早めるわけです。

 もう1つは、職種のあいだの認識のずれを埋められることです。医師、薬剤師、管理栄養士、リハビリテーションの専門職は、それぞれの視点で検査データを見ています。数値を根拠に伝えることで、同じ事実の上で話ができ、解釈の食い違いが起きにくくなります。

3.「迷ったら報告」の癖をつける

 忘れてはいけないのが、報告は「ためらわずに、早めに」という原則です。確信が持てないうちは声を上げにくいものですが、迷ったら報告する、という姿勢が患者さんを守ります。

 看護師が診断をくだすことはできません。しかし、身体所見と検査データをていねいに結びつけ、「〇〇かもしれません」と推論して伝えることはできます。その一言が、医師の判断を速く、正確にし、早期の対応を引き出します。

 本書で学ぶ検査データの知識は、こうして「伝える力」と結びついたとき、はじめて臨床で本当の意味を持つといえるのだと思います。

次の記事:せん妄から読み解く検査データとアセスメント

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検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?の表紙

検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?
井上陽士、古賀雄二 編著
山本明彦 医学監修
照林社
2026年9月2日発売
B5版
2,970円(税込)

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検査データを読む本当の目的は?看護師が知っておきたい読み方の基本

 検査データを読むために看護師が知っておきたいこととは?検査データを読む目的、検査データを読む際に身につけたい姿勢、検査データが測定している成分の量について解説します。

※本記事は書籍『検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?』の内容を再構成したものです。

●検査データは「アセスメントの根拠」である
●検査データは「単独」ではなく「組み合わせて」読む
●その成分の「産生・消費・分解」の経路をイメージする

 みなさんは、受け持ち患者さんの検査結果を開いたとき、何を思い浮かべるでしょうか。基準値から外れた数値、HやLの印がついた項目を探すこと。それはもちろん大切です。

 しかし、検査データを読む本当の目的は、異常値を見つけることそのものではありません。目の前の患者さんに、いま何が起きているのかを考え、次にどうケアするかを判断するための「根拠」を得ることにあります。

検査データは「アセスメントの根拠」である

 看護のアセスメントは、患者さんから得られるさまざまな情報を集め、意味づけ、統合していく思考のプロセスです。バイタルサイン、フィジカルアセスメントで得た所見、患者さんの訴え、そして検査データ。これらは、それぞれ単独では断片的な情報にすぎません。しかし、組み合わせて読み解いたとき、はじめて患者さんの全体像が立ち上がってきます。

 そして、その検査データのいちばん近いところにいるのが、看護師です。採血や検体の採取を担い、出てきた結果に最初に目を通すのも、多くの場合は看護師です。

 さらに、24時間そばで患者さんを見ているからこそ「何だか、いつもと様子が違う」と最初に気づくのも看護師であることが少なくありません。その小さな気づきをきっかけに検査データを確認するという流れは、看護師にとってごく自然なものです。

 たとえば「何となく元気がない」という感覚的な気づきがあったとします。これだけでは、報告しても相手に伝わりにくいです。ところが、そこに「ヘモグロビンの低下」という検査データが加わると、「貧血が進行しているのかもしれない」という仮説が立ちます。さらに便の色や血圧の変化が確認されれば、消化管出血という可能性まで見えてきます。検査データは、こうした「気づき」を「根拠のある判断」へと変えてくれる、看護師の力強い味方なのです。

 本書は、検査データを暗記するための本ではありません。1つひとつの数値が、患者さんの身体で起きているできごととどうつながっているのかを理解し、ケアの判断に活かせるようになることをめざしています。数値の向こう側にいる患者さんを見つめる。その姿勢こそが、検査データを読む力の出発点です。

患者さんのアセスメントの図

検査データは「単独」ではなく「組み合わせて」読む

 検査データを読むときに、まず身につけてほしい姿勢があります。それは、1つの数値だけを見て判断しないということです。

1.「複数の検査データ」を組み合わせて見る

 検査結果の一覧を見ると、基準値から外れた項目にHやLの印がついています。そこに目が行くのは自然なことですし、大切な着眼点でもあります。しかし、1つの数値が異常を示していても、それだけで何かを結論づけることはできません。反対に、複数の数値を関連づけて見ると、1つずつ見ていたときには気づけなかった病態が浮かび上がってくることがあります。

