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『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』が公開

飲酒による疾病発症リスクが示される

 厚生労働省は2月19日、飲酒による身体への影響や過度な飲酒による疾病別の発生リスクなどをまとめた『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』を公開しました¹。ガイドライン作成の背景として、アルコール健康障害対策基本法に基づいて策定された「アルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)」に「飲酒ガイドラインの作成」が示されていることがあります。

 年齢、性別、体質などによる飲酒による影響の違いや飲酒量の把握のしかたなどが示され、飲酒や飲酒後の行動・判断に役立つものをめざすとしています。

 ガイドラインでは、個々人の疾患発症リスクに着目し、1日20gの純アルコール(男女共通)を摂取すると大腸がんの発症リスクが上昇すると考えられるなど、たとえ少量であっても飲酒することで発症リスクを上げてしまう疾病をまとめています。また、「あらかじめ量を決めて飲酒する」「1週間のうち、飲酒しない日を設ける」などの「健康に配慮した飲酒の仕方について」が示されています。

健康に配慮した飲酒のしかたについて(文献1を参考に作成)

1.自らの飲酒状況等を把握する
2.あらかじめ量を決めて飲酒する
3.飲酒前または飲酒中に食事をとる
4. 飲酒の合間に水(または炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする
5.1週間のうち、飲酒しない日を設ける

※純アルコール量20gは、ビール中びん1本(500g)、日本酒1合(180mL)、缶チューハイロング缶1缶(500mL)相当に該当する²。

1.厚生労働省:別添 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン.
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf(2024.3.20アクセス)
2.アルコール健康医学協会ホームページ:お酒と健康 飲酒の基礎知識.
https://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html(2024.3.20アクセス)

『健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言』が示される

情報インフラや電子カルテ機能などの見直しを求める

 日本医学会連合は2月5日、『健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言』を公表しました¹。これは「日本の健康・医療分野におけるデータ活用環境を健全なものとし、すでに日本が突入した人口減少に向かう超少子高齢社会時代に質の高い医療を効率良く提供し、また健康・医療DX 時代における国際競争に日本が勝ち抜く基盤を構築すること」を目的として取りまとめたものです。

 提言によると、2020年度の電子カルテの導入率は医療現場全体で50%程度である一方で、2022年度のレセプト電算*化率は医科・歯科・調剤すべてで90%を超えており、導入が進んでいる現状があるとしています¹。

 このような「まだらデジタル化」の他にも、スマートフォンの普及に伴うIoT機器の活用増加や、海外でのビッグデータ活用事例なども挙げ、日本をとりまくビッグデータの現状を統括したうえで、ビッグデータの生成や活用の「あるべき姿」に重点を置いた4つの提言を示しています。

健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言

1. 平時にも有事にも機能する個人を中心とした健康・医療情報インフラの早期実現
 【提言先:内閣府】
2.電子カルテ機能の抜本的見直しと標準化
 【提言先:厚生労働省、経済産業省】
3. 個人情報に関する健康・医療分野個別法「健康・医療情報利活用法」の制定
 【提言先:個人情報保護委員会、法務省、文部科学省、厚生労働省】
4.データ利活用促進のための人材育成
 【提言先:文部科学省、厚生労働省】

(文献1を参考に作成)

*【レセプト電算】保険医療機関や保険薬局が、電子レセプト(医療機関が保険者に提出する月ごとの診療報酬明細書)をオンライン・電子媒体で審査支払機関に提出し、同機関から保険者に明細書を送れるシステム。

1.日本医学会連合:健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言.
https://www.jmsf.or.jp/uploads/media/2024/02/20240206154728.pdf(2024.3.20アクセス)

透析医療についての最新情報・知識収集の場、第69回日本透析医学会学術集会・総会が開催

 2020~2021年ころから慢性透析患者総数の増加傾向の鈍化、人口100万人あたりの透析患者有病率の減少などがみられていますが、世界的規模から日本での透析患者が多い事実は変わりません。しかしそのようななかで、透析治療において優秀な生存率を確立しているのは、透析医療者による功績にほかなりません。

 2024年6月7~9日に、第69回日本透析医学会学術集会・総会が神奈川県にて開催されました。日本透析医学会(武本佳昭理事長)は1968年に人工透析研究会として発足し、透析療法を中心とした血液浄化療法に関する学術の発展に寄与することを目的として活動しています。

 同学術集会のテーマは「前進 腎代替療法 ~次世代のinterprofessional academismを目指して~」。「interprofessional academism」=「チーム医療の叡智」の意で、医療チームが在宅透析や施設透析、腎移植のすべてを通して腎代替医療の担い手となり、腎臓病を抱える患者さんへの医療を生涯通じて支えるべき、といった考えのもとつけられました。

最先端の治療から緩和治療まで、透析医療の議題は多岐にわたる

 講演・ポスター展示ともに非常に多くの発表がなされ、最先端の治療やケアに関すること、次世代を見すえた課題への取り組みについても多くの講演で取り上げられていました。

 8日(土)には、日本腎不全看護学会と日本透析医学会の合同企画シンポジウム「Successful aging/terminal stageを目指した腎不全看護」が開催され、高齢患者にスポットを当て、「患者のもてる力の支援」「意思決定支援」「ターミナルステージでの支援」などについて各演者の経験を交えた発表が行われました。
 ほか講演でも、現代におけるACP(アドバンス・ケア・プランニング)やCKM(保存的腎臓療法)、緩和的透析といった患者の終末期を意識した内容を含んだ発表・質疑も活発に行われ、熱心に聞き入る参加者の姿も多く見られました。。

 次回、第70回日本透析医学会学術集会・総会は、2025年6月26日(木)~29日(日)に大阪にて開催予定です(※6月26日は、理事会、総会<評議員のみ出席>)。

講演会場を行き来する、多くの参加者。
会場に設定されたフォトスポット。参加者らが自由に撮影できる。

○学術集会概要
学会名:第69回日本透析学会学術集会・総会
テーマ:前進 腎代替療法 ~次世代のinterprofessional academismを目指して~
会期:2024年6月7日(金)~9日(日)
会場:パシフィコ横浜
会長:酒井 謙(東邦大学医学部腎臓学講座 教授)

○学会情報
一般社団法人 日本透析医学会
HP:https://www.jsdt.or.jp/

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日本褥瘡学会がMDRPUの日本語名称を「医療関連機器褥瘡」に変更すると発表

 日本褥瘡学会は2月、MDRPU(medical device related pressure ulcer)の日本語名称をこれまでの「医療関連機器圧迫創傷」から「医療関連機器褥瘡」に変更すると発表しました¹。

 MDRPUとは自重によるものではない圧迫創傷を指し、同学会では「医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷であり、厳密には従来の褥瘡すなわち自重関連褥瘡(self-load related pressure ulcer)と区別されるが、ともに圧迫創傷であり広い意味では褥瘡の範疇に属する」と定義しています²。

 「医療関連機器褥瘡」は、英語名の MDRPUとMDRPI(medical device related pressure injury)両方の意味を含みますが、“M(medical)”を抜き、DRPUと表記している国もあるため、同学会は“M”を含めるかの検討を重ねていくとしています¹。

 褥瘡のうち、医療関連機器によって生じるものが、一般・大学病院で約10~20%、小児専門病院では約56%です³。同学会はホームページにて医療安全として予防に取り組むよう呼びかけるポスターを公開しています⁴。

1.日本褥瘡学会ホームページ:「医療関連機器圧迫創傷」の名称変更について.
https://www.jspu.org/medical/mdrpu/docs/mdrpu.pdf(2024.3.20アクセス)
2.日本褥瘡学会ホームページ:用語集 医療関連機器圧迫褥瘡.
https://www.jspu.org/medical/glossary/(2024.3.20アクセス)
3.日本褥瘡学会 実態調査委員会:第4回(平成28年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告3 療養場所別医療関連機器圧迫創傷の有病率,有病者の特徴,部位・重症度,発生関連機器.褥瘡会誌 2018;20(4):488.
4.日本褥瘡学会:医療関連機器圧迫創傷を知っていますか.
https://www.jspu.org/medical/mdrpu/docs/mdrpu.pdf(2024.3.20アクセス)

倫理的問題は身近なところにある

 今年5月に発売した『今だからこそ知りたい 臨床で倫理的問題にどう向き合うか』(ウィリアムソン彰子 編・神戸大学医学部附属病院看護部 著、照林社)は、日ごろの看護業務や、多職種とのやりとりで感じる「これでいいのだろうか?」というモヤモヤの本質である倫理的問題を考える1冊です。今回は、特別に試し読み記事を全3回でお届けします。 

 第1回目は、倫理に関する基礎知識を解説した一部をご紹介します。書籍の試し読みはこちらからどうぞ。

倫理的問題は身近なところにある

 みなさんは、日々、臨床で看護実践を行うなかで「これでいいのかな?」とモヤモヤした思いを抱えてはいませんか? そのモヤモヤの多くは、倫理的問題をはらんでいます。

 モヤモヤした思いが生じるのは、そこにジレンマ、すなわち「どちらが正しく、どちらが間違っているのかがはっきりしない微妙な問題」が存在するからです。

看護業務におけるジレンマ

 看護師は、24 時間をとおして最も近くで患者にかかわる専門職です。そのため、日常の看護ケアにおいて「これでよいのだろうか?」というジレンマを感じることがあるでしょう。例えば「終末期患者の体位変換や頻回な痰の吸引などは、どこまでするか」といった場面を考えてみます。定期的な体位変換は、褥瘡や肺炎を予防するために不可欠です。でも、それによって患者の苦痛が強くなる場合はどうでしょう。ジレンマが生じませんか?

 また、患者と家族、家族間での意見の相違によって患者の自律が尊重されない場合にも、ジレンマが生じます。例えば「患者が配偶者と話し合い、ベストサポーティブケアの方針となっていたのに、これまで一度も見たことのない子どもがやってきて話を覆し、治療や入院継続を希望する」などです。

 効率よく看護ケアを提供することだけを重要視すると、患者の自律性が損なわれてしまいます。看護師には、いかなる場合でも「人間としての尊厳や権利を尊重して行動すること」が求められます。そのため、患者の自律性を尊重しながら、効率よく看護ケアを提供するにはどうしたらよいか、看護スタッフあるいは医療チーム全体で業務改善に向けて話し合う必要があります。

職種間でのジレンマ

 近年、チーム医療が推進されています。多くの診療科や専門職がかかわるなか、それぞれの価値観の違いから、患者にとっての最善について意見が対立することもあるでしょう。このような場面で、もし「誰か 1 人の意見が優先」されていたとしたら、それは本当に最善の判断といえるでしょうか? いえませんよね。

 医療は不確実性を含むので「患者にとっての最善=患者が望む結果」とならないこともあります。

 だからこそ、かかわる人の価値観(何を大切にしているか)を互いに理解したうえで、患者にとっての最善とは何か、合意形成に向けて話し合う必要があります。

 臨床では、倫理的問題を解決するために、多職種で倫理カンファレンスを行います。ここでは、倫理カンファレンスを行う際に、私たち看護師が知っておくとよい倫理学の知識を、以下の分類ごとに説明していきます(図1)。

非規範倫理学は「倫理の基本」となる概念

 倫理理論や倫理思想といった研究領域は、記述倫理学または倫理思想史と呼ばれます。これらの記述された倫理思想は、現実で生じる倫理的課題に対処するときの「理由づけ」として活用される知識です。

 倫理的判断を行うとき、倫理理論を理由づけに使用するためには「ことばの意味が共有されていること」が前提条件となります。そのため非規範倫理学は「倫理の基本」となる概念に、用語の意味について分析研究するのがメタ倫理学という領域です。規範や価値を示すのではなく、「倫理的判断に必要となる概念を共通認識するための説明」が、メタ倫理学の目的となります。

臨床につながるワンポイントアドバイス

 倫理原則を「守らなければならないもの」と認識すると道徳的ジレンマが生じます。今、自分のなかにあるモヤモヤとした気持ちがなぜ起きているのか整理するために活用することをお勧めします。

つづきは書籍で!

今だからこそ知りたい  臨床で倫理的問題にどう向き合うか
ウィリアムソン彰子 編、神戸大学医学部附属病院看護部 著
B5・128ページ・定価 2,420円(税込)

1.Fry ST,VeatchRM.Casestudiesinnursingethics 3rd ed.Jones&Bartlett,Boston:2006

能登半島地震被災地における褥瘡ケア支援

石川県立看護大学の支援チームが独自に始めた取り組み

 2024年5月、山口県下関市で開催された第33回日本創傷・オストミー・失禁管理学会で壇上に立った真田弘美・石川県立看護大学学長は、「元旦早々に能登半島を直撃した震度5強の地震で被災された方々の褥瘡ケアにおいてご支援いただいた、当学会に所属するWOCナースや褥瘡の専門家・研究者、企業の方々、そして学会員の皆様に心より感謝します」と言って深々と頭を下げられました。

 発災直後、石川県立看護大学では危機管理本部を設置し、学生の安否確認体制を整備するとともに、学習継続や看護師国家試験受験のための綿密な体制づくりに取り組む一方で、被災地に最も近い看護大学として被災地支援を積極的に行っていく方針を固めました。

 具体的には、災害対策本部を置いて、①能登地域の看護高等学校教育支援部会、②避難所支援部会、③褥瘡ケア支援部会の3部会で取り組みを開始しました。ここでは、主に被災地の褥瘡ケア支援について紹介します。

生活不活発病である“褥瘡”は深刻な問題になるはず!

 地震発生直後の安否確認や復興支援への取り組みが徐々に進む中で、真田学長が思ったのは、「東日本大震災で急性期を脱した被災者が直面した生活不活発病である“褥瘡”が、必ず今回も被災者を苦しめるはず。特に、高齢者の多い能登地方ならではの深刻な問題になる」という危機感だったと言います。

 そして、石川県看護協会長・小藤幹恵氏と連携し、褥瘡発生が予測されたり、発生したときは、すぐにでも対応できるような体制を考えていたと言います。

 真田学長の予想通り、2月に入ると県から、輪島市内にある3か所の高齢者施設において深刻な褥瘡発生があるという連絡が来ました。地震直後の停電によりエアマットレスが使えなくなり、褥瘡が発生・悪化しているという報告でした。同日、石川県看護協会の小藤会長から被災地の褥瘡ケアにおける相談・対応についての依頼がきました。同じタイミングで日本医師会災害支援チーム(JMAT)からも連携の依頼がきました。それを受けて、大学内に能登半島地震対策部会を設置しました。

 真田学長は、「日本創傷・オストミー・失禁管理学会や日本褥瘡学会から事業・研究支援金もいただき、その他、企業の方々の現物給付、そして暖かい励ましのメールにどれだけ救われたことでしょう」と言います。さらに、「明日から使うフィルム材やドレッシング材がなかったため、ある企業に電話でお願いしたところ、その日の夜9時ごろ東京から新幹線で大学まで届けてくださいました。その優しさに涙が止まりませんでした。これまで学会や企業と信頼関係を築けていたからこそ、このような迅速な連携が生まれたのではないでしょうか」と振り返ります。

石川県立看護大学の取り組みを振り返る真田学長
石川県立看護大学の取り組みを振り返る真田学長

毎日被災地に通い、褥瘡ケアを継続

 数日後、A特養(入所85名、ショート20名)、B特養(入所80名、ショート20名、デイ40名)、Cグループホーム(入居者と避難者30名)の3か所に、紺家千津子教授、峰松健夫教授、松本勝准教授(当時)、石井光子特任講師らが、必要物資を積んで車で現地視察に入りました。その後、これらの3施設への支援をJMATとともに行いました。紺家教授が中心となり1チーム3人、3日で1クールの体制で毎日被災地に通い、褥瘡ケアを継続しました。県外メンバーは、日本創傷・オストミー・失禁管理学会に呼びかけて参集したWOCNが3泊4日交替で現地入りしました。

日本創傷・オストミー・失禁管理学会のメンバー

 当初、被災地の施設ではJMATの支援を拒むような状況もあったようですが、関係性は徐々に良好になり、さらに同大学が支援に入ったことで石川のメンバーが支援に来てくれたことを喜ばれ、被災地の人たちとの関係性はいっそうよくなったといいます。

褥瘡による災害関連死を防ぐことにつながった

 こうした褥瘡介入により、20人の褥瘡患者が3名に減るなどの実績が上がったと言います。褥瘡深達度はD3、D4、深部損傷褥瘡(DTI)疑いなども多く、WOCNならでは専門性が生かされました。「専門家が入ることで治癒が早まるということを、関係者は実感されたと思います。住民の方や施設の職員の方々に安心感が生まれ、褥瘡による災害関連死を防ぐことにつながったのです」と真田学長は言います。

 JMATの医師には、日常業務の中で褥瘡管理を実践していない人も多く、外用薬や創傷被覆材の選択や効果的なスキンケアの方法をWOCNに相談してくる方も多かったと言います。若手の医師や看護師からは、「褥瘡で注意することは何か教えてほしい」と積極的に意見を求める人も多くいました。

ポータブルエコーを使った褥瘡ケアが成果を上げた
ポータブルエコーを使った褥瘡ケアが成果を上げた

2次避難所や1.5次避難所への生活支援

 同大学では、能登半島地区だけでなく、金沢市の2次避難所や1.5次避難所への支援も行いました。看護系教員・人間科学系教員が結成した避難所支援チームが、輪島市内から避難されている被災者の方々の生活支援を行いました。具体的には被災者の健康観察や服薬管理、そして、今後の生活不安などへの対応です。

 石川県立看護大学は能登半島の付け根に位置し、輪島市などの能登半島の町に通じる街道「のと里山海道」の傍らの高台にあります。避難所ではありませんでしたが、発災時には、近隣の住民の方々が津波を心配して避難して来られました。近くの官舎にいた真田学長は急遽大学に駆けつけ、住民の方々に安心していただくため、閉館していた門を開き対応を行ったといいます。確かに、地域の看護大学には、住民の健康・福祉や安全に貢献する役割があるでしょう。しかし、被害は少なくても自らの大学も被災した状況下で、学生の安全確保や学習機会の維持だけでなく、住民支援までを積極的に行うのは「言うは易し行うは難し」のようにも思われます

 被災地の褥瘡ケア支援も含めた石川県立看護大学の危機時でのこうした対応は、「そのとき何が“正しく”、何が“最善”であるか」を最優先した高い理念に裏打ちされたものであるように思えてなりません。 

このレポートはエキスパートナース2024年8月号(7月20日発売予定)にて掲載予定です。

エキナス座談会の参加者を募集中!