 たとえば、発熱している患者さんの白血球が増えていたとします。この数値だけでは「感染か炎症がありそうだ」ということしかわかりません。

 しかし、そこに白血球分画(好中球かリンパ球か)、CRP(C 反応性タンパク)、PCT(プロカルシトニン)、そして局所の症状(咳・痰や排尿時痛など)を重ねていくと、「細菌感染らしい」「感染源は肺かもしれない」というように、見立ての解像度が上がっていきます。

 いくつかの情報を突き合わせて「○○ではないか」と仮説を立て、別の情報で確かめていく。この一連の思考が、臨床推論の入り口です。

2.同じ項目の「前回値」と比べる視点も不可欠

 基準値の範囲内でも、前回から大きく動いている数値には重要な意味が隠れていることがあります。たとえば、Cr(クレアチニン)が 0.6mg/dL から1.0mg/dL に上がった場合、どちらも基準範囲内ですが、腎機能がかなり低下したサインかもしれない、ということです。検査データを「点」ではなく、時間の流れのなかの「線」としてとらえることが大切です。この「線で読む」姿勢は、やがて「予測しながら読む」力へとつながっていきます。

 本書の Part3では、心不全で入院した患者さんの事例をとおして、NT-proBNP や Cr、Hb が経過のなかでどう動いたかを、時間軸で読み解いていきます。1つの数値ではなく、複数の値が「前回と比べてどう変わったか」を追うことで、病態がなぜ、どのように動いたか、という流れが見えてくることでしょう。

 受け持ち患者さんの検査データを見る前に「今日はどの値が、どちらに動いているだろう」と一呼吸おいて予測してみる。その小さな習慣の積み重ねが、数年後のアセスメント能力に大きな差を生みます。

 組み合わせて読み、時間の流れのなかで読む。この2つを意識するだけで、同じ検査結果からずっと多くのことが見えてきます。

検査値の予測についてのコメントとイラスト

その成分の「産生・消費・分解」の経路をイメージする

 検査データの多くは「血液中に含まれる成分の量」を測っています。では、その成分の量はどうやって決まるのでしょうか。

 ここで役に立つのが、それぞれの成分が、体内の「どこで作られ(産生)」「どこで使われ(消費)」「どこで壊されて排出されるか(分解・排泄)」という経路をイメージすることです。

1.異常の原因は「産生・消費・分解」のどこにあるかを考える

 血液中の成分の量は、洗面台をイメージするとわかりやすいです。
 
 たまっている水の量(検査値)が変化したとき、その原因は
 「蛇口が開きすぎた(産生の増加)」のか、
 「排水口が詰まった(分解・排泄の低下)」のか、
 「使う量が増えた(消費の変化)」のか、と見当をつけていきます。

 たとえば、ビリルビンは、古くなった赤血球が壊れるときに作られ、肝臓で処理されて胆汁として排泄されます。T-Bil(総ビリルビン)が高いときには「赤血球が壊れすぎている(産生の増加=溶血)」のか、「肝臓の処理が追いつかない(肝細胞の障害)」のか、「胆道が詰まっている(排泄の障害)」のか…と経路に沿って考えれば、次にどの検査データを見るべきかが見えてきます。

 また、BUN(血液尿素窒素)であれば、主に肝臓でアンモニアから作られ、腎臓から排泄されるという流れを知っていれば、その値が腎機能だけでなく脱水や消化管出血でも動く理由が理解できます。

2.経路を理解していれば、数値を暗記する必要がない

 この「産生→消費→分解・排泄」という見方のよいところは、丸暗記に頼らずに数値を理解できることです。

 経路を知っていれば、初めて出会う病態でも「この経路のどこかが障害されているのだな」と推論できます。知識が応用の利く「使える知識」に変わるということです。

 本書では、それぞれの検査項目を解説するときに、可能な限りこの産生・消費・分解の経路に触れるようにしました。少し遠回りに感じるかもしれませんが、この理解が、あとで大きな力になります。

次の記事:検査データをフィジカルアセスメントやSBARに活用する重要性

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検査データって看護アセスメントにどう活かしたらいいですか?
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貫地谷しほりさんらが登壇―認知症普及ショート・ドキュメンタリー『one day of life』完成披露イベント

 厚生労働省の認知症普及啓発事業の一環として制作されたショート・ドキュメンタリー『one day of life』の完成披露イベントが都内で開催。ナレーションを務めた俳優の貫地谷しほりさんらが登壇しました。

認知症とともに生きる当事者の「1日」を映した作品

 厚生労働省公式YouTubeチャンネルにて、9月8日より配信されている認知症普及ショート・ドキュメンタリー『one day of life』。認知症とともに生きる2人の当事者の「1日」に密着したドキュメンタリーです。
 “高知編”では、3人の子どもを育てるなか、41歳で若年性認知症と診断された山中しのぶさん、“香川編”では72歳で認知症と診断された渡邊康平さんが主人公となっています。

 9月は世界アルツハイマー月間・認知症月間ということで、9月7日に完成披露上映&トークイベントを実施。貫地谷しほりさん、山中しのぶさん、山国秀幸プロデューサーが登壇しました。

one day of life完成披露イベント登壇者3人
© Ministry of Health, Labour and Welfare, All Rights reserved.