『エキスパートナース』では、よりよいサイトづくり、誌面づくりの参考にさせていただくため、
来社(対面)およびzoomでの座談会を実施します!ぜひご参加ください!!

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リアルな意見をお聞かせください!

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支持療法の最新知見を届ける第9回日本がんサポーティブケア学会学術集会が開催

 がん対策基本法に基づき策定されるがん対策推進基本計画は2023年で4期目を迎え、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」という全体目標のもと、より質の高いがん医療・ケアの提供、そのための取り組みが求められています。

 「がん医療における支持医療をその教育、研究、診療を通して確立し、国民の福祉(Welfare)に寄与する」ことを理念とする日本がんサポーティブケア学会(佐伯俊昭理事長)は、2024年5月18~19日に、埼玉県で第9回日本がんサポーティブケア学会学術集会を開催しました。

 同学術集会は、国内外に向けたがんサポーティブケアの最新の知見や成果を発信する場としており、テーマには「私たちの夢をかなえるがん支持医療 Cancer Supportive Care Makes Our Dreams Come True」が掲げられました。支持療法とは、がんに関連した症状や治療による副作用・後遺症などの予防や、実際に出た症状を軽減するための治療・ケアを指し、今回のテーマにも質の高いがん医療や支持医療がすべての患者に届きよりよいアウトカムへつながるように、といった願いが込められています。

がん患者にとってのよりよい未来について、多角的に考える

 各講演のテーマは、多職種や地域との連携、倦怠感や皮膚障害への対策、高齢がん患者やアピアランスケアなどと多岐にわたっており、多角的な視点での発表が行われました。職種を超えた活発な質疑応答も行われ、立ち見が発生するほど賑わった講演もありました。

会場の埼玉会館。午前から多くの参加者が来場した

 また同学術集会では、会員・医療関係者以外にがん患者やその家族、がんサバイバーなども参加が可能で、18日には市民参画のセッションや19日の夕方には子ども向けのプログラムを含んだ市民講座といった医療者以外の人の周知にも役立つ企画も実施されました。
 第10回がんサポーティブケア学会学術集会は、2025年5月17~18日に和歌山県にて開催予定です。

〇学術集会概要
学会名:第9回日本がんサポーティブケア学会学術集会
テーマ:私たちの夢をかなえるがん支持医療 Cancer Supportive Care Makes Our Dreams Come True
会期:2024年5月18日(土)・19日(日)
会場:埼玉会館
会長:渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 教授)

〇学会情報
一般社団法人 日本がんサポーティブケア学会 HP:http://jascc.jp/

第9回日本がんサポーティブケア学会学術集会ポスター(同学会ホームページから)

考えるナース【第8回】感性を育むための方法➁パートナーと話す[前編]

この記事は『考えることは力になる』(岩田健太郎著、照林社、2021年)を再構成したものです。
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「あなた、どう思う?」の声かけが大事

 日本の医療機関はおおむね形式主義で、キーワードが仕組みにぶち込んであると満足してしまいます。「多職種連携」という言葉はどこの病院でも使っていますが、実践している病院はそう多くはありません。キーワードが単なるスローガンと化していることがとても多いのです。

 だから、多職種が集まる会議でも発言するのは医者ばかり。ナースはその次、他の医療職はおおむね沈黙……というパターンはめずらしくはありません。他の医療職が発言しまくる雰囲気をつくり、キーワードに「実質」を与えることが大事です。その「実質化」の最大の責任は医者にあるとぼくは思いますが、ナースにもできることはたくさんあるはずです。

 その一番手っ取り早い方法は「話を聞く」耳をもつことでした。会議なんかでは、「あなた、どう思う?」と発言を促し、相手の言葉に耳を傾けることが大事です。もちろん、必要なときは「それって看護部的にはちょっと……」と立場性を出すことで、発言を否定しないことも大事です。

 ちなみに、「あなた」という二人称は手持ちの辞書(大辞林[三省堂]『スーパー大辞林3.0アプリ版』)によると、「きみ」の軽い尊敬語。やや気がねのある、ある距離を置いて接する場合に同輩または同輩以下の人に対して用いる。普通、目上には使えない。「─はどうなさいますか」親しい男女間で相手を呼ぶ語。特に、夫婦間で妻が夫を呼ぶ語。「─、ご飯ですよ」〔相手が女性の場合「貴女」、男性の場合「貴男」とも書く〕とあります。

 時に「同輩以下」に使うこともあるので、必ずしも尊敬語ではないことに要注意。「あなた、どう思う?」も上手なイントネーションで使わないと、相手を見下げた発言になってしまいます。声のトーンやイントネーションは、メッセージを相手に伝えるうえでとても重要で、誤解のもとにもなりやすいです。「あなた」は特に難しい。気をつけましょう。

パートナーとの会話、成立していますか?

 で、「あなたー、ご飯よ~」の「あなた」は配偶者に用いる「あなた」です。先ほど、「配偶者との対話」は役に立つ、という話をしました。どういうことでしょうか。

 まずはその前に“そもそも”論。そもそも、皆さん(に配偶者や彼氏・彼女がいたとして)、会話、成立していますか?夫婦の間に会話がない、という夫婦は案外多いのだそうです。新婚当初はあんなに仲がよかったのに、子育てやあれやこれやに奔走しているうちに、時間がたって“なあなあ”な関係になって会話がなくなる、という夫婦はめずらしくありません。

 で、そんな場合、夫婦間のコミュニケーションをもっとよいものにしたいと思いませんか?余計なお世話ですか?

 夫婦円満の鍵はコミュニケーションです。そして、夫婦のコミュニケーションはコミュニケーションの基本形です。医療におけるコミュニケーションもその延長線上にあるのです。夫婦間のコミュニケーションがうまくいかないのに、医療現場でのコミュニケーションがうまくいくはずがありません。

 「そんなことはない、うちはダンナとの会話はゼロだけど、職場でのコミュニケーションはうまくいってる!」という方もいるかもしれません。

 しかし、それは「うまくいっている」の基準が低いからだとぼくは思います。

「うちはちゃんとできてますよ」は、できていないことのあかし

 ぼくは感染症屋なので、いろいろな病院の感染対策を見せてもらう機会があります。そのとき“わずか数秒で”この病院の感染対策はうまくいっているか、イケてないかを見きわめる方法があります。

 その病院の感染対策責任者や病院長に、「おたくの感染対策、いかがですか」と聞けばよいのです。

 「うちはちゃんとできてますよ」と言われれば、そこはほぼ全例“ちゃんとできていない”病院です。
 「うちはがんばっているんですが、まだまだです」と言う病院はかなり“ちゃんとできている”病院です。“できている”のハードルの高さが低い病院はマニュアルを作って、加算の要件を満たせば“できた”と勘違いしてしまうのです。“ちゃんと”感染管理を行うのがいかに難しいか熟知している病院は、理想的なゴールがまだまだ遠いことを知っているから「うちはまだまだ」となるのです。

 コミュニケーションも同様で、「私は医療現場でコミュニケーションちゃんとできてますよ」という医療職は(ナースに限らず)、ほぼ全例、コミュニケーションに改善点がたくさんあります。「できる」のハードルが低いのです。

 ロジカルに考えるためのスタート地点は「言葉の意味を、本当の意味を考える」ことにあります。表面的な“できる”という言葉に満足せず、“できる”という主観的な表現がいったい何を意味しているのかを考えると、前述のような、一見逆説的な結論が導き出せるのです。これはほとんどすべての領域について使える、ある種、必殺の評価方法です。ぜひ試してみてください。

『考えることは力になる ポストコロナを生きるこれからの医療者の思考法』

岩田健太郎 著
照林社、2021年、定価1,430円(税込)
ご注文・詳細はこちらから(照林社ホームページ)

考えるナース【第7回】感性を育むための方法①他職種(特に医者以外)と話す[後編]

この記事は『考えることは力になる』(岩田健太郎著、照林社、2021年)を再構成したものです。
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大学生のときに行った病院実習で見た光景

 これはあちこちで書いたりしゃべったりしていることですが、ぼくは医学部5年生のとき、夏休みに宮城県の某所で1週間病院実習をしたことがあるんです。そう、東日本大震災のときに津波で大打撃を受けた地域です。なんで島根医大の学生が東北まで行ったのかというと、もちろん「東北に行ってみたかったから」という非常に不真面目な理由です。その年から、詳細は忘れましたが、大学外の医療機関でも夏季休暇中の病院実習が制度的に可能になったんです。そのリストに載っていたのがその病院でした。

 ぼくはまあ、1週間病院で見学実習をしたら、週末は仙台あたりで楽しく七夕祭りでも見物しようかなあ、とかる~い気持ちで応募したのでした。彼女いなかったし。

 さて、まさか島根くんだりから学生が実習にやってくるとは想像していなかった東北のその病院。困りました。担当の内科部長はそこでぼくに次のような提案をします。

 「毎日、コメディカルについて回りなさい」

 たぶん、思いつきだったのでしょう。いや、きっと思いつきだったに違いありません。とりあえず毎日いろんな部署をたらい回しにしとけば、世間知らずの学生の面倒をみる、その面倒臭さのリスクを分散できると思ったのでしょう。

 というわけで、ぼくは各部署を毎日たらい回しにされるのですが、この1週間はぼくの医療者人生に一番大きな影響を与えた、忘れがたい実習になったのでした。

 ある日、ぼくは1日中ナースにくっついて回り、その仕事にずっとくっついていました。次の日は1日中薬剤師にくっついて回り、次の日はPT(理学療法士)、さらに臨床検査技師と、毎日院内ローテートで異なる職種の方々にくっついて回る実習を行ったのでした。

 もちろん、各職種がどのような仕事をしているのか、それをじかに体験できたのはとてもよかったと思っています。医学生・医者が他の医療職の仕事を実体験することは驚くほどありませんから。そういう体験はとても貴重でした。

 しかし、それ以上に衝撃的な「学び」がありました。

 というのも、あちこちたらい回しにされていたこの1週間、ぼくはあらゆる医療職からずっと「医者がいかにイケていないダメな存在か」という悪口雑言を聞かされ続けていたからです。こんなに恨まれていたんだ、医者。ぼくは戦慄しました。

 しかも、その医者に対する恨みつらみを抱え込んだ医療者たち(ナース含む)が、実際に医者を目の前にするとじつに従順な下僕のふりをし、不満1つありませんよ、という涼しげな顔をして業務をこなしているのでした。この事実に、ぼくは二重に驚愕したのです。

 まあ、遠い島根の利害関係のない医学生のぼくには、ぶっちゃけトークで文句が言えたのでしょう。ぼく個人にはなんの利害関係もなく、おそらくは生涯ともに仕事をする可能性も、ぼくがそのような恨みつらみ情報を他の医者にリークする可能性もほとんどゼロですから。

 「コメディカルは医者にたくさんの不満をもっている。しかも、それを言えないでいる」という事実。どこに行っても怨嗟(えんさ)の嵐。その怨嗟を抑えこんでの、表面的な従順さ。このような事実を初めて知ったぼくは、世間知らずの医学生の乏しい世間知を総動員して考えました。「なぜ、そうなんだろう」。

「他者の言葉」はこたえる

 ぼくは米国で5年間研修医をやっていました。確かに米国でも医者の権力は他の医療者よりも強く、医療者たちは「モノ申す」ことをはばかる雰囲気ももっていました。しかし、それは典型的な日本の病院よりもずっと緩やかで、病院では多職種たちの活発な議論が行われていました。

 ちなみに、ぼくが初期研修を行った沖縄県立中部病院(OCH)も、日本では例外的に医療職の声がよく通る病院だったと回想しますOCHはハワイ大学と連携して伝統的な米国的医療研修を重ねてきました。というか、沖縄自体、一時米国の領土でしたし。ぼくは病院のヒエラルキーの最下層、インターン(1年目の研修医)として、臨床検査技師に、ナースに、たくさんのお説教をいただき、お叱りを受けました。

 これは東北での学生実習に次いで、大きな学びをいただいた濃密な学習時間でした。「他者の言葉」というのはこたえるのです。とても学びになるのです。だから、ぼくは患者さんから叱られた体験はすべて逐一よく記憶しています。患者さんや家族から叱られることくらいこたえる体験はありませんから。

 日本の伝統的なヒエラルキーでは、各医療職が医者に物申す文化がありません。今でもなにか院内で問題が起きたとき、ぼくは「それは主治医に言ったほうがいいよ」と言いますが、コメディカルは「いや、私の立場から申し上げるのはちょっと……」と口をつぐみます。

 ぼくらは抗菌薬適正使用プログラム「ビッグガン・プロジェクト」を神戸大学で立ち上げましたが、これは臨床検査技師や薬剤師が医者にものを言いにくい文化を反映させ、彼らのデータを医者(感染症内科の医者など)が、代弁して抗菌薬適正化を促す、というプログラムです。日本の「物言えぬ」文化ではとても有効なプログラムですが、そもそもそのような雰囲気があるのが問題でして、将来的には臨床検査技師や薬剤師が医者と丁々発止の議論ができるのが理想的だと思っています。

 ナースは、例外的に医者に「物申す」ことが可能な医療職です。もちろん、そこにはいろいろな制限はあるでしょうが、そうは言っても他の医療職よりはずっと「ぶっちゃけ」トークしやすい。まあ、病棟で一緒にいる時間が長い、という物理的な理由もあるでしょうし、ナースの(定型的な)「準主役的」立場がそうさせているところもあるでしょう。その特権的な立場が、皮肉にも他の医療職がナースに「ものを言いにくい」遠因になっているとぼくは推測します。ま、ナースは医者のように「恨まれては」いないですけど。

 このヒエラルキーを打破する方法があります。それはナースが他の医療者の言葉に耳を傾けることです。相手の言葉をよく聞く人にこそ、人は口を開くものですから。あまり他の医療者とコミュニケーションのなかったあなた、ぜひいろいろ話を聞いてみてください。「そんなの前からやってるわ」というあなた。他のナースにも同じことを勧めてみてはいかがでしょう。

『考えることは力になる ポストコロナを生きるこれからの医療者の思考法』

岩田健太郎 著
照林社、2021年、定価1,430円(税込)
ご注文・詳細はこちらから(照林社ホームページ)

考えるナース【第6回】感性を育むための方法①他職種(特に医者以外)と話す[前編]

この記事は『考えることは力になる』(岩田健太郎著、照林社、2021年)を再構成したものです。
当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。

 ここまで読んできて、皆さんにはこういう質問が出てくることでしょう。

「じゃ、どうすればいいの?」

 なあに、難しいことではありません。皆さんが、自分のタコツボを離れて好奇心豊かに新しい価値観と触れ合う機会は簡単にもてるんです。

 休みの日の趣味やサークル?配偶者や子どもとの時間?駄目駄目、だって趣味やサークルはそもそも「価値観を同じくする人たち」の集合ですから、職場とおんなじです。家族の場合、配偶者との対話は価値観を豊かにする素敵な方法ですが、多くの場合は似たような価値観の人を配偶者にしていますから、その効果はもうひとつかもしれません。もっとも配偶者との対話も、とても役に立つこともあります。その話はまたあとで。

ナースは意外と医者以外と会話していない

 等質な人たちだけとの邂逅(かいこう)は自分をリッチにしてくれません。そういう出会いとは違う形の「出会い」が必要です。まずは手近なところからいきましょう。それはナース以外の医療者との対話です

 まあ、ナースは医者とはよくコミュニケーションをとっているかもしれません。でも、医療者はナースと医者のみならず。薬剤師、臨床検査技師、事務方、クラーク、栄養士、ソーシャルワーカーなどと、たくさんの人が病院では働いています。掃除のおじさん、おばさんもいますし、最近ではボランティアの方もよく来ますね。おっと、学生さんも忘れてはいけません。

 驚くべきことですが、ナースは“意外に”他の医療者とのコミュニケーションをとりません。多職種会議で、一番に沈黙してしまうのがナースだったりします。あるいは逆に、「演説」ばかりして他の医療者の言葉に耳を傾けない存在だったりします。

 これを言うのは誠に申し訳ないんですけど、岩田の観察するところ、ナースのなかには、医者以外の医療者の話に耳を傾けない傾向があるのです。これはナースが猛省すべき問題だとぼくは思います。本書は“ぶっちゃけ”でリアルな問題しか取り扱いませんから、耳が痛かろうこの問題も、ぶっちゃけ、申し上げてしまいます。この時点で、ぼくも編集さんもかなりビクビクしてますけど。

ナースが医療者に不寛容になりうる理由

 問題は、です。ナースが“なぜ“そのように医療者に不寛容になりうるのか、ということです。

 その答えは医療機関における権力構造にある。ぼくはそう思っています。

 現実はともかく、そして理想理念はともかく、多くの人たちにとって医療の主役は医者です。で、準主役はナースです。ぼくはそうは思いませんが。読者の皆さんのなかにも「そうは思わない」という人もいるでしょうが。現実にはそう考えている人は、わりと多い。

 さて、「主役」たる医者はヒエラルキーのトップに存在します。トップは傍若無人に振る舞うことも可能ですが、この情報過多な現在、こんな将軍様のトップは長続きしません。すぐにツイッターあたりでボコボコにされてしまうのがオチです。

 よって、その本音はさておき、現在の組織のトップはいろんな人の意見を寛容に聞くポーズ、というのがデフォルトになっています。多くの医者は組織、あるいは小グループのリーダーです。だから、他の医療職の言うことを“意外なほど”よく聞きます。

 一方、「準主役」たるナースはヒエラルキー的には他の医療者により近い場所に属します。その近接性、距離の近さは他者からの攻撃のターゲットになりにくいのです。それは、なぜか。