「腫れ物扱いをされなくてよかった」との言葉が印象的

 本編の感想を聞かれると、山中さんは「普段はなかなか聞けない子どもたちの声を聞けて、母としてうれしい気持ちになりました」とコメント。
 ナレーションについて、貫地谷さんは「見た方々が自分たちで解釈することをじゃましないよう、感情移入しすぎないことを心がけました」と振り返りました。

 自分らしく生活するために心がけていることとしては、「認知症になる前は、しんどいときにしんどいと言えない性格で、まわりの人から頼られるほうだったんですよ。でも、認知症になってからは自分の苦手なことを素直に相手に伝えるようにしています」と山中さん。
 それでもつらいときは、『one day of life』というタイトルのように、「次の日はくる、明日は今日よりいいことがあると、自分のなかで消化するようになりました」と話しました。

 貫地谷さんは、劇中での山中さんの「腫れ物扱いをされなくてよかった」という言葉が印象的だったとのこと。
 「当事者ではない人は、寄り添ったほうがいいのかなと、いつもと違う発想をしてしまいがちだと思います。でも、人と人としてかかわるだけなのだとあらためて感じました。薬を飲み忘れていないかをスタッフが確認したときの山中さんの『ありがとう』という受け取り方もすごくナチュラルで。『言ったら大丈夫なのかな』ではなく、ひと言かけて『ありがとう』で終わる、そうしたコミュニケーションのあり方を学ばされた作品でした」と語りました。

one day of life完成披露イベントに登壇した貫地谷しほりさん
© Ministry of Health, Labour and Welfare, All Rights reserved.

1日1日を大事に生きる認知症の人の想いを大切に

 山国プロデューサーは本作の企画について、「『life』は『生活』『人生』のほかに『命』という意味もあります。日々の延長だけれど、とても尊い、かけがえのない1日というコンセプトにしようと考えました」と説明。
 「ところが、撮影に行くとタイトルを超えるような愛おしい人たちがたくさんいて。渡邊さんや山中さん、そのご家族と一緒にいる心地よさを感じました。1日1日を大事にしているお二人の姿を見て、皆さんの心に残るものがあればいいなと思っています」と続けました。

 本作を多くの人、特に子どもに見てほしいという山国プロデューサー。「山中さんが認知症と診断されたとき、息子さんたちは小学生、中学生、高校生でした。3人の姿やお話から、大人より子どものほうが認知症を偏見なく自然に受け入れて、自然にコミュニケーションをとっているのではと思いました。ぜひ若い人に見てほしいですね」(山国プロデューサー)

 さらに、 “香川編”に登場した渡邊康平さんの妻・昌子さんからのメッセージも到着。「認知症になってもおしまいではないし、怖くもない、そして楽しく暮らすことができる、ということを、主人の姿から皆さまへお伝えできたらと思います。そのためには、周囲の人々が本人の想いを大切にすることが一番だと思っています」との言葉が寄せられました。

花束をもつ山中しのぶさんと貫地谷しほりさん
© Ministry of Health, Labour and Welfare, All Rights reserved.

 最後のあいさつでは、山中さんが「皆さんの近くにいる認知症の方にも今日があり、明日があります。その方にもできることがたくさんあるので、一緒にやろうと声をかけて、希望のリレーをつないでいってほしいです」と呼びかけ。

 貫地谷さんは、「私も山中さんのようにバイタリティーあふれる人になっていきたい、渡邊さん夫妻のような夫婦になっていきたいと思いました。この作品をたくさんの方に見ていただけることを願っています」と、思いを語りました。

one day of lifeのポスター
© Ministry of Health, Labour and Welfare, All Rights reserved.

認知症普及ショート・ドキュメンタリー『one day of life』
高知編:15分29秒
香川編:14分55秒
配信日:2026年9月8日(火)14:00
配信先:厚生労働省公式YouTubeチャンネル

ナレーション:貫地谷 しほり
出演:渡邊康平、山中しのぶ
主題歌:THE CHARM PARK「Amber Eyes」 
企画・プロデュース:山国秀幸
監督・撮影・編集:佐々木航弥
制作:ワンダーラボラトリー
製作:厚生労働省
© Ministry of Health, Labour and Welfare, All Rights reserved.