 そうだなあ、病院長がやたら批判される病院ってあるでしょ。そうでない病院も多いと思うけれど。ところで、副院長がやたら批判される病院って珍しくないでしょうか。まあ「近接性」とはそういうものだと考えてください。

 このような微妙なポジションを所与のものとすると(当たり前だと勘違いすると)、ナースは他者の話を一切聞かないとか、やたら自分ばかりが演説する、みたいになりがちなのです。そして二言目には「看護部としては」と自分の立場ばかりを強調するのです。残念ながら実例なき話ではありません。

 もちろん、皆さんご存じのように医者も他人の話を聞かない人が多いです(いや、ホント)。だから、ナースだけ批判するのはフェアではありません。しかし、このような構造から、ナースが“案外”他職種の言葉に耳を傾けていないって話です。そんなことはない、という反論はもちろん甘んじて受けます。

 病院ではやはり発言力が圧倒的に強いのが医者、次いでナース、その次は医事課とかの一部の事務かな。病院では技師や薬剤師は非常に発言力が弱いですし、病棟や外来のクラークや受付とかだとほとんど発言権がない。

『考えることは力になる ポストコロナを生きるこれからの医療者の思考法』

岩田健太郎 著
照林社、2021年、定価1,430円(税込)
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働くナースのための精神医学【第7回】社会に出ることで明らかになる大人の発達障害

 こんにちは、精神科医・産業医の西井重超です。今回からは数回に分けて、発達障害についてお話しします。

成長に伴う「ハードル現象」によって明らかになる大人の発達障害

 ADHDでは、小児期で診断がつかず、成人になって診断がつくものがある、という報告も複数あります。第6回で、子どもの頃から症状を認めるものであると言いましたが、子どもの頃に診断基準を満たさないまでも、多少症状のある閾値下の患者さんが大人になって診断されたケースが考えられています。

 高校生が、大学生や専門学生になって自主的に勉強しないといけない環境への対応ができず留年したりすることや、大学生や専門学生が社会に出て厳しい実社会に直面して仕事についていけないケースがあります。

 私は、ADHDにおいてもASDにおいても、環境のハードルが上がり不適応を起こしたり、発達傾向が明
らかになる現象を、「ハードル現象」と名づけて呼んでいます。

 看護学生のときは看護学生のときが一番しんどいと感じ、早く仕事を始めて楽になりたいと思っていても、実際は仕事を始めてからがとてつもなく大変という話は皆さんも聞くことがあると思います。

 このような成長に伴っての負荷の増加により、成人発症のADHDは、若い頃の比較的守られたゆるい環境では表れなかった不注意などの症状が、ハードルが高くなることで明らかになるケースがあると考えられます。

社会に出てうまくいかない理由に、仕事が合っていないこともある

 社会に出てミスを繰り返したり、なかなか仕事が覚えられなかったりするなど、仕事がうまくいかず発達障害ではないかと疑われて、受診や産業医面談に至るケースがあります。

 そのなかで発達障害を含め、何の精神疾患の診断もつかないケースがあります。よくよく話を聞いていると、仕事が合っていないことが明らかになってきます。

 仕事が合っていないというのは、創造的な仕事が得意で単調な仕事が苦手な人が単純作業をしていたり、営業トークが苦手な人が営業部に配属されていたり、せっかちな性格の人ががまんを強いられる仕事をしていたり、本人の能力と会社が求めることがアンマッチになっていることです。

 ファッションが好きだからファッション業界に入ったけど、じつは自分がおしゃれをするのが好きなだけで、人に服を売ったりするのは好きでないことに気づくといったケースもあります。

 ビジネススキルの問題であれば、本人がスキルアップすればいいと思うかもしれませんが、短時間でスキルアップできるものではないですし、会社は給料を払っているのですから、長い間待ってくれるわけでもありません。病気ではないので、精神科医に相談しても解決できません。

 指導をされている間に適応障害を起こして精神的に不調をきたす場合もあり、キャリアを含め今後のことをしっかり考えていく必要が出てきます。ただし、会社から現在の仕事以外のキャリアのことに踏み込みすぎると退職勧告と受け取られかねませんので、上司の立場である人は面談のときは言葉を選んで話をしましょう。

この記事は『エキスパートナース』2021年7月号連載記事を再構成したものです。
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働くナースのための精神医学【第6回】発達障害は合併する

 こんにちは、精神科医・産業医の西井重超です。今回からは数回に分けて、発達障害についてお話しします。

「神経発達症」という新たな名前をつけられた「発達障害」

 発達障害は、子どもの頃から症状を認める神経発達上の障害です。大人になってもその症状が引き続くものが、大人の発達障害や成人期発達障害と言われています。

 皆さんは、看護師国家試験で発達障害の代表的な2疾患である自閉スペクトラム症(autism spectrum
disorder:ASD)と注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)を学習したと思います。

 「発達障害」という用語については、発達の凸凹があるものの、凸凹をうまく使って社会で成功している人もいることから、うつ病など何か二次障害が出現した場合に障害というべきではないかという考え方もあります。また、障害と聞いた子どもが、自分は障害児なのだとショックを受けることも見受けられました。そのため、「障害」という言葉を用いずに「症」という言葉を用いて、「神経発達症」という呼称が新たにつくられました。

 ただ今は、まだ「発達障害」という言葉が有名すぎて「神経発達症」という呼称が十分に広がっていません。例えば、書籍のタイトルも発達障害という言葉がまだ主流ですし、私が産業医をするときに会社の人に説明する際も、伝わりやすい発達障害という言葉を用いて説明します。

 診断基準の改正に伴い、診断基準自体の若干の変更などはあるものの、患者さんや家族にわかりやすい言葉を使って説明するという原則に立てば、「社会不安障害」を「対人恐怖症」と説明することもしかり、あえて伝わりやすい呼び方で一般の方に説明することもありといえるでしょう。今回も、皆さんになじみの深い発達障害という言葉をあえて使って説明していきます。

発達障害にはさまざまな種類があり、それぞれ合併することを念頭に置こう

 国際的な診断分類であるDSM-5-TRを診断基準として、概要的な説明をします。

 発達障害は、こだわりがありコミュニケーションに問題のあるASD、不注意や多動・ 衝動を認めるADHD、読み・書き・算数という特定の発達に問題のある限局性学習症(specific learning disorder:LD、学習障害)のほか、チック症を含む運動症など、さまざまな特徴で分類されています。診断基準の改正も受けて、近年、発達障害同士は合併するという考えが一般的です。

 かつて、「広汎性発達障害」や「アスペルガー症候群」という分類がありましたが、診断基準や呼称の変更により、おおむねASDにまとめられました。

 知的能力障害(いわゆる知的障害)は、日本では3障害の1つとして精神障害と別に分類されていますが、DSM-5-TRでは神経発達症として扱われています。

 発達障害同士の合併例は比較的多く、国家試験のように単一の発達障害だけをもっていると考えるより、まずはASDとADHDが合併していることを念頭に対応するのが実践的です。カルテや診断書にADHDと書いてあっても、ASDを合併している可能性も十分にあります。診断名がADHDだからコミュニケーションには問題はないと思わず、患者さんの普段の言動を観察することが大切です。

発達障害を理解するために大切な「スペクトラム」という概念

 スペクトラムという考えは、発達障害を知るうえで理解しておく必要があります。「連続体」や「グラデーション」や「濃さ」という意味合いです。

 発達障害と診断されていても重度の人もいますし、軽度の人もいますし、診断基準にギリギリ届かなかったが限りなく発達障害の要素が濃い人もいる、という考え方です。

 スペクトラムではない病気としては、例えば検査である遺伝子やある抗体があるかないかで診断がつく疾患などが挙げられます。

 よく、「発達障害かどうかを知りたい」と受診される人がいますが、あるのかないのかではなくて、どの程度の症状があるのかが実際は大事になってきます。これは、同じ診断名なのになぜ症状が違うのだろうという理由の1つです。

 スペクトラムなので、発達障害の対応方法はギリギリ発達障害ではない人の対応方法としても応用可能です。

発達障害とのかかわりは、疾患とその人の生活を合わせて考える

 同じ診断名なのに別の病気に見えるという理由はほかに、患者さんそれぞれが別の人間であるというところにあります。私が日々診察をしているときに、一番大きな原因かもしれないと感じる要因です。

 別の言い方をすると、発達障害の患者さんにも性格があるということです。陽気な人や不安が強い人、怒りっぽい人などさまざまです。実際に診断基準としても、人格の問題と発達障害は合併することはあるとされています。

 こういった場合、看護師の皆さんが好きな言葉(だけど苦手な対応?)である、個別性という考えで対応していく必要があります。

 発達障害に限りませんが、穏やかで優しい性格の人は、多少コミュニケーションが苦手でもある程度人とうまくやっていけますし、逆に被害的であったり、攻撃的な人はうまくいかないことが多いです。発達障害に対応するうえでは、少なくとも、この人はどういう性格で、どういう疾患かという2つの観点から考えたほうがしっくりくるでしょう。

働くナースのための精神医学【第7回】社会に出ることで明らかになる大人の発達障害

この記事は『エキスパートナース』2021年7月号連載記事を再構成したものです。
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【ラストチャンス!】エキスパートナースwebリリース記念!抽選プレゼント

 いよいよ最後のチャンス! 会員登録(無料)いただいた皆様に感謝の気持ちを込めて、抽選で15名様にプレゼントいたします。以前ご応募された方も対象です。ぜひご応募ください!

プレゼント①クリニラボ へパリオモイストバリア(10名様)

 医薬と美容の垣根を超えるブランド「クリニラボ」より、保湿有効成分「ヘパリン類似物質」と抗炎症有効成分「グリチルリチン酸ジカリウム」配合の薬用ハンドクリーム。べたつかず、さらっとした使用感で、手洗い、アルコール消毒などによる肌の乾燥・荒れを防ぎます。無香料。

※商品提供: 大正製薬株式会社

クリニラボ へパリオモイストバリア
[販売名]薬用 モイスチュアミルク Hp a
価格:1,298円(税込)
内容量:50g 
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プレゼント②オリジナルポーチ入りふせんセット(5名様)

 3種のふせんとエキスパートナースのロゴ入りミニポーチのセットです。※ピンクまたはブルー、いずれか1点。色の選択は編集部にお任せください。

応募はこちらからできます(会員登録先)

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応募はこちらからお願いします(PC、スマートフォン対応)。

https://questant.jp/q/enweb_present04
応募締め切り 2024年7月10日(水)23:59まで
※当選者の発表は商品の発送をもって代えさせていただきます。(当選賞品発送は2024年8月末ごろまで)

医療的ケア児・障がい児に向けたタッチ療法の広がり

 子どもたちとの絆を築くための方法の一つである“タッチ”。乳幼児の成長をサポートしますが、注意点もあり、特に障がいや疾患をもつ子どもに向けては、適切な方法でタッチを行う必要があります。  

 米国財団法人国際リドルキッズ協会では、正しいタッチを広めようと活動を続けています。同協会代表のティナ・アレン氏が、アメリカの複数の大学や病院関係者と共同で開発したのが「タッチセラピー」。世界20カ国以上の医療施設で導入されています。
 自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD、小児がんなど、⼦どもたちの疾患・障がいに合わせた複数のプログラムがあり、子どもの肌に優しく手で触れて、タッチやマッサージを行います。

3月開催の指導者養成講座をレポート

 同協会では、医療機関や教育施設で、タッチセラピーのボランティアを実施。また、タッチセラピーの指導者を増やすことにも力を入れています。
 3月9~10日には、横浜で医療的ケアが必要な赤ちゃん向けベビーマッサージ指導者養成講座が開催されました。

 講座には、看護師や助産師が参加。通訳を通してティア・アレン氏による説明を聞くスタイルです。
 受講者からは「(発育段階の)背骨のマッサージの仕方は?」「体位変換後に子どもが落ち着くまでの時間が知りたい」「医療的ケア児と健常児の母親を一緒に指導してよい?」といった質問が寄せられ、ティア・アレン氏がわかりやすく解説していました。

実演を交えながら解説するティア・アレン氏(写真右)

 ベビーマッサージ用の人形を医療用ベッドに乗せて、マッサージの実演を行う場面も。その際も、「導尿の前にタッチを行うことは有効?」「ヒールカット前後のタッチの方法は?」などの質問が出るなど、受講者の積極的な姿勢がうかがえました。

 同協会では、自閉症、小児がんなどの障がいや疾患をもつ子どもたちに向けたタッチセラピーの講座も開催されているとのことです。

米国財団法人国際リドルキッズ協会 日本事務局
https://liddlekidz.jp/
https://www.instagram.com/liddlekidz_jp/

(画像提供:米国財団法人国際リドルキッズ協会 日本事務局)

考えるナース【第5回】「質問を重ねる」ために必要なことは?

この記事は『考えることは力になる』(岩田健太郎著、照林社、2021年)を再構成したものです。
当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。

「質問を重ねる」には好奇心が不可欠

 さて、「質問を重ねる」には好奇心が不可欠です。好奇心も感情の一種ですが、興味関心がないものに質問を重ねることは不可能でして、そんな面倒なことはすぐに止めてしまいます。まさに「愛の反対は無関心」なのです。

 うまくいっているカップルは、「あなたの話をもっと聞きたい。いつまでも聞いていたい」と聞き続ける相手がいるカップルです。うまくいっていないカップルは、「お前の話は聞き飽きた」と思っているカップルです。興味関心・好奇心、大事ですね。

 興味関心・好奇心は、イデオロギーに膠着した「タコツボ」から脱出する最も手っ取り早い手段でもあります。

 同じ価値観、同じ知識体系、同じ世界観を共有するタコツボに閉じこもっていても、強い興味関心・好奇心があれば「外はどうなっているんだろう」と飛び出したくなってきます。その「飛び出し」には強いエネルギーが必要なので、多くの人は「面倒くさい」とツボにはまったままなんです。

 好奇心をドライブするのは感性です。新しいもの、新しい考えかた、今まで聞いたことのないアイデアにビビビッと反応する感性です。

新しいものは、にわかには理解できない

 新しいものは、にわかには理解できません。「理解できへん」「納得いかへん」という感情が先に立ちます。しかし、多くの人はここでおしまいにしてしまい、「だから、これ以上聞きたくない」とタコツボに戻ってしまいます。まさに、冷えきったカップルそのものです。

 エネルギーと感性にドライブされたロジカルな人物はそこで止まりません。「理解できへん」「納得いかへん」とき、「では、なぜ理解できないのだろう」「私が納得いかないのはどのへんやろう」とさらに深く突っ込みます。これを繰り返していると、「なーんだ、案外難しいことじゃなかったんだ。それなら理解できる」と得心がいくこともあるんです。

 タコツボに入っている人たちは、この「得心がいく」快感を自ら放棄しています。もっとも、いつもいつも得心がいくことばかりとは限りませんけどね。まあ、うまくいかないこともあるからうまくいったときはうれしいのであって、いつだってうまくいくんじゃ、それはそれでエキサイティングではありません。うまくいかない可能性が秘められているからこそ、そこにチャレンジの価値ってものがあるのです。

タコツボを助長するもの

 ところで、タコツボから抜け出て、新しい価値や考え方に触れ、その「理解できへん」「納得いかへん」ところと取っ組み合うのには、どこでどうやって訓練すればよいのでしょうか。

 一番駄目なのはネットです。ええ?それが一番手っ取り早いんちゃうの?(岩田は生まれが島根県、奥さんが京都人で、ぼくらは現在、神戸市に住んでます。ので、基本関西弁はインチキです。雰囲気で使っているだけですので)。

 そういえば、昔はインターネットをブラウジングすることを「ネットサーフィン」なんて呼んでいました。でも、10年前のネットと今のネットはずいぶん違うんです。現在のネットはわれわれにぐっと寄り添っています。検索するときも、ただ無機質に検索しているのではなくって、「われわれが欲しいであろう情報」をアルゴリズムを使って探しだしてくれるんです。

 なので、ジャニーズが好きな人はジャニーズ関係の情報をネット検索しまくり、その結果、何を検索してもジャニーズ系の情報しか手に入らなくなっています。こういう人は、世の中にはAKB48というアイドルが存在することすらも気がつかないんです(ちょっと例えに誇張が入ってますが、まあ、そういうことです)。ツイッターもフェイスブックも、自分の関心のある情報ばかりが集中的に入ってくるタイプのネットワークです。

 なので、現代のネット環境は使えば使うほどタコツボの深さが増していくばかりです。こういう人たちは自分たちの考えの枠組み(フレームといいます)以外のものの考え方が理解できません。全肯定か全否定しかできない、貧弱な発想ばかりが発達していきます。ネットは使えば使うほど「バカになる」要素をもっているんです(もちろん、そうならない方法もありますが)。バカとは、ロジカルになれず、「どうしてなんだろう」と質問を重ねることができない(ただ、全肯定するか全否定するだけの)頭の使い方をする人のことをいいます。危険ですよ~。

 次に駄目なのが、新聞とテレビ、それに雑誌。こういうラージメディアは基本的に定型的なものの考え方しかできません。

 日本の場合、新聞記事を書く人も、テレビのニュースを作る人も、「どうしてなんだろう」と問いを立てません。例えば、何か病院で不祥事が起きたときでも「どうしてこういう不祥事が発生するのだろう。わからへん。理解できへん」と考えて問いを重ねるジャーナリストは少数派です。「なんや、病院が不祥事しやがってけしからん! 叩いたろ!」と「はじめから答えができてる」ことがほとんどです。そういう目でテレビや新聞を見直してみてください。驚くほど彼らの口調は「いつもおんなじ」であることに気づくでしょう。雑誌もおおむね、同様です。

 というわけで、ネットやテレビや新聞や雑誌情報はタコツボから出るのには少しも役に立ちません。

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働くナースのための精神医学【第5回】部下がメンタル不調になったときの対応

 こんにちは、精神科医・産業医の西井重超です。今回は、部下がメンタル不調になったときの対応の話をしたいと思います。 

大前提として、職場で不調を受け入れる

 まず、基本の心構えとして、部下の不調を職場として受け入れる必要があります。

 マンガなどで、ブラックな職場の例としてよく聞かれる「あなた以外もみんながんばっている」「あなたが休むと他の人にどれだけ迷惑がかかるかわかっているの」「患者さんが困ると思わないの」というようなセリフをいう人はさすがにいないと思いますが、念のために言いますと間違いなくアウトなセリフです。