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映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』がんを患い24歳で亡くなった女性の実話

 川口春奈さん主演の映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が10月2日(金)に公開。24歳で大腸がんにより亡くなった遠藤和のどかさんによる同名手記が原作です。

21歳のとき、ステージIVの大腸がんと診断

 2018年、21歳でステージIVの大腸がんと診断された遠藤和さん。治療開始の翌年に、交際中だった将一さんが、和さんにプロポーズをしました。「病気でも幸せになれることを伝えたい」との思いから『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)の「結婚式の旅」のコーナーに応募。テレビで放送された2人の結婚式の様子が注目を集めました。

 和さんが妊娠、出産、子育ての日々を、亡くなる10日前まで綴った日記は、「ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記」(小学館刊)として書籍に。その本を原作に、このたび映画が制作されました。

『ママがもうこの世界にいなくても』場面写真_ドライヤー中の和と将一
©遠藤和/小学館 ©2026「ママがもうこの世界にいなくても」製作委員会

愛する人との子どもを望み、選んだ道は――

 青森で暮らす遠藤和(演・川口春奈さん)と将一(演・高杉真宙さん)。「一分一秒、一緒にいたい」「この人と生きていきたい」と、未来への希望を胸に、幸せな日々を送っていました。

 そんななか、和はステージⅣの大腸がんを宣告されます。「もう治らないんだって」とやりきれない思いを口にする和の一方で、将一は彼女を「一生大切にする」と決意を固めます。

 結婚したい。家族になりたい。そして、私たちの子どもに会いたい――。

 卵子凍結を希望する和と、自分の体を優先してほしいと望む将一。葛藤しながらも選んだ、抗がん剤治療を中止するという命がけの選択肢の先で、新しい命と出会います。

 わずかな余命のなかでの、「今が一番、幸せ」という言葉。過酷な運命を力強く、幸せに生き抜いた和の姿が描かれます。

『ママがもうこの世界にいなくても』場面写真_和を抱きしめる将一
©遠藤和/小学館 ©2026「ママがもうこの世界にいなくても」製作委員会

AYA世代のがん患者さんもエキストラとして出演

 和を演じた川口春奈さんは、大腸がんの進行をリアルに表現するため、自ら順撮りや減量を提案したとのこと。「和さんの人生を自らの身体で残すことができたらと強く思い、肉体的にも精神的にもすべてを捧げる覚悟で取り組みました」と語っています。

 将一役の高杉真宙さんは、「川口さんの熱意、優しさ、まわりへの気遣いを隣で見ながら、僕も和さんにとっての将一さんのようになれるよう、寄り添い支える立場として同じ時間を過ごしました」と振り返りました。

 和の父親役にデビット伊東さん、母親役に小林聡美さん、担当医役に星野真理さん、和と同じ病院に入院するがん患者役に森田望智さんが出演。また、がん患者どうしの交流シーンでは、AYA世代のがん患者さんがエキストラとして参加しました。

『ママがもうこの世界にいなくても』場面写真_病院での和とひかり
©遠藤和/小学館 ©2026「ママがもうこの世界にいなくても」製作委員会

 舞台は青森県ということで、和と将一のデートシーンは、青森港が広がる青森ベイプロムナードで撮影。将一が子供をもつ覚悟を打ち明けるシーンは、青森市新町商店街がロケ地になるなど、青森の風景のなかで2人の思いが映し出されます。

『ママがもうこの世界にいなくても』メインビジュアル_結婚式
©遠藤和/小学館 ©2026「ママがもうこの世界にいなくても」製作委員会

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『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』
10月2日(金)全国公開
出演:
川口春奈 高杉真宙
松本穂香 中島瑠菜
清水くるみ 笠原秀幸 豊本明長 一ノ瀬颯
星野真里 森田望智
デビット伊東 小林聡美
原作:遠藤和「ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記」(小学館刊)
監督:山戸結希
脚本:樋口幸之助/山戸結希 藤野眞功 
音楽:Vampillia 
主題歌:Vaundy「しわあわせ」(SDR)
配給:東映
©遠藤和/小学館 ©2026「ママがもうこの世界にいなくても」製作委員会
公式ホームページ:https://www.mamaseka-movie.com/
公式X、Instagram、TikTok:@mamaseka_movie

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