 特に休職の場合などは、「仕事は気にしなくていいので、きっちり休んで元気になったら戻ってきてください」が上司としてほぼ正解といっていい声かけでしょう。

 「元気になって早く戻ってきて」という人がいますが、「早く元気になるといいね」という意図で言ったのに、「早く」という言葉に急かされていると反応される人がいますので、言わないほうが無難かもしれません。

 なお、看護師は皆さん、がんばり屋が多いので、なんとかその部署で対処しますが、マンパワーの問題は人事や経営者の問題ですので、人不足はうるさいくらい伝えていきましょう

どのような就業配慮が必要か具体的に考えよう

 部下がメンタル不調になったときに考えることの多くは、どういう就業配慮が必要かということになります。

 メンタル不調が明らかになったとき、職場が原因ではなく、通院でうまくコントロールされており通常勤務が可能な場合は、配慮が必要ないこともあります。睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬など精神科の薬を内服していたり、通院しているだけで要注意人物扱いする古い体制の医療機関もありますが、疾患が安定していれば問題視する必要はありません

 原因が職場にないときでも、あまり配慮ができないことがあります。例えば、原因が明らかではない統合失調症や一部のうつ病・躁うつ病など内因性といわれる疾患の場合、近親者の死別などプライベートな問題が挙げられます。

 原因がはっきりしているものは配慮を考えやすいです。例えば、長時間労働や業務が適性に合わなかった場合や、職場の人間関係の問題などが挙げられます。

配慮の実現が難しくてもねぎらいの声かけをしよう

 ただ、配慮がしやすいと言っても、職場の現状からどうしても残業が発生してしまう場合もありますし、業務の調整が難しい場合もあり、配慮の実現しやすさとは別になってきます。その人自体、人間関係が苦手で職場を転々としている場合は、職場がどうにかするというより、本人が気づいて変わらないといけないこともあります。

 配慮を考えやすいか、考えにくいか、いずれにせよ、部下をねぎらう声かけは必要です。ねぎらいのひと言がなかったというそれだけの理由で、実際に最後まで人間関係でもめる火種になったりします。

就業配慮が業務実態に合わない場合は産業医に伝えよう

 たまに精神科主治医が、半日勤務が一連の業務として難しい職場に対して、「半日勤務から始めるように」と職場の労働状況を考えずに診断書を書いてくることがあります。主治医は人事・労務の部署の人ではないので、極端に言うと無視していいくらいなのですが、産業医から「半日勤務は業務実態と合わないので、週2日からの日勤勤務で考えている」などという内容の手紙を書いてもらい、主治医に渡してもらって主治医に理解してもらうのが穏便だと考えます。

 このように、業務がうまくいかなくなるような就業配慮が提案された場合は、部署からは産業医に対して業務実態と合わないことを申し立てましょう。雇用契約や就業規則で最低ラインとして、週5フルタイム勤務ができることが就業の条件とされていることも最近は多くみられ、有休を使わずに週3勤務などに減らしてもらうことは難しい場合があります。

師長クラスになると家庭訪問することもあり

 レアケースですがメンタル不調で退職するか否かの話になった場合、一般企業では、上司が人事担当者とともに部下の家まで訪問して現在の調子をうかがったり、会社の退職制度などのルールの説明に同席する場合もあります。師長クラスの責任者になるとそういうケースもあると思っておいたほうがいいです。ここで雑な対応をするともめる可能性があります。

この記事は『エキスパートナース』2021年6月号連載記事を再構成したものです。
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骨取り切り身魚の完全調理済み食品に新商品

解凍するだけで手軽にエネルギー確保ができる一品

 オカフーズは2月20日、「ふんわり煮魚」シリーズの新商品「揚煮」を発売しました。

 本商品は、焼成・二次殺菌済みの完全調理済み食品のため、自然解凍するだけで簡単に提供することができます。スチームコンベクションオーブンや湯せんを用いることで、温かい状態での提供も可能です。

 エネルギー量が高いため、病院や高齢者施設における、『日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年』対応によるエネルギー不足の解決にも役立つことが期待されます。あらかじめ骨がすべて取られている「骨取り商品」であることも特徴です。

 味つけにもこだわり、かつお、煮干し、昆布、しいたけ等の旨味を凝縮した出汁を使用しています。

※写真はマサバの盛りつけ例。本商品以外の商品は付属しません。

「ふんわり煮魚」シリーズ「揚煮」
●種類:サワラ・マサバ
●規格:サワラ・マサバともに[275g(5枚)×20]×2合
●カロリー(100gあたり):サワラ揚煮 328kcal・マサバ揚煮341kcal

問い合わせ先

株式会社オカフーズ
TEL:03-3545-8948
HP:https://www.okafoods.jp/

「糖尿病性腎症病期分類」が改訂、 病期名等が変更される

CKD重症度分類や国際的な表記との整合性を重視

 日本糖尿病学会は1月23日、「糖尿病性腎症病期分類2023の策定」を公表しました¹。改訂は2014年以来です。近年の高齢化や肥満者の増加、糖尿病や高血圧症に対する新規治療薬の開発などを背景に、糖尿病患者に合併した腎臓病が多様化していることを受けて検討されました²。

 今回の改訂では、CKD(慢性腎臓病)重症度分類や国際的な表記との整合性を重視し、次のとおり病期名が変更されました²。糖尿病性腎症は、必ずしも第1期から順次第5期まで進行するものではありません²。しかし、第1~5期という表記は広く認知され、糖尿病透析予防指導管理料などの基準にも用いられていることから、今回の改訂でも表記が残されました。

病期名の変更

変更前(糖尿病性腎症病期分類2014)→変更後(糖尿病性腎症病期分類2023)
第1期(腎症前期)→正常アルブミン尿期(第1期)
第2期(早期腎症期)→微量アルブミン尿期(第2期)
第3期(顕性腎症期)→顕性アルブミン尿期(第3期)
第4期(腎不全期)→GFR高度低下・末期腎不全期(第4期)
第5期(透析療法期)→腎代替療法期(第5期)
(文献2を参考に作成)

 また、糖尿病患者におけるCKDは、糖尿病性腎症病期分類とCKD重症度分類の双方で評価することが望ましいとの注釈も加えられました²。
 アルブミン尿や推算糸球体濾過量に基づく分類方法に関しては改訂のエビデンスが十分ではないとして、基本的な枠組みは変更されていません。

1.日本糖尿病学会:「糖尿病性腎症病期分類2023の策定」を発表しました.
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=346(2024.2.20アクセス)
2.糖尿病性腎症合同委員会・糖尿病性腎症病期分類改訂ワーキンググループ:委員会報
告 糖尿病性腎症病期分類2023の策定.糖尿病 2023;66(11):797-805.

働くナースのための精神医学【第4回】病院での産業医の利用のしかた

 こんにちは、精神科医・産業医の西井重超です。今回は、病院での産業医の利用のしかたについて話をします。

産業医はどんな疾患の相談も受けなければいけない

 産業医が受ける相談は基本的に、業務に関すること、かつ健康に関することはなんでも対象になります。「職場で薬剤のにおいがきついので調査をしてほしい」などの職場巡視の相談、残業など長時間労働の面談や、ストレスチェック後の面接、健康診断での面談など各種面談、そういった機会がなくても、普段から業務にかかわる腰痛がひどいなどの相談もできます。

 よく、「産業医が内科の先生だから、心の相談ができない」と言われる場合がありますが、それは間違いです。産業医と診療科はまったく別で、産業医であればどの科の疾患の相談も受けなければなりません

 ただ、得手不得手はありますので、相談を受けたうえで医療機関の受診を促すなどの適切なコンサルトを行います。相談のうえで、企業での配慮が必要な場合は、企業側と相談し、就業措置を行います。

産業医には守秘義務があるので相談内容は外に漏れない

 「この方がしんどくなっています」と産業医が企業側に問題点を指摘するのと、皆さんが「私しんどいです」と直接、企業側に改善を求めるのでは、企業側の動きが違ってくる場合があります。

 産業医には守秘義務があり、会社に相談内容を漏らすことができません。相談内容が漏れることが心配であれば、「産業医面談の内容って、守秘義務で守られているんですよね」と一言先に言っておくと、産業医もいつも以上に気を引き締めて情報管理をしてくれると思います。

どんなときに産業医に面接に行けばいい?

 ストレスチェック後の面接に関しては、高ストレス者になったら産業医面接にぜひ行ってください。相談したからといって、内容によってはすぐには改善に至らないこともありますが、少なくともマイナスにはなりません。前述しましたが、産業医には守秘義務がありますので、心配があれば相談前にひとこと言えばよいでしょう。

 月80時間以上の残業がある場合も、産業医面談をぜひとも受けてください。長時間労働者への面接指導という面接になります。タイムカードではなく、パソコンでのログイン時間も残業時間の参考になります。

メンタル不調を感じたときの一般的な対応の例

 最後に、自分がメンタル不調になった場合の対応を話します。

 一番軽症のケースは、メンタルクリニックを受診して治療を行っているが、就業配慮は行われていないケースになります。仕事先に受診のことを伝えていない人と、伝えている人がいます。

 次は、会社で夜勤制限などの業務配慮をされているケースです。

 一番悪い状態は、休職をしないといけない状態です。就業配慮を考えるかどうかの目安としては、月に一度でも勤怠不良(遅刻、欠勤、早退)があるかどうかです。「月に一度くらいなら」という方もおられますが、普通は月に一度体調不良で休むなんてことはありません。休まないと出勤できない状態は明らかに異常です。月に4回以上勤怠不良がある場合は、休職が必要な場合が多いです。

 休職になった場合は、「傷病手当金」という給付金が最大1.5年間、健康保険によってもらえます。月給の約2/3が毎月非課税でもらえるので、実質月給の7~8割くらいが毎月手元に入ることになります。
           
 今回書いた内容はごく最低限の対応と言っても過言ではありません。ただ、自分の勤めている病院が、きちんと産業保健活動をしている病院かを確かめる指標にもなると思います。

 医療機関に勤めている限りは臨床に集中したいものですが、臨床以外の知識も必要になってきます。ぜひ、産業保健に関してもこの機会に知ってみてください。

この記事は『エキスパートナース』2021年5月号連載記事を再構成したものです。
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一般病棟でも気になる!精神症状への対応【第2回】ナースができる精神症状への3つの対応

 では、患者さんを“抱えて”“こころのスペースを広げる”ために、ナースの皆さんにはどのようなことができるでしょうか。

対応1 安易な共感はせず、“認証する”

基本は患者さんの言葉を“なぞって繰り返す”

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 精神的な対応において、よく出てくるのは“共感”という言葉。患者さんを癒すには共感をもってこちらで抱えればよいのだ、という指摘も確かにありますが、いたずらに共感してしまうのはちょっと恐い部分もあります。
 特に身体疾患の患者さんは「健康なあなたに、わたしのこの痛みやつらさをわかられてたまるか!」という思いを抱くことがあります。

 医療者が支持していると思っていても、患者さんは侵襲と感じることもあるため、精神症状に安易な共感はしない。これが重要です。患者さんの気持ちをなぞるように聞き、わからない部分があれば詰問調にならないように繰り返し聞いてみて理解を深めていく(“なぞって繰り返す”がポイント)。
 気持ちのすれ違いにならないように、「こちらの思い描いているイメージ」と「患者さんのもつイメージ」ができるだけ一致するように心がけます。

“認証”とは、論理的に患者さんの苦しみを理解すること

 イメージの一致というのは、患者さんの背景を読みとって察した内容が患者さんの思いと重なり、それが両者で共有されることを意味します。患者さんが「つらい」と言ったとき、すぐに「そうだよね、つらいよね」と返した場合、こちらの「そうだよね」ははたして患者さんの背景と合致しているでしょうか?

 例えば「この人はがんで入院しているからつらいんだ」と早合点していないでしょうか? ひょっとしたら違う内容でつらく思っているかもしれませんし、たとえそうであっても、それを患者さんの口から言ってもらって、それをこちらがなぞって繰り返すという行為が、イメージが一致したという思
いを両者に生みだします。

 そして「あぁそうだったの。そんな状況ならこういう気持ちになるのも無理はないですね」という“認証(validation)”を行います。この“認証”は、こちらは患者さんの苦しみを完全に追体験はできないけれども、背景を知ることで論理的に理解できるということを指します。それが“抱えること”でもあり、その繰り返しの果てに真の共感が見えてくるのでしょう。

 早々に助言を行うと“意見の押しつけ”になってしまうため、まずは患者さんの話をなぞって繰り返して“抱える”状態にするのが大事です。

対応2 “侵襲的でない空気”をつくる

 言葉のみならず医療者と患者さんとの間の空気というのも重要で、そこにはこちらの声の音色や高さ、表情、しぐさ、視線などが含まれます。言葉というのはノンバーバル(非言語的)な要素によって意味が異なってきて、それはプラスにもマイナスにもなります。その力を知って、できるだけ患者さんに侵襲的でない空気をつくっていきましょう。

 同じ言葉でも、目線が上からであったり、患者さんのほうを向いていなかったり、語気が強かったり。それだけで言葉の意味はきついものになってしまいます。こういった細かいところに配慮することが、空気の色合いをよくしてくれます。

 ケアの場というものを患者さんにとって安心できるものに整えていく。そうすることが患者さんのしなやかな回復力(レジリエンス)を助け、“こころのスペース”を広げることにつながります。症状を叩くのみならず、患者さんの置かれている生活を感じてよりよくしていくことが、ケアに求められてくるのです。

一般病棟でも気になる!精神症状への対応【第1回】治療の場での精神症状へのかかわり方

 不安、抑うつ、焦燥感 ─ 。患者さんに現れる精神症状は多種多様ですが、どれも“つらさからこころを守る反応”であることに変わりはありません。基本として知っておきたい、精神症状との向き合い方を解説します。

精神症状とは“つらさからこころを守る反応”

 精神症状と日常生活の感情との境目は非常にあいまいです。“日常生活の感情”の1つとして、憂鬱や不安を経験したことのない人もいないでしょう。それが“精神症状”になるのはどこからか、というのはなかなか難しいところです。
 ナースの皆さんのかかわりとしては、日常の感情でも精神症状でも、

つらいできごとをこころが抱えられなくなって、外に出されたものが症状
外に出すことで、こころが破裂しないようになんとか対処している

という2つのイメージをもつことが大切です(図1)。

図1 症状は患者さんなりの対処

 よって、こちらがとるべき方針は、

患者さんが抱えられない部分をいったんこちらで抱えておく
患者さんのこころのスペースをゆっくり広げていく

ことが基本になります。これらがケアの根底になり、“支持”につながります。
 
 この“支持”は使い古された言葉ですが、患者さんの“松葉杖”だと考えてみてください。患者さんが依存しすぎない程度の支えというのが大事で、松葉杖は患者さんが回復すると使われなくなりますね。
 もし私たちが“車椅子”になってしまったら、患者さんはそれにどっぷりと依存して立てなくなってしまうことも起こりえます。そうではなく、患者さんが回復してまた歩き始める、そんな姿を浮かべつつ現在を支えるというのが、支持のイメージです。

“日常生活の感情”と“精神症状”の境目は?

 日常生活の感情と精神症状を鑑別するのに、現時点で役に立つ検査というものもなく、“生活の質に支障をきたしており一定期間改善されてこない”“その症状にとらわれていて柔軟な考え方ができない”などというのを一応のめやすと考えてはいます。

 精神科医はすごく悩むところですが、これはお薬という武器を使うかどうかということに大きく絡んできます。正常な感情にお薬を使うのはちょっとやり過ぎですよね。

一般病棟でも気になる!精神症状への対応【第2回】ナースができる精神症状への3つの対応

この記事は『エキスパートナース』2016年1月号特集を再構成したものです。
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「五月病」にならないために

 新生活がはじまっている新人の方や、転職された方、新しい職場に異動された方、毎日おつかれさまです。この時期は慣れない仕事で疲れもたまりやすいと思います。

 いわゆる「五月病」にならないためにも、働き始めたみなさんに國松淳和先生からヒントをいただきました。

(この記事は2023年4月12日に実施したX(旧:Twitter)スペースを再構成したものです)

「労働」はしんどい

 まず最初に申し上げますと、残念なことに、「労働」いうのは非常にしんどいものです。体の具合が悪い人に「がんばれ」とは言いませんが、新人さんにとってこの4月からはじまっていることは「労働」なので、基本的につらいです。新人ではなくても、転職して新しい職場で働き始めた人もそれは同じです。

「出勤することだけ」を目標にする

 「仕事に行くのに気が向かないな」「しんどいな」と思うのはあたりまえなので、出勤できたらそれだけで自分をほめてください。目標をうんと下げるのです。素敵に仕事ができなくてもいいのです。「出勤することだけ」を目標にするのです。これって結構、大事なことです。

職場に行けたら、「心の中のスタンプカード」を押す

 例えば、職場に行くことができたら、「心の中のスタンプカード」を押してください。出勤したら「ポン」と押す。どれだけ仕事ができたかとかではなく、「出勤できたら押す」。

 あらためて「出勤」について考えてみましよう。出勤するには、前日の夜、ましな時間に就寝して、翌朝まあまあ早めに起きて、眠いなか体を起こして身支度して、家を出て、交通機関に乗ったり、車を運転したりして職場に到着し、ロッカーや職場の机に座る。これってけっこう難儀ですよね。ですから、ロッカーとかデスクで、スタンプカードを押しましょう。

出勤できたら労働者は合格

 出勤できたら、それだけで労働者は合格です。そうしているうちに労働者の風格がでてきます。

 そして、それが最初から難なくできている方は……労働者に向いています

 私、人間には役割というものがあると思っています。物事には向き不向きがあります。労働に向いていない人もいます。そういった方は、労働者にはできないことができるのだと思うので、無理しないでください。

 そして労働ができちゃう人は、ぜひ我々の仲間入りをしてください。働ける人が働けばよいのだと私は思います。

